道議会質疑 文教委員会(令和3年1月13日)
(道議会 2021-05-28付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼檜垣尚子委員(自民党・道民会議)

▼木葉淳委員(民主・道民連合)

▼内田尊之委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼近藤史郎総務部学事課長

▼赤間幸人学校教育監

▼小松智子学校教育局長

▼山本純史指導担当局長

▼唐川智幸高校教育課長

▼川端香代子義務教育課長

=役職等は当時=

◆学力・学習状況質問紙調査結果

Q檜垣委員 全国学力・学習状況にかかわる児童生徒質問紙調査の結果からは、各学校が授業改善に取り組んだり、家庭で子どもたちが計画的に学習に取り組めるよう支援したりするなど、新型コロナウイルス感染症の影響がある中で、学校や教員が子どもたちのために真摯に取り組んでいる様子がうかがえる。一方で、就寝時刻や起床時刻などの生活習慣や、自分のよさを認めるなどの自己有用感等の項目で、小学校の割合が低くなっている。道教委では、このことをどのように受け止めているのか伺う。

A小松学校教育局長 小学校の調査結果について。毎日、同じくらいの時刻に起きている児童や、自分にはよいところがあると思う児童などの割合が前年度より低くなっている要因として、長期にわたる臨時休業後に調査を実施したことを踏まえると、毎日決まった時刻に登校したり、先生や友達とのかかわりの中で自分の長所に気付いたりする機会が失われたことが影響と考えられる。

 特に小学校段階においては、学校生活が基本的な生活習慣の確立や自尊感情の醸成に重要な役割を担っているということをあらためて認識した。

 そのような中、先生はよいところを認めてくれていると思う児童の割合は、前年度とほぼ同様であり、学校再開後に各学校が子ども一人ひとりの心のケアやきめ細かな指導に努めていることがうかがえると考えている。

Q檜垣委員 道教委は、本道の子どもたちの意識や学習に取り組む態度、生活習慣等の状況を把握し、学力向上などの施策に反映させることはもとより、調査結果をそれぞれの学校で指導の改善に生かせるよう取り組んでいく必要があると考える。道教委として、どのように学校を支援していく考えなのか伺う。

A川端義務教育課長 調査結果の活用について。道内の小・中学校においては、これまで全国学力・学力状況調査の分析結果を教育活動の改善につなげる検証改善サイクルの確立に取り組んでおり、令和2年度についても、質問紙調査の結果を踏まえ、生活習慣にかかわる課題と改善策を保護者に説明し、協力を得ながら取り組んでいたり、小・中学校間で結果を共有分析し連携の取組に生かしてたりするなど、指導の改善に向けた実践が進められている。

 道教委としては、今後、学校の中核となる教員の参加による学力向上や組織力向上に向けた研修会を全管内で実施し、説明や協議の中で、こうした改善に向けた実践例を共有するなどして各学校の取組が一層充実するよう支援していく。

Q檜垣委員 3年度の全国学力・学習状況調査に関する実施要領では、学力調査は新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえ、実施時期をこれまでの4月から5月に遅らせるなどの対応が取られている。

 また、GIGAスクール構想の推進状況を踏まえた中、学校英語調査のCBTでの実施などの検討も進められているが、道教委としては、こうした動きにどのように対応していく考えなのか見解を伺う。

A赤間学校教育監 今後の対応について。文部科学省では、小・中学校における1人1台の情報端末の整備や働き方改革等を踏まえ、全国学力・学習状況調査について、パソコンを使用したオンライン調査とするCBT化の導入に向けて検討を進めている。

 CBT化に当たっては、現在、国のワーキンググループにおいて児童生徒や教員が日常的にICT機器の操作に慣れることが重要であることなども議論されている。道教委としては、今後も引き続きこうした国の動向を注視しつつ、市町村教委および学校に対して適時、適切な情報提供に努めていく。

Q木葉委員 自己有用感をもてない児童生徒が多いということで、道教委として何が原因となっていると認識しているのか、併せて、これまでどのような対策を行ってきたのか伺う。

A川端義務教育課長 自己有用感について。今回の調査で「自分にはよいところがあると思う」と回答した児童生徒の割合は、前年度と比べて小学校で7・1ポイント低く、中学校ではほぼ同様であり、同項目については、これまでの調査においても全国よりも低い状況。

 今回の調査は、臨時休業の長期化によって先生や友達とのかかわりの中で自分の長所に気付いたりする機会が十分でなかったことも要因の一つと考えている。

 道教委ではこれまで、学校全体での道徳教育の充実に向けて自尊感情を醸成するための指導のポイントや実践例をまとめた指導資料を作成・配布するなどして各学校の取組が充実するよう支援してきたが、さらに分析を進めながら、子どもたち一人ひとりが自己を肯定的に受け止め、自分の可能性を認識できるように取り組んでいく。

