道議会質疑 予算特別委員会(令和2年12月8日)
(道議会 2021-05-19付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼佐々木大介委員(自民党・道民会議)

▼木葉淳委員(民主・道民連合)

▼植村真美委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼小玉俊宏教育長

▼志田篤俊教育部長

▼赤間幸人学校教育監

▼添田雅之生涯学習推進局長

▼小松智子学校教育局長

▼山本純史指導担当局長兼ICT教育推進局長

▼松本邦由教職員局長

▼阿部正幸総務課長

▼山口利之生涯学習課長

▼唐川智幸高校教育課長兼ICT教育推進課長

▼高木順一教育環境支援課長

▼今村隆之働き方改革担当課長 

=役職等は当時=

◆感染症対策の徹底について

Q佐々木委員 学校での新型コロナウイルス感染症の発生と臨時休業の状況はどのようになっているのか、小・中学校や高校など学校別に、また、参考までに、令和2年10月以降に発生した割合や教職員の感染の状況について伺う。

A阿部総務課長 学校における感染症の発生状況等について。2年2月から11月までの間、公立学校等において、児童生徒等については小学校134人、中学校87人、高校152人、その他7人の計380人。

 教職員については45人の感染を確認するとともに、感染が発生した延べ293校のうち、133校においては学校、学年や学級単位での休業措置を講じた。

 また、10月以降の状況をみると、児童生徒等については、感染者総数の87%に当たる330人。

 教職員については80%相当の36人がこの2ヵ月の間に感染しており、全道的な感染拡大に併せて、学校関係者の感染も増加し、集団感染についても9校で発生している。

Q佐々木委員 学校の新しい生活様式では、子どもたちや教職員の感染が確認された場合、学校の設置者は、保健所による濃厚接触者の範囲の特定や、検査に必要な日数、範囲で臨時休業を実施するとされている。

 感染者の学校内での活動状況などを踏まえ、感染が広がっている可能性が高いと判断される場合に、その範囲に応じて、学級単位や学年単位、学校全体の臨時休業とすることが適当とされている。

 臨時休業の判断に当たって、市町村教委や道立学校と道教委の連携はどのようになっているのか、また、どのくらいの期間、臨時休業とされているのか伺う。

A阿部総務課長 臨時休業の判断等について。道教委では、学校関係者の感染、または濃厚接触者の発生を確認した段階から、市町村教委や道立学校が不安なく適切な対応を講じることができるよう、随時、助言を行うほか、必要に応じて学校などに職員を派遣するなどして、感染者が発生した市町村や学校を支援している。

 また、臨時休業については、国の衛生管理マニュアルに基づき、保健所が行う濃厚接触者の範囲の特定や、検査に必要な日数、範囲、さらには、出席停止となる児童生徒等の状況等によって判断しており、これまで、道内で臨時休業を実施した133校のうち、濃厚接触者が多数に及ぶなどで10日以上、最大15日の休業を実施した学校が68校あった。

Q佐々木委員 学校では、衛生管理マニュアルに基づく感染症対策を徹底してきているが、感染が長期化することによって、緩みが出ることが危惧をされている。

 感染の急増期における感染防止の取組について、道教委としてどのように徹底を図っていく考えなのか伺う。

A小松学校教育局長 感染防止の取組について。全道的な感染拡大に伴い、学校における感染事例も道内全域で増加してきており、特に行動範囲の広い高校生の感染が多数確認され、道立学校においても集団感染が複数発生し、部活動に起因すると考えられる感染もみられることから、高校長協会や高体連などと、先般、意見交換を行った。

 その結果を踏まえ、道立学校長に対し、基本的な感染症対策等の徹底のほか、登下校時や部活動など、緩みが生じがちな場面での感染リスクの回避について通知するとともに、衛生管理マニュアルに基づいた基本的な感染症対策が徹底されているかを各学校が点検するためのチェックリストを作成し、周知した。今後も、市町村や学校等と連携しながら、学校の感染症対策に万全を期す。

Q佐々木委員 修学旅行の取組について、行動範囲の広い高校生がどのような場所や場面でも適切に対応できるよう、注意すべき事項の周知徹底が求められていく。また、明らかになった課題なども学校間で共有し、対策に生かすことも有効と考える。

