道議会質疑 文教委員会(令和2年12月10日)(道議会 2021-05-27付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼中司哲雄委員(自民・道民会議)
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼志田篤俊教育部長兼教育職員監
▼松本邦由教職員局長
▼阿部正幸総務課長
▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長
=役職等は当時=
◆給特条例
Q中司委員 給特条例に関して、現場からは、この条例を盾に通常の勤務時間よりも長い労働時間が強制されるのではないかという懸念が伝えられてきている。
この懸念に対して、どのような防止措置があるのか伺う。
A松本局長 1年単位の変形労働時間制について。本制度の対象者の決定に当たっては、校長が職員と十分話し合いを行った上で、個々の事情をよく酌み取り、共通認識をもって活用されるべきものとされ、勤務日ごとの勤務時間等についても事前に職員に明示することとされており、職員に一方的に適用することはあってはならないものと考えている。
道教委としては、このことについて、各道立学校および市町村教委に対して、しっかりと周知するとともに、適切な制度の運用が確保されるよう、相談体制の整備などについても検討していく考えである。
P中司委員 適切な制度の運用が確保されるよう、あるいは、相談体制を整備すると答弁されたが、現場の懸念というのは、こうした原則にもかかわらず、学校に限るものではないのだが、勤務というのは予定どおりにいかないというのが懸念の大きいところだと思う。
事前にしっかり定めて超過勤務がないようにするということだが、以前に配布された実態調査では、例えば、教材研究の時間を十分に確保できるかという問いに対しては、ほぼ半分の人々しか確保ができてない。あるいは、あなたが勤務している学校では特定の人に業務が集中しないように業務の平準化が図られているかという問いに対して、図られていると回答したのは3分の1しかいない。
それが現場の実態であるということを、十分踏えまていただきたい。
Q中司委員 現場からは、育児中の職場から保育園等での延長保育の時間が、地方だと午後6時までしかないところがあると聞いている。そうした中で、通常の勤務時間より長く割り振られた場合には、迎えが間に合わなくなるという心配の声も聞こえている。
今、女性教員が非常に増えており、そうした中で子育てをしながら勤務をしなくてはならない人がおり、こうした場合、この条例を施行するに当たって、学校において保育所に通う子どもをもつ教員に対して、十分配慮するように道教委から事前に指導しておくべきだと思うが、考えを伺う。
A今村課長 職員への配慮について。本制度は、すべての教育職員に対して画一的に適用するのではなく、育児を行う人や介護を行う人等について、その育児等に必要な時間を確保できるよう、勤務日や勤務時間の割り振りを工夫することや対象期間を短く設定することのほか、そもそも本制度の対象としないことも含めたきめ細かな配慮が必要と考えている。
そのため、本制度の活用に際しては、校長が職員と十分話し合い、一人ひとりの実情を踏まえ、個々の事情をよく酌み取ることが重要であり、こうしたことについて、事前に各道立学校および市町村教委に対し、周知・指導していく。
Q中司委員 制度を適用する場合の措置について伺う。本制度の導入によって、今よりも勤務時間が増えるのではないかとの懸念があると先ほども申したが、そうならないための措置は、どこに、どのように定められているのか、具体的に答えてほしい。
A志田部長 制度を適用する場合の措置について。国の指針においては、本制度を適用する教育職員に対する措置として、通常の勤務時間を超えて勤務時間を割り振る場合には、本制度を適用したことを理由とした担当授業数の追加や部活動の時間の延長など、新たな業務の付加によって在校等時間を増加することがないよう留意することが定められていて、このたび提案した条例においても、週休日および勤務時間の割り振りを定める場合には、国の指針に定める措置を講ずる旨、規定している。
道教委としては、教育委員会や校長が講ずべき措置も含めて、本制度の趣旨に沿った適切な運用がなされるよう、各道立学校および市町村教委に対し、指導していく考えである。
D中司委員 文部科学省からも措置が定められているということなので、その辺はしっかりやっていただきたいと思う。