Q木葉委員 今後の対応について、検証サイクルの確立を求めているが、すでに検証サイクルは確立されているのではないのかと考える。道教委の認識を伺う。

A川端義務教育課長 検証改善サイクルの確立について。本道の小・中学校においてはこれまで、全国学力・学習状況調査の分析結果を学校全体の教育活動の改善に生かしており、本年度も問題冊子等を有効に活用し、検証改善サイクルに位置付けて指導の改善に取り組んでいるものと承知している。

 道教委としては、今回取りまとめた全道の状況を各学校にフィードバックすることによって、各学校が自校の現状や課題を多面的に分析し、より効果的な検証改善サイクルの確立に資するものと認識している。

Q木葉委員 学校現場の教職員の要望や意見反映について、これまでどのように行ってきているのか、どのように改善されてきているのか伺う。併せて、今後、文科省に対しどのような改善を求めていくのか伺う。

A小松学校教育局長 今後の対応について。調査の実施に当たって、これまで国が市町村教委に対してアンケートを実施しており、意見などを把握している。国では、その内容も踏まえて実施方法等を検討し、必要な改善を行っているものと承知している。

 一方、道教委では、市町村の教育長や校長会の代表者等で構成する学力向上推進協議会や学校訪問などを通じて、全国学力・学習状況調査にかかる意見を伺うなどしてきた。

 その中には、国からの調査結果の提供が早くなるとより学校改善に役立てることができるなどの声もあったことから、今後も国の検討状況等を注視しながら、調査が適切かつ円滑に実施されるよう、対応していきたいと考えている。

◆私立高校の修学旅行

Q内田委員 本年度における私立高校の修学旅行の実施状況は、どうなっているのか伺う。

A近藤学事課長 修学旅行の実施状況について。令和2年11月27日現在で確認をしたところ、道内の全日制私立高校51校のうち、本年度、修学旅行の実施を予定していたのは49校。このうち、2年中に実施した学校が10校、中止を決定した学校が11校となっており、今後、実施を予定している28校については、24校が3月までに実施、4校が3年度に延期となっている。

Q内田委員 修学旅行を実施する上での感染防止対策について、道は、どのように対応しているのか伺う。

A近藤学事課長 修学旅行における感染防止対策について。道はこれまで、各私立高校に対し、国の衛生管理マニュアルや日本旅行業協会が作成した国内修学旅行の手引等を周知するほか、道教委作成の修学旅行実施に関するQ&Aなど、道立高校における取組も情報提供し、旅行業者等と十分連携の上、生徒の安全に最大限配慮した修学旅行が実施されるよう必要な助言に努めてきた。

Q内田委員 道立高校では、修学旅行を中止などする場合、保護者負担の軽減を図るため、キャンセル料等の補填を行うこととしていると伺っているが、私立高校の場合には、そうした措置は今のところない。

 私立学校についても、例えば、保護者が負担することとなるキャンセル料等を学校が負担した場合に、その経費を補助するなど、保護者負担の軽減を図るべきと考える。道は、どのように対応する考えなのか伺う。

A近藤学事課長 修学旅行のキャンセル料等について。道では、道教委から修学旅行の実施に関する留意事項の通知が発出された7月、各私立高校に対し、修学旅行の実施状況を調査した。この時点で、行き先の変更や延期する学校はあったものの、中止とする学校がないこと、また、主な旅行会社からは、私立高校の修学旅行に関し、延期等の場合については、基本的にそれに伴う手数料を請求しない方向で対応する旨を確認していた。

 しかしながら、11月以降の道内における警戒ステージの引き上げや全国的な感染拡大、さらには、国におけるGoToトラベル事業の見直しなど、状況の変化を踏まえ、あらためて実施状況を確認したところ、中止や延期の決定によって、キャンセル料等を請求される学校も出てきている。

 こうした状況を踏まえ、道としては、修学旅行の中止等に伴う保護者負担の軽減について検討していく。

◆学びの保障

Q木葉委員 道では、特別な配慮を必要とする生徒に対して、合理的配慮を行いながら、高校受検を支援していると承知している。長期入院を余儀なくされている生徒に対しても、学びの保障が必要であると考える。道教委では、これまでどのような対応を行っているのか、また、今後どのような対応を考えているのか伺う。

A山本指導担当局長 長期入院生徒への対応について。平成27年の学校教育法施行規則改正によって、高校においてインターネット等を活用し、受信側に教員を配置して双方向で行う遠隔授業が可能となり、令和元年には、病気療養中の生徒への授業配信には受信側の教員配置を要しないこと、さらに、2年5月には、修得する単位数の上限を撤廃するなど、遠隔授業の要件が緩和された。