 修学旅行での感染防止の徹底にどのように取り組んでいくのか伺う。

A山本指導担当局長兼ICT教育推進局長 修学旅行における取組について。道教委では、国の通知を踏まえ、道立高校に対し、修学旅行の教育的意義や児童生徒の心情等を考慮し、道内も含めた旅行先の検討や日程の短縮、実施方法の適切な変更などを行い、年度内に実施するよう指導してきた。

 また、実施に当たっては、旅行業者と十分連携することや、日本旅行業協会作成の『国内修学旅行の手引き』に基づき、輸送機関、宿泊施設、食事施設、入場観覧施設などにおける利用上の感染防止対策を徹底するよう通知するとともに、すでに見学旅行を実施した学校が講じた感染防止対策として効果があった点や課題を集約し、今後実施する学校に対し、参考とするよう助言している。

 今後も引き続き、各学校に対し、旅行先の感染状況等に応じた日程や行程の柔軟な対応について指導助言し、生徒の安全を最大限に配慮した見学旅行となるよう、対策に万全を期す。

Q佐々木委員 今後も、感染防止対策を重要な取組としてしっかりと日常生活に根づかせる必要があるが、道教委としてどのように取組を進めていく考えなのか伺う。

A小玉教育長 今後の取組について。感染症の終息が見通せない中、可能な限り感染リスクを低減させながら学校の教育活動を継続するためには、感染予防を日常生活に取り入れた新しい生活様式の定着が重要と認識している。

 そのため、道教委では、㈱クリプトン・フューチャー・メディアの協力によって作成したキャラクターのピクトグラム、いわゆる絵文字であるが、これとアニメーションを活用し、子どもたちに分かりやすく感染予防を呼びかけるとともに、児童生徒の健康管理や家庭における感染症対策のポイント等をまとめた保護者向けのリーフレットを作成し、配布するほか、児童生徒、教職員、保護者、地域の方々に対し、心のケアを呼びかけるメッセージを発した。

 今後は、冬季の換気や衛生管理マニュアル改訂のポイントなど、学校における感染症対策の重点について解説する動画を道教委のウェブページに掲載することとしており、学校や家庭、児童生徒それぞれに応じた工夫を行いながら継続的に感染予防を働きかけ、子どもたちが安心して学び、学校生活を送ることができるよう取り組んでいく。

◆ICTの活用

Q佐々木委員 道内の小・中学校では、2年度中に1人1台端末の整備を終えるよう取組が進められている。小学校では2年度から、中学校では3年度から新学習指導要領が全面実施されるが、ICT環境が整備され、授業にどのように活用されることになるのか、小学校の低学年や高学年、中学校で活用にどのような違いが出てくるのか伺う。

A山本指導担当局長兼ICT教育推進局長 授業におけるICTの活用について。国のGIGAスクール構想によって、小・中学校において2年度中に1人1台端末が整備され、3年度以降、ICTを活用した学習が本格的にスタートする。

 各学校においては、児童生徒の発達段階や学習内容に応じてICTを適切に活用し、学びの充実を図る必要があり、授業では、クラウドを活用して、一人ひとりの考えを即時に把握しながら双方向的に授業を進める一斉学習や、デジタル教材などによって一人ひとりに応じて学習を進める個別学習、共同作業を通じてリアルタイムで考えを共有しながら学び合う協働学習などを行うことができるようになる。また、小学校低学年では、コンピューターなどの情報手段に親しみをもち、抵抗感なく利用できるような学習活動、高学年では、キーボード等による文字の入力、インターネットの閲覧などの基本的な操作を確実に身に付ける学習活動、中学校では、各教科等において情報手段を主体的、積極的に活用する学習活動を行うなど、発達段階を考慮して情報活用能力を高めていくよう、工夫することが必要と考えている。

Q佐々木委員 新たに整備されたICT環境を活用し、授業を進めていく上では、教員のスキルアップが不可欠。

 授業における円滑な活用が図られるよう、道教委では、学校に対してどのように支援していく考えなのか伺う。

A唐川高校教育課長兼ICT教育推進課長 学校に対する支援について。ICTを有効に学習活動に取り入れていくためには、教員のICT活用能力向上が極めて重要である。

 このため、道教委では、2年8月に策定したICT活用授業指針に基づき、すべての教員がパソコン端末やクラウドを活用した授業を円滑に実施できるよう、授業で活用できるコンテンツ集を作成し周知したほか、学年や各教科の特性に応じた授業モデルを道教委のポータルサイトで情報発信するなどして、普及を図ることとしている。