先ほどの実態調査だが、「あなたは今の仕事にやりがいを感じているか」という質問があって、約9割の人が「やりがいを感じている」と答えている。現場の先生たちはそういう気持ちで教育に当たっていると思う。
一方で、時間外勤務を減らすことに抵抗感があるかという質問に対しては、2割ぐらいの人しか抵抗感があると答えていない。やむを得ないと考えている先生たちも多いということなので、それを悪用しないようにお願いしたい。
しっかりとこの条例の趣旨を生かして、いろいろな働き方改革をしながら、ゆとりのある教育ができるような配慮をお願いする。
Q木葉委員 国会での議論や付帯決議を踏まえて、今定例会で条例改正を提案するとのことだが、これまでの給特法改正にかかわる質疑からも、各部審査でも伺ったが、学校現場でこの条例改正の説明が十分ではないといった実態がある。
学校現場の教職員が求めている働き方改革というのは、そもそもの業務量を見直し、子どもたちとしっかりと向き合う時間を確保するところにある。今回の条例改正では、知事それから教育長も発言しているように、そもそもの労働時間の縮減につながらないばかりか、1日の労働時間がそれぞれ個人によって違ってあいまいになることによって、長時間労働につながる不安がある。
さらに、教職員の勤務時間が個々に違うことによって、お互いの信頼関係が崩れてしまうのではないか、あるいは給特法で4%の教職調整額が定められているが、一部では定額働かせ放題とやゆされている。
今、定例会の条例改正を見送るべきではないかとの声もあるが、所見を伺う。
A志田部長 このたびの条例提案について。学校における働き方改革は、様々な施策を尽くして総合的に取り組む必要があり、1年単位の変形労働時間制についても、働き方改革を推進する一つの選択肢と考え、道立学校長や市町村教委を通じた学校現場の意向を踏まえながら、この制度を活用するための環境整備として提案したものである。
こうしたことから、実際に各学校で導入するかどうかは、業務削減がなされているかなどの要件を満たしていることを前提として、勤務の状況や職員の意向を踏まえつつ、校長と職員が十分話し合った上で活用されるべきものと考えている。
道教委としては、教員一人ひとりが働きがいを感じ、健康でゆとりをもって子どもたちと向き合う時間をもちたいという願いをかなえられるよう、校長と教員との一層の対話を深めながら、働き方改革の推進に鋭意取り組んでいく。
P木葉委員 令和元年、改正給特法が国会で成立したが、学校職員の時間外在校等時間を月45時間以内、年360時間以内の上限が法的根拠をもって定められた。
道教委では、これまでアクションプランによって上限順守を目指してきたが、現状、多くの教員が上限を超えて勤務をせざるを得ない実態にある。明らかに見直しが必要。
1年単位の変形労働時間制の導入には、前提である月45時間以内、年360時間以内をすべての教職員が達成、それに向けて、例えば、余剰時間の上限の目安を定めるとか、部活動の活動時間をより厳格にするとか、そういう踏み込んだ実効性のある対策が急務であると指摘する。
O木葉委員 私はこの際、動議を提出する。本委員会における審議の経過に鑑み、つぎに申し上げる附帯意見、すなわち、「道教委は、指針における上限時間が順守されるよう、教育職員の在校等時間の縮減に向け、学校での対策も含め、実効性の高い働き方改革に取り組むこと」。
以上の意見を本委員会の意見として、委員長報告文に挿入されたいとの動議を提出する。
◆新型コロナ感染症対策
Q木葉委員 これまで、各教育委員会や学校では、文部科学省が作成した衛生管理マニュアルに基づき学校における感染症対策を実施してきた。これまで4度にわたり改定をされているが、感染が拡大する中で、各学校からは、保健所からの連絡などが遅滞し、マニュアルどおりに進めることに支障が出てきているという意見を聞いている。そもそもマニュアルが何度も変更されているが、丁寧な説明がないという意見もある。道教委は、各学校現場の現状をどのように認識しているのか伺う。
A阿部課長 衛生管理マニュアルについて。道教委においては、令和2年5月のマニュアル発出以後、4度の改定の都度、市町村や学校に対し、教育長会議や校長会議を通して、その趣旨や変更内容の丁寧な説明に努めるとともに、マニュアルに基づく取組が適切に進められるよう指導助言するほか、保護者に対しても、マニュアルのポイントを分かりやすく示したリーフレットを作成、配布し、学校の感染症対策について理解を深めていただいている。
道教委としては、学校、家庭の理解、協力を得ながら学校における新しい生活様式が定着するよう、今後も、各般の取組を進めていく考えである。