 これまで、道立高校では、長期入院生徒の状況に応じて、教員が医療機関等を訪問して行う学習指導や、提出された課題レポートを添削指導するなどの対応を行ってきているが、2年度は、国の委託事業である高校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業において、道立高校に在籍する複数の入院生徒に対して遠隔授業等を行う学習支援に取り組んでいる。

 今後は、事業の成果を各高校等に周知するとともに、外部有識者の意見も参考にしながら支援体制の充実を図り、長期入院となる生徒の学びが保障されるよう取り組んでいく。

Q木葉委員 道はこれまで、少年院在院者に対しても高校の受検資格を保障するなどの取組を行っていると承知をしているが、今後どのような支援を考えているのか、道教委の認識と対応を伺う。

A唐川高校教育課長 少年院在院者への支援等について。2年、法務省に設置された少年院在院者に対する高校教育機会の提供に関する検討会が12月に取りまとめた報告書において、高校の学びを希望するすべての少年院在院者に学ぶ機会を提供することが重要であることから、少年院在院者に対して、少年院と通信制高校が連携を図り、高校教育の機会を在院中に提供し、出院後も学校に在籍して学びを継続するための今後考えられる施策の方向性が提言された。

 道教委としては、今後、3年度に実施される少年院と通信制高校の連携にかかるモデル事業の取組状況を注視し、国が示す方針なども踏まえた上で適切に対応していく。

Q木葉委員 長期入院や少年院在院に限らず、医療的ケアや障がい、虐待、暴力、ヤングケアラーなど、生活上に課題を抱えている生徒が、高校での学びを希望していることに対する道教委の認識とこれまでの対応および今後の対応について伺う。

A唐川高校教育課長 学びの保障について。高校に入学したあと、様々な事情によって、学校での学びが継続できなくなるケースがある中、学ぶ意欲や登校を希望する意思をもつ生徒もおり、そのような生徒に対して学びを保障することが大切だと認識している。

 道教委としては、これまで、登校することができなくなっている生徒に対して、各学校の教員が家庭訪問などによって学習を支援することや、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携し、登校できるようにするためのカウンセリングなど学びの機会を確保するよう努めてきた。

 今後も引き続き、生徒一人ひとりの状況に応じて、可能な限りきめ細かく対応することができるよう、家庭や関係機関等と連携するなどして、生徒の学びを継続するための支援を講じていく。

Q木葉委員 全国的に障がい等を理由に、志願者数が定員に満ちていないのに不合格となる定員内不合格があとを絶たない状況がある。道の高校入学者選抜における定員内不合格に対する認識を伺うとともに、どのようにそのことについて周知しているのか伺う。

A唐川高校教育課長 定員内不合格について。道教委では、元年12月2日付で入学希望者が募集人員に満たない場合には、特別な支障のない限り全員を合格とするよう各高校に通知しており、その判断に当たっては、高校教育課と相談するよう指導している。

 いずれにしても、合否の判断は、法令や入学者選抜実施要項に基づき、中学校から提出された資料や学力検査、面接の結果等を総合的に判断して校長が行うこととなっている。

Q木葉委員 2年度の高校入学者選抜の期日が迫ってきたが、新型コロナの終息は今なお見通すことができない。多くの生徒が不安を抱えながらの対応となっている。現時点で、2年度の入学者選抜に対し、道として生徒および中学校、高校に対しどのような対応を求めているのか伺う。

A赤間学校教育監 新型コロナウイルス感染症への対応について。道教委では、2年10月に、高校入学者選抜における感染防止の対応として、中学校に対し、学力検査や面接の際、マスクを着用すること、事前の健康観察の徹底を図ることなど、また、高校に対し、学力検査室等の消毒や座席間の距離を確保すること、発熱やせき等の症状のある受検者を別室で対応することなどの措置を講じるよう通知した。

 12月には、無症状の濃厚接触者の取扱いとして、PCR検査等の初期スクリーニングの結果が陰性であること、学力検査および面接等の当日において無症状であること、公共の交通機関を利用せず、かつ、人が密集する場所を避けて受検場に行くことの3つの要件をすべて満たす場合は、別室において受検を認めることとし、高校および中学校等へ通知している。

 道教委では、こうした対策のほか、受検できなかった生徒に追検査の機会を設けており、受検生の健康や安全が確保され、安心して受検に挑むことができるよう、感染状況等を見極めながら、引き続き万全の感染防止策を講じていく。

(道議会 2021-05-28付)

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