 また、教育局や道立教育研究所が行う研修を一層拡充することとしており、こうした取組を通して各学校における授業改善に向けた支援を講じていく。

Q佐々木委員 新型コロナウイルス感染症の拡大で道内の小・中学校でも子どもたちが感染し、学級単位などで臨時休業となるケースが目立っている。

 このような場合に、ICT環境をリモート学習として活用することも求められるが、環境整備が必要な家庭に対する対応の状況はどのようになっているのか、活用に向けた道教委の見解と併せて伺う。

A唐川高校教育課長兼ICT教育推進課長 リモート学習における活用について。先の一斉臨時休業中には、子どもたちの学びを確保するため、リモート学習応急対応マニュアルを作成し、各学校において、ICTを活用した家庭学習支援を行うよう要請するとともに、ICT環境が十分に整っていない児童生徒への支援として、授業動画DVDの送付や、個別登校による学習指導の実施などを示した。

 また、道教委では、学校、家庭のICT環境の整備に向け、現在、小・中学校など計8校を対象にオンライン学習導入モデル事業を実施し、通信端末の確保が難しい家庭へのモバイルルーターの貸し出し、オンライン学習における効果的な指導方法の検証などの研究を行うとともに、民間企業との連携によって、企業が端末等を貸し出す仕組みを構築した。こうした支援によって、すべての子どもたちの学びの機会を確保することとしている。

Q佐々木委員 子どもたちが情報社会に主体的に対応できる情報活用能力を身に付け、ICTを活用して多様化する課題に創造的に取り組むことができるよう、道教委は、ICTを活用した教育の推進に向けてどのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A赤間学校教育監 ICTの活用による教育の充実について。新しい学習指導要領において、情報活用能力が学習の基盤となる資質・能力に位置付けられるとともに、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズや理解度に応じたきめ細かな指導に向けた授業改善を推進する観点から、ICTを適切に活用した学習活動の充実を図ることが求められており、各学校において、コンピューターや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用することが重要であると考えている。

 このため、道教委としては、ICT活用授業指針において、ICTを活用した授業の目指す姿と、その実現に向けた具体的な活用方策を示しており、各学校におけるこれまでの教育実践を生かしつつ、これからの時代のスタンダードとして期待されるICTを活用した授業が確実に実践され、本道のすべての学校において、児童生徒の学びの質を高めることができるよう支援していく。

◆遠隔教育推進

Q佐々木委員 遠隔授業の拠点となる有朋高校では、新たに専任スタッフを配置するなどして体制が強化され、配信科目の拡大や複数校への同時配信など、授業内容を充実するための取組が試行されている。

 試行の対象となっている学校や配信されている教科、科目などはどのようになっているのか伺う。

A高木教育環境支援課長 遠隔授業試行の対象校などについて。遠隔授業の配信機能集中化の試行における受信校は、夕張高校や寿都高校、豊富高校など、遠隔教育に関する国の研究開発学校として指定を受け、取り組んできた学校や、厚真高校や松前高校、佐呂間高校等の地域連携特例校など、合わせて24校。

 また、配信している教科は、生徒の習熟の程度に応じた指導のため複数の教員が必要な国語、数学、外国語と、小規模校では開設科目の充実を図ることが難しい理科、地理歴史、公民、芸術の7教科で、これらの各教科において、受信校が配信を希望する21科目を配信科目としている。

Q佐々木委員 2年度試行されている複数校への同時配信において、明らかになった課題はどのようなもので、今後どう対応していく考えなのか伺う。

A高木教育環境支援課長 同時配信について。複数校に同時配信する際の課題としては、受信側の生徒数が多くなることで、配信側の教員にとって生徒一人ひとりの学習状況の把握や評価が難しくなること、受信校が増えることによって、受信校間の生徒同士によるコミュニケーションが難しくなることなどが挙げられる。