D木葉委員 学校での感染が増加する状況にあるが、マニュアルどおりでは判断に遅れが出ていると聞いている。学校現場の声に適時、適切に対応していくことを求める。
Q木葉委員 マニュアルに示されたレベルについて、学校設置者が判断することになっているが、現在の道内のレベル3、レベル2の自治体はいくつか出てきているのか。併せて、引き上げの時期と学校への周知の時期について伺う。
また、文科省の示すマニュアルでは感染状況を3段階のレベルに分けているが、一方で国は4段階のステージ、道は5段階のステージとそれぞれに感染状況を示すことで、非常に分かりにくくなっている。レベル設定の見直しが必要ではないかと考えるが、道の認識と対応について伺う。
A阿部課長 学校の行動基準について。令和2年10月28日に道の警戒ステージがステージ1からステージ2に移行したことに伴い、道教委としては、国の衛生管理マニュアルが3段階で示している学校の行動基準を、すべての道立学校において、レベル1からレベル2に移行するとともに、市町村教委に対して、衛生管理マニュアルに基づき、首長や衛生主管部局と相談の上、適切に対応するよう通知した。
また、11月7日に道の警戒ステージが、ステージ3に移行した際には、各道立学校および各市町村教委を通じて、各学校に対し、レベル2による対応を維持しつつ、あらためて衛生管理マニュアルに基づいた感染症対策を徹底するよう通知し、現在、道内全市町村の行動基準は、すべてレベル2に移行している。
なお、衛生管理マニュアルのレベルについては、新しい生活様式のもと、可能な限り教育活動を継続していくための学校の行動基準として設定しているものであり、学校の行動基準については、医療、公衆衛生、経済の両立を視野に置き、感染対策を行う基準であるステージの考え方も踏まえつつ、地域の状況に応じて、学校の設置者において判断するものと考えている。
O木葉委員 国は、4つのステージ、道は5つのステージ、学校は3つのレベルと、どうも一貫性がないように思う。分かりやすい表はつくっているが、それでもなお分かりにくい状況があり、一般の人々と学校の警戒段階を統一して、分かりやすい指標にしていくことを国に求めていくべきではないかと考える。
また、市町村や管内で、感染が多い、少ないもあるので、こうしたレベルの判断を市町村で判断できる、管内で判断できるということを促してもよいのではないかと考える。
Q木葉委員 消毒作業を行っている学校の教職員から、自身の感染はもとより、中学校でいうと1クラスではなく、複数のクラスに指導に行くことが多くあるので、他の生徒にうつしてしまったり、基礎疾患を抱える家族に感染が広がるのではないかという不安を抱えている中、消毒作業を行っていると聞く。
第2回定例会において教育長からは、今後、道内においても感染症が再び拡大することも見据え、特殊勤務手当を含め適切に対応していくという答弁があったが、現在感染症はまん延している。
感染者が出た場合の消毒作業は、原則、専門業者が行うべきではないかと考えるが、現状の対応や所見を伺う。
また、やむを得ず教職員が行わざるを得ないとすれば、手袋などの衛生備品の支給や特殊勤務手当等の対応が必要と考えるが、所見を伺う。
A阿部課長 消毒について。国の衛生管理マニュアルでは、通常の清掃活動とは別に、日常的に消毒作業を行う場合には、外部人材の活用や業務委託することによって、教員の負担軽減を図ることとされているものの、児童生徒や教職員の感染が判明した場合には、保健所および学校薬剤師などと連携して消毒を行うが、必ずしも専門業者を入れて施設全体の消毒を行う必要はないとされている。
また、消毒作業を行う場合に必要な保健衛生用品の購入は、国の支援事業が活用できることから、各学校において、校長の責任のもと、適切に対応していると承知している。
一方、国に準じた取扱いとしている防疫救治作業手当については、職員の感染の判明後に行う庁舎内の消毒は、現在、支給対象業務となっていない。
特殊勤務手当を含め学校職員の給与制度について、今後、国の対処方針や他都府県の動向を注視しながら、適切に対応していきたい。
D木葉委員 衛生用品について、国の支援が出ているが、これほど長期にわたると、各学校で当初準備したものでは足りないという話も聞いている。現場の教職員が不安を抱えて消毒作業に当たることのないように、子どもたちにしっかりと向き合っていけるように、対応を強く求める。
(道議会 2021-05-27付)
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