札幌市議会質疑 文教委員会(令和3年1月26日)(札幌市 2021-06-03付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼小竹ともこ委員(自由民主党)
▼しのだ江里子委員(民主市民連合)
▼くまがい誠一委員(公明党)
▼千葉なおこ委員(日本共産党)
▼石川さわ子議員(市民ネットワーク北海道)
▼藤田稔人委員(自由民主党)
▼水上美華委員(民主市民連合)
【答弁者】
▼山本健晴子ども未来局児童相談所担当局長
▼小田原史佳生涯学習部長
▼相沢克明学校教育部長=役職等は当時=
◆公立夜間中学
Q小竹委員 資生館小学校を設置場所に選定した理由について伺う。
A相沢学校教育部長 設置場所の選定理由について。公立夜間中学の設置に当たっては、生徒が市内の様々な地域から通学することが見込まれることから、交通利便性の高い都心部における開設が必要と考えた。
設置形態については、全国の多くの事例のように、公立夜間中学を既存の中学校に併設した場合、教職員定数の面で学校運営体制を充実させることが難しいことから、中学校への併設ではなく、単独校として設置する必要がある。
校舎は、早期開設を第一に考え、新設ではなく、既存の中学校以外の学校を活用することとし、バリアフリーであることを前提に、空きスペースがあり、大幅な施設改修の必要がない場所を検討してきた。
これらのことなどを総合的に勘案して、資生館小学校に公立夜間中学を設置することとした。
Q小竹委員 資生館小の施設を活用し、公立夜間中学に必要な教育活動をどのように行っていく予定なのかを伺う。
A相沢学校教育部長 資生館小の施設における夜間中学の教育活動について。公立夜間中学の専用のホームルーム教室については3教室を確保し、理科室や家庭科室、図書室などの特別教室や体育館については、資生館小と共有して教育活動を行っていく。
また、習熟の度合いによっては少人数での指導も必要であることから、専用の3教室に加え、共有する会議室や音楽室なども普通教室と同じように活用して授業を行うということを想定している。
加えて、中学校の教育内容を実施するために必要な図書や教材については新たに整備することとし、公立夜間中学として適切な教育環境を提供できるよう取り組んでいく。
Q小竹委員 令和3年度はどのような体制で開校準備を進めるのか伺う。
A相沢学校教育部長 3年度の開校準備体制について。これから開設する公立夜間中学は、政令指定都市初の単独校であり、他都市と状況も異なることから、検討する事項も多く、十分な体制を整え、開校準備を進める必要があると認識している。
このため、3年度については、年度当初から開校準備を専門に行うための部署を立ち上げるとともに、担当職員として、教員経験者も含め、2年度よりも人員を増やす予定である。
また、職員室の改修が完了する8月を目途に執務場所を教育委員会から資生館小内に移し、より実践的な教育内容の検討はもとより、日常的に資生館小との調整や入学希望者への丁寧な相談対応を行うなど開校準備に全力を挙げ、基本計画の理念を踏まえた学校づくりにつなげていきたい。
D小竹委員 全国の夜間中学においては、在籍者の8割の方が外国籍となっているとのこと。札幌においては、そういったことにはならないであろうという予想が立てられているが、ともすれば、最初の開校の理念からずれて、外国籍の方の日本語学校のようになってしまわないとも限らない。
在り方検討委員会の中でも、札幌市の日本語教育においてどの部分を夜間中学が担うのか、明確にすべきとのご意見があったとのこと。このような様々な課題に対しても丁寧な検討を加え、進めていただきたい。
Qしのだ委員 基本計画案の中に市民への広報・周知という記載があるが、具体的にどのように進めていくのか伺う。
A相沢学校教育部長 市民への広報・周知の進め方について。公立夜間中学については、道内で初めての開校となり、まだその認知度も高くないことから、この学校を必要とする方に正確な情報を確実に届けることが極めて重要であると認識している。
このため、生徒募集に向けて今後作成する学校紹介パンフレットについては、振り仮名つきに加えて、英語や中国語などの外国語版も作成し、自主夜間中学をはじめ、公立夜間中学の入学対象となる人を支援している団体と連携して配布するなど、積極的な周知に努めていく。
併せて、対象者本人への入学説明会はもとより、広く市民を対象とした公立夜間中学に関するシンポジウムを実施するなど、あらゆる機会を通して、対象者本人のみならず、市民全体の理解が深まるよう取組を進めていく。
Qしのだ委員 3年度の生徒募集のスケジュールや、現時点で想定している実施内容について伺う。
A相沢学校教育部長 生徒募集のスケジュールと実施内容について。3年度は、8月ころに、市民を対象としたシンポジウムに併せて、入学希望者向けの説明会を実施するとともに、9月ころには、資生館小を会場として実際に使用する教室の見学を含む学校説明会を開催するなど、具体的な学校生活をイメージできるような工夫のもと、公立夜間中学の教育内容等について周知していくことを想定している。
生徒募集については、入学を待ち望んでいる人の思いに寄り添い、可能な限り早期から開始することとし、現時点では9月からの募集を予定している。加えて、10月以降には、応募者全員を対象に、学びたいことや配慮事項などについての個別相談を順次行い、それを踏まえたきめ細かな対応を検討するなど、すべての生徒が安心して通えるよう着実な準備を進めていく。
Dしのだ委員 公立夜間中学は、原則、入学対象を札幌市内に居住する人となっているが、札幌近隣市町村から通学を考える人にとっては手を挙げづらいのではないかと聞いている。応募要項に関しては、より柔軟な対応をお願いしたい。