 こうした課題に対応するためには、配信側と受信側、さらに、受信校間の教員が連携しながら、生徒の学習の理解度や到達度、授業の進め方などについて情報交換する機会を設定し、共通理解を図った上で、受信側の学校数や生徒数について適切な基準を設けることが必要と考えている。

Q佐々木委員 遠隔授業の導入に向けて、道教委は、これまでどのように準備を進め、どのようなことが課題になっていると認識しているのか伺う。

A高木教育環境支援課長 これまでの取組などについて。3年度当初にスタートする遠隔授業の円滑な導入に向け、これまで、受信校の教育課程の編成などに関する相談体制の構築、配信校と受信校の管理職や実務担当教員を構成員とする遠隔授業運営協議会の開催、地元の中学校や保護者、地域住民に対する遠隔授業によって可能となる教育内容等の説明などを行ってきた。

 こうした中、配信機能を集中化する際の課題としては、授業配信に関する技術的なノウハウを積み重ねる必要があるほか、生徒の学力の把握や学習評価を行う際の受信校との連携、複数の受信校間での時間割や開始時刻の調整、使用する教科書の調整など、学習指導に関する事項を整理する必要があり、今後、関係校と連携しながら運用マニュアルを整備するなどして円滑な導入に向けた準備を進めていく。

Q佐々木委員 円滑な導入に向けて明らかになった課題への対応を含め、準備を加速させる必要があるが、今後どのようなスケジュールで取り組んでいくのか伺う。

A山本指導担当局長兼ICT教育推進局長 遠隔授業導入に向けたスケジュールについて。3年度当初のスタートに向け、2年度は、教育庁内に準備室を設置し、機器の整備や教育課程の検討を進めるとともに、配信校および受信校において、配信科目を拡大しながら試行を実施してきている。

 また、これまで、受信校に対し、3年度に配信する科目や授業配信のスケジュールについての素案を示すとともに、効果的な遠隔授業の在り方についての協議を重ねてきており、今後は、関係校が学習内容等に関する協議を行い、指導計画や運用マニュアルを策定し、3年3月には、各受信校において3年度の時間割等を決定する予定。

Q佐々木委員 広域分散型の本道だからこそ、配信拠点からの地域の小規模校への授業支援などは理にかなった取組であり、本道の子どもたちの未来を支える基礎になるものと考える。

 また、現在進められているGIGAスクール構想は、ICTの活用と一体のもので、ICT環境の整備とともに、子どもたちの教育に効果的に活用することが求められており、ICTを活用した遠隔授業は、学習の幅を広げ、学習機会の確保を図る観点から、重要な役割を果たする。

 道教委は、本道における遠隔教育の推進に、どのようなビジョンをもって取り組んでいく考えか伺う。

A小玉教育長 遠隔教育の推進について。広域分散型の本道では、子どもたちがどの地域においても自らの可能性を最大限に伸ばしていくことができる、多様で質の高い教育を提供することが必要と考えており、遠隔教育は、教科等の学びを深める、個々の児童生徒の状況に応じた教育を実施する、多様な人々のつながりを実現するといった、教育の機会均等や質の維持向上の観点から大変有意義であると考えている。

 このため、道教委では、道立高校における遠隔授業の実践を積み重ね、その成果や遠隔教育のメリットを道内の小・中学校等に紹介するなどして、多くの学校が、大学や企業などの学校外の専門的な知識にふれることや、国内外の児童生徒と意見を交流すること、病気や不登校の児童生徒一人ひとりに学習機会を提供することなど、様々な教育活動において遠隔教育が幅広く推進されるよう取り組んでいく。

◆性に関する指導

Q佐々木委員 現在の学校教育において、妊娠や出産など、性に関する指導はどのような内容となっているのか。また、不妊に関して何らかの指導や教育は行われているのか、併せて伺う。

A阿部総務課長 性に関する指導について。体育や保健体育の学習指導要領および解説においては、小学校では、思春期になると、次第に大人の体に近付き、体つきが変わったりすることなど体の発育、発達について、中学校では、妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるといった観点から、受精、妊娠を取り扱うなど、生殖にかかわる機能の成熟について、高校では、受精、妊娠、出産と、それに伴う健康課題や、人工妊娠中絶の心身への影響などについて理解できるようにすることなどが示されている。

 また、不妊については、高校の新しい学習指導要領解説に、妊娠のしやすさなどを含む男女それぞれの生殖にかかわる機能について、妊娠、出産の学習に関連付けて扱うことが示されている。

Q佐々木委員 昨今の不妊治療への助成制度の拡充や保険適用に向けた流れは、晩婚化などによって不妊に悩む夫婦が増えている表れでもあると考える。

 女性には出産適齢期があり、年齢によって妊娠の確率が下がっていくことや、男性にも不妊の原因があることなど、多様な生き方が尊重される時代の中で、家庭を築き、子どもをもつことも大切な人生の選択肢の一つである。

 学校教育において、妊娠や出産にかかわる正しい知識を得ることは、将来のライフプランを考える上でも重要な取組と考えるが、道教委の妊娠や出産など性に関する指導の考え方について伺う。

A小松学校教育局長 性に関する指導の考え方について。近年、情報化社会の進展によって、性や健康に関する様々な情報の入手が容易になるなど、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化しており、子どもたちが必要な情報を自ら収集し、適切な意思決定や行動選択を行うことができる力を、子どもたち一人ひとりに育むことが求められているところ。

 このため、教材や活動を工夫しながら、人間の性に関する基礎的・基本的事項や、男女が相互に理解し、望ましい人間関係を築くことについて、子どもたちの発達の段階に応じて理解を深める学習を行うことが重要と考えている。

Q佐々木委員 自由診療であったこれまでの不妊治療が保険適用されることで、これまで治療方法や出産適齢といった年齢などにおいて、考え方のばらつきが大きかった妊娠、出産に対して、医学的見地に基づく画一的な知見が示されていくことも予想される。

 このようなことを踏まえ、学校教育においても、妊娠や出産などに、不妊に関することも加え、性に関する指導の充実を図っていくことも必要と考えるが、道教委の今後の取組について伺う。

A小玉教育長 今後の取組について。道教委としては、今後も、小・中学校においては思春期における心身の機能の発達や心の健康など、高校においては、受精、妊娠、出産と、それに伴う健康課題や、将来の結婚生活を健康に過ごすための自他の健康に対する責任感や、保健・医療機関の適切な活用などについて、心身の発達段階に応じて理解を深めることができるよう、指導の充実を図っていく。

◆女性管理職の登用

Q木葉委員 道教委事務局等職員の女性管理職登用の目標および達成状況について伺う。

A阿部総務課長 女性管理職の登用について。道教委では、女性活躍推進法に基づき、平成28年3月に特定事業主行動計画を策定し、管理職員に占める女性職員の割合を令和2年度までに12%とすることを目標として、家庭生活とキャリア形成の両立に向けた人事配置や、キャリア形成を図る研修の充実などの取組を進めてきた。その結果、28年4月の5・9%から最終年度である2年4月には10・6%へと増加したものの、当該目標には達成し得なかった。

Q木葉委員 女性職員の管理職登用に対する所見と今後の取組について伺う。

A志田教育部長 今後の取組などについて。女性職員の管理職の登用に当たっては、女性が十分に能力を発揮し働きやすい職場づくりと、将来の登用を見据えた人材育成に向けた取組を一体的に進めていくことが重要。

 道教委としては、今後とも女性職員が職務上の経験を積み、意欲と能力を発揮し、仕事と家庭を両立しながら働き続けることができるよう、環境整備を進めるとともに、キャリアアップへの意欲の醸成に向け、中長期的な視点に立った人材育成に努め、女性登用のさらなる推進に取り組んでいく。

P木葉委員 学校現場を指導する立場にある道教委が、まず、率先して女性管理職の登用に努めるべきと考える。

 また、家族がいる場合、その家族の協力というものが非常に重要。特に、女性だけが家事をするわけではない。家族の協力が重要であり、女性管理職の登用が進まないというのであれば、やはり、そこに対する課題についてしっかりと改善を図り、働き方改革と併せて取り組む必要があるということを指摘する。

◆1年単位の変形労働時間

Q木葉委員 働き方改革について、1年単位の変形労働時間制について、各学校での検討状況はどのようになっているか伺う。

A今村働き方改革担当課長 各学校での検討状況について。道教委では、すべての職員の制度に対する理解が深まるよう、説明動画の配信や『導入の手引き』の配布などを行った上で、2年9月、各道立学校や市町村教委を対象に意向調査を実施した。調査に当たっては、学校での検討を踏まえた上で回答をいただいているものと考えており、その結果、「職員が活用できるよう検討したい」との回答が約8割であった。

Q木葉委員 教職員数の約8割ということか。

A今村働き方改革担当課長 意向調査について。調査は、各道立学校長および市町村教委教育長宛に実施した調査であり、その回答の8割が、活用できるよう検討したいというものであった。

Q木葉委員 教職員の認識がそれで深まっていると押さえているのか。

A今村働き方改革担当課長 意向調査について。回答に当たっては、各道立学校、各市町村教委において、現場教員の実情なども踏まえた上で回答いただいているものと考えている。

Q木葉委員 道立学校における時間外勤務時間について。7月から9月分の調査がすでに終わっているかと思うが、その結果を伺う。

A今村働き方改革担当課長 教員の時間外在校等時間について。道教委では、各道立学校に対し、2年度導入した出退勤管理システムによって、職員ごとの在校等時間を計測、記録した上で、システムで集計された時間外在校等時間等を毎月報告するよう通知しており、第1・四半期分の状況を9月に公表した。

 第2・四半期に当たる7月から9月分については現在集計中であり、今月中に公表する。

Q木葉委員 市町村立の学校について、客観的な出退勤管理システムの導入が進んでいるというふうに承知しているが、現状はどのようになっているのか結果についても併せて伺う。

 また、現在、客観的な勤務時間把握ができていない市町村もあると聞いているが、そうした市町村では制度の導入はできないと考えるが、今後の対応を伺う。

A今村働き方改革担当課長 市町村立学校における勤務時間管理について。各市町村教委における出退勤管理の状況については、2年12月1日現在で実施した調査の結果では、178市町村のうち168市町村において、全部または一部の学校で在校等時間の計測、記録している。その結果については、市町村教委に公表を促していることから、今後、状況を把握していく。

 また、1年単位の変形労働時間制を適用する教育職員については、タイムカードによる記録等の客観的な方法等によって在校等時間を把握することが必要であり、勤務時間管理は、労働法制上、校長や服務監督権者である教育委員会に求められる責務であるため、残りの10市町村に対し、早期に客観的な方法等による勤務時間管理が行われるよう指導していく。

Q木葉委員 時間外勤務時間縮減のモデル校が道内に20数校あるかと思うが、その現状と成果、課題と今後の対応について伺う。

A今村働き方改革担当課長 働き方改革モデル校の現状等について。2年度指定した全道23校のモデル校では、2年3月に作成した手引きを積極的に活用しながら働き方改革に取り組んでいる。これまで、各学校において教職員に対してアンケートを行うことによって、個々の教職員が自らの働き方についての現状を理解し、問題意識が高まるとともに、職場での業務改善について主体的に考え、日課表の見直しや保護者あての一斉メール配信など、業務の効率化に向けた取組が積極的に進められている。

 こうしたモデル校においては、年度当初と直近の状況を比較した結果、時間外在校等時間数および1ヵ月45時間を超える教職員の割合が概ね減少傾向にあり、今後は、手引に掲載されていない、ICTの活用に関する研修や学校行事等の見直しといった新たな取組についても実践するとともに、モデル校の好事例や成果を他校に普及していく。

Q木葉委員 4月からの導入を進めるのであれば、具体的にいつまでにどのような形で業務削減を行うのか、具体的な内容を示す必要があると考える。今後のスケジュールについて伺う。

A松本教職員局長 業務の削減について。教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査において、最も忙しさを感じる業務として、調査等の事務処理が挙げられた。

 2年度は学校を対象とした調査のうち、進路に関する調査や予算の執行に関する調査などについて廃止および簡素化を図るとともに、初任段階教員研修や中堅教諭等資質向上研修において、オンデマンドの活用によって集合日数の短縮を図った。

 3年度以降も、調査業務のさらなる見直し、遠隔会議システムの活用やオンデマンド研修の拡充など、順次、改善を図っていくこととしている。

 また、実態調査において、最も在校等時間が長い職種であった教頭を対象に、忙しさを感じる業務等に関する意識調査を先般実施し、2年度内を目途に取りまとめることとしており、その結果をもとに削減可能なものから順次検討し、速やかに実行していく。

Q木葉委員 一般の教職員の日常業務縮減について答弁を求める。

A松本教職員局長 具体的な業務削減について。道教委ではこれまでも、部活動指導員やスクール・サポート・スタッフといった専門スタッフ等の配置や、校務支援システムの導入促進、出退勤管理システムの提供など、教員の長時間勤務の縮減に向けた環境整備に努めてきた。

 また、子ども一人ひとりに向き合う時間を確保し、児童生徒に対する高い教育効果が期待される少人数学級や小学校専科指導の充実は、教員の担当授業時数の軽減など、働き方改革の観点からも効果が期待できるものであり、今後も、引き続き、これらに必要な教職員定数の改善について国に対して強く要望していく。

P木葉委員 教職員の働き方改革の本丸というのか、最も重きを置くのは業務の削減、ここに尽きると思う。日々、子どもたちと向き合っている教職員の業務削減の具体をできるだけ早期に示していただきたい。

◆地域学校協働活動

Q植村委員 コロナ禍における子どもたちを取り巻く地域の状況などについて、道教委の認識を伺う。

A山口生涯学習課長 子どもたちを取り巻く地域の現状などについて。令和2年は、新型コロナウイルス感染症の拡大リスクを考慮し、多くの地域において、祭り等の伝統行事やスポーツ大会が中止となるなど、子どもたちが地域の大人とふれ合う機会が減少している状況にある。

 道教委としては、こうした中にあっても地域と学校が連携協働し、地域住民や保護者等の参画によって地域全体で子どもたちの成長を支えていくことが重要であるとの認識から、子どもたちが学校だけでは学ぶことができない様々な体験を通じ、地域への理解、関心が深まるよう、感染拡大防止策を徹底した中で、地域の大人の参加、協力を得ながら、放課後や土・日等に行う読み聞かせや部活動の支援といった取組を通して、子どもたちとの交流が進むよう促している。

Q植村委員 平成29年の地教行法や社会教育法の改正で、地域全体で子どもたちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動を推進することが規定されている。

 この法の趣旨を実現するために、地域と学校の連携協働によって、どのようなことに取り組むこととなるのか伺う。

A山口生涯学習課長 地域と学校の連携協働による取組について。人口減少や少子・高齢化など、地域社会をめぐる環境が大きく変化し、学校と地域を取り巻く課題も複雑化、多様化する中、子どもたちが学校だけでは得られない知識、経験、能力など、これからの時代を生き抜く力を身に付けることが大変重要となっている。

 また、地域においては、住民が自ら地域をつくっていくという主体的な意識への転換が求められることを背景に、社会教育法において、地域と学校が対等のパートナーとして連携協働する地域学校協働活動が規定された。

 こうした地域学校協働活動には、小学生を対象とした放課後子ども教室や、中高生の学習を支援する地域未来塾のほか、地域の家庭教育ナビゲーター等が中心となって行う、保護者を対象とした家庭教育について学ぶ研修会等の開催や、学校に対する多様なボランティア活動などがあり、それぞれの地域の特色を生かした取組が進められている。

Q植村委員 地域学校協働活動については、市町村で主に小・中学校を中心に取り組まれており、高校の取組はあまり進んでいない印象がある。

 今後、どのように高校での取組を進めていく考えなのか伺う。

A山口生涯学習課長 高校における取組について。元年12月に閣議決定された第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略において、地域の将来を支える人材育成の要となる高校の機能強化が重要課題として位置付けられ、高校が地元自治体や企業等と連携しながら、高校生に地域課題の解決等を通じた探求的な学びを提供する取組などが示されている。本道においても高校が地元の大学や商工会議所等の関係機関と連携し、地域を支える人材育成に資する取組や、地元の自治体や企業等と連携協働する体制を整備し、地域課題の解決に向けた実践研究に取り組んでいる。

 道教委としては今後、こうした高校の取組の充実に向けて、社会教育主事が学校の求めに応じて全道の高校を巡回し、高校を核とした地域創生に向けた助言を行うとともに、高校生が地域の課題やニーズを共有し、地域の産業やコミュニティーと協働するきっかけづくりを促すこととしている。

Q植村委員 活動のさらなる充実に向けて、道教委としてはどのように対応する考えなのか伺う。

A添田生涯学習推進局長 学校と地域との連携強化について。地域学校協働活動のさらなる充実に向けては、学校と地域住民の間に立ち、両者を結び付けるだけではなく、両者の思いやねらいを受け止め、協働という対等な関係で一緒に活動をつくり上げていくための環境づくりが重要である。

 このため、道教委では、2年度から実施している社会教育主事講習を修了した社会教育士や、すでに市町村に配置されている地域コーディネーターを対象に、地域や学校の実情に応じた地域学校協働活動の企画立案や、学校や地域住民、企業、団体、機関等の関係者との連絡調整、地域ボランティアのネットワークづくりなどに関する研修を実施するなどして、地域学校協働活動の要となる人材の確保育成に取り組んでいく。

Q植村委員 地域学校協働活動を通じた持続可能な地域社会の実現に向けて、道教委としては今後、どのような体制で取り組んでいく考えなのか伺う。

A小玉教育長 今後の取組について。地域学校協働活動を通じて、子どもと大人が共に地域について学び、考えることは、子どもたちの成長のみならず、大人たちの学びの成果の活用や生きがいづくりにもつながり、学びと社会参画の好循環を生み出すことで、地域全体の教育力が強化され、持続可能な地域社会の発展や活性化の原動力となることが期待される。

 このため、道教委では、市町村と連携し、幅広い世代に対する地域学校協働活動への理解を促すとともに、公民館などの社会教育施設等において、地域住民が社会教育活動を通じて学んだ成果を生かし、地域学校協働活動への参画が促進されるよう、地域コーディネーターなど、連携の要となる人材の育成を進めるとともに、社会教育推進に向けた組織体制の整備についても検討を進めていく。

(道議会 2021-05-19付)

その他の記事( 道議会)

道教委・小玉教育長が退任会見 地学協働で地域創生を 本道発展へICT教育充実

道教委・小玉教育長退任会見  1日付で副知事に就任した道教委の小玉俊宏教育長は5月31日、道庁別館で教育長退任記者会見を開いた。副知事として、引き続き子どもと学びを中心とした施策に尽力する考えを表明。今後の教育行政にお...

(2021-06-02)  全て読む

道議会質疑 文教委員会(令和3年1月13日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議) ▼木葉淳委...

(2021-05-28)  全て読む

道議会質疑 文教委員会(令和2年12月10日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼中司哲雄委員(自民・道民会議) ▼木葉淳委員...

(2021-05-27)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年12月8日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼道見泰憲委員(自民党・道民会議) ▼田中英樹...

(2021-05-21)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年12月8日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼植村真美委員(自民党・道民会議) ▼白川祥二...

(2021-05-20)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年12月8日)

【Q 質問QuestionA 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand】 【質問者】 ▼寺島信寿委員(公明党) 【答弁者】 ▼平野正明総務...

(2021-05-18)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年12月4日)

【Q 質問QuestionA 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand】 【質問者】 ▼壬生勝則委員(民主・道民連合) ▼寺島信寿委員(公明...

(2021-05-17)  全て読む

道議会文教委員会(令和3年5月11日) 知事公邸全体で施設整備を検討 近美の在り方

 5月11日の道議会文教委員会では、道立近代美術館の今後の在り方について質疑が行われた。  近代美術館は昭和52年の開館後44年が経過し、収蔵環境の狭あい化などの課題が顕在化している。道の...

(2021-05-14)  全て読む

道議会文教委員会(令和3年5月11日) 少人数学級導入で120学級増加 札幌市立を除く 小3・4の学級数

 少人数学級の実施に伴う学級数の増加の状況について質疑が行われた。  国は令和3年度から7年度までの5年間で、段階的に小学校の全学年で少人数学級の導入を計画。道教委は2年度から3ヵ年計画で...

(2021-05-13)  全て読む

道議会文教委員会(令和3年5月11日) 本年度は273校 時間講師欠員1校 札幌市立を除く小学校専科教員

 専科教員の配置状況について質疑が行われた。  道教委の奥寺正史教職員課長は、本年度の札幌市を除く道内の小学校における専科指導教員の配置数として、加配によるものが国語20校、理科86校、算...

(2021-05-13)  全て読む