今後、自主夜間中学、遠友塾と意見交換されると聞いている。当事者の声をしっかり受け止めていただきたい。札幌モデルと言われるこの夜間中学は、全国から熱い注目がされていると聞く。開校後も、多様な生徒の意向を十分に生かし、より良い学校づくりを深化し続けていただきたい。
Qくまがい委員 基本計画案において、札幌市若者支援総合センターや札幌国際プラザ、自主夜間中学、市立札幌大通高校など関係機関等との連携を検討するとされている。どのようなねらいがあるのか伺う。
A相沢学校教育部長 関係機関等との連携のねらいについて。公立夜間中学には、高齢者や不登校経験者、外国籍の人といった多様な生徒の入学が見込まれており、市民アンケートからも教育ニーズが多岐にわたるものと想定をしている。学校としても可能な限り充実した体制を整えていきたいと考えているが、そうした多様なニーズについては、学校以外の様々な人とともに取組を進めていくことで、より一層、きめ細かな対応が可能であると認識している。
具体的には、悩みを抱える若者への支援に対しては市若者支援総合センター、外国籍の人に対する支援に対しては札幌国際プラザ、さらなる学び直しを求める人への学習支援の在り方については指導実績のある自主夜間中学や市立札幌大通高との連携を想定している。
教育委員会としては、このほかにも様々な関係機関やボランティアを含めた市民の協力をいただきながら、ともに生徒一人ひとりの夢や願いの実現につながる学校づくりを進めたいと考えている。
Qくまがい委員 学校名については、どのような形で検討する予定なのかを伺う。
A相沢学校教育部長 学校名の検討方法について。公立夜間中学は、多くの市民にとって身近な存在である学校にしたいと考えている。そのためには、学校の象徴ともなる学校名についても広く意見を聞くことが大切であると考えている。併せて、市民に学校名を考えていただくに当たっては、札幌市が設置する公立夜間中学の理念や内容について理解いただくことが望ましいと認識している。
今後、実施を予定しているパブリックコメントに併せて、学校名の公募を行うという、これまでにない初めての方法で取組を進めていきたいと考えている。
また、資料の配布に当たっても、一般に行われている区役所やまちづくりセンターへの配架に加えて、市立学校や連携を予定している自主夜間中学などの各種団体はもとより、道教育大学などの協力いただける関係機関を通じた配布も行うなど、可能な限り幅広く情報を提供していく。
教育委員会としては、こうした取組を進め、より多くの方に公立夜間中学に関心をもってもらい、積極的に意見をいただくなど、学校名の検討に向けた取組そのものを市民とともにつくり上げ、身近な存在となる学校づくりのスタートにしたいと考えている。
Dくまがい委員 学校名に併せて、市民や入校される皆さんの意見を伺いながら、必要であれば校歌や校章といったものもぜひ検討していただければ、さらに広く知れわたることとともに、卒業された皆さんにとって思い入れのある学校になっていくのではないかと思う。
Q千葉委員 札幌遠友塾自主夜間中学が行ってきた活動を、市はどのように評価しているのか伺う。
A小田原生涯学習部長 札幌遠友塾自主夜間中学のこれまでの取組に対する評価について。札幌遠友塾自主夜間中学は、様々な事情によって十分な学びの機会が得られなかった人のために、平成2年から学びの場を提供している。
この間、500人以上が学んできたと伺っている。このように、多くの方々の多様な学びを支えたその活動は、大変意義深いものと認識している。
Q千葉委員 市が開設する公立夜間中学は、単独校として開設し、国の基準に基づいて配置される教職員数は、校長を含め11人となっている。
入学対象は主に、戦後の混乱期等で義務教育を未修了の人、不登校等様々な理由で十分に中学校に通えなかった人、本国で義務教育を修了していない外国籍の人を想定している。
公立夜間中学は生徒の国籍や年齢、事情など多様な生徒が在籍することを踏まえ、教職員の配置や人事異動についてはどのように考えているのか、また、勤務する教員の研修はどのように実施していく予定なのか伺う。
A相沢学校教育部長 教職員人事に対する考え方、勤務する教員の研修について。公立夜間中学には、学齢期に様々な理由によって学ぶ機会を得ることができなかった高齢者や不登校経験者、外国籍の人など、多様な生徒の入学を想定している。
教育委員会としては、多様な生徒の誰もが安心して学びの主役となれる学校の環境を整えることが大切であると考えており、中学校のみならず、小学校等を含めた幅広い校種から教職員を配置するなど、多様な経験を有する教職員がチームとなって学校づくりに取り組むことができるよう、体制を整備していきたいと考えている。
また、教員への研修についても重要と認識しており、校内研修はもとより、国が行う日本語指導講習への参加や、他都市の公立夜間中学への先進事例の視察も行うなど、教員の資質向上に努めたいと考えている。
D千葉委員 アンケートにない声、想定外に対して向き合っていく姿勢は、夜間中学においては重要。現在、想定している学校規模は1学年1学級だが、公立夜間中学が市民に定着することで、入学希望者が増えることも今後あるのではないか。
開校時の姿が最終完成形ではない。その場合には、学校づくりの視点の一つである、少人数体制の充実の視点で複数学級を検討することや、教員やサポーターを増員すること、また、夜に通えない人たちのためにも、昼間の部があってもいいのではないかとも思う。
様々なニーズに応える柔軟さをもちながら、札幌らしい公立夜間中学を目指していただきたい。
Q石川議員 どのような考え方で公立夜間中学に6年までという在籍期間の上限を設定したのか伺う。
A相沢学校教育部長 在籍上限の考え方について。公立夜間中学も学校教育法上の中学校であり、全国の公立夜間中学においては、法定の修業年限である3年に合わせて、半数以上が在籍期間の上限を原則3年としている状況にある。
一方で、入学の可能性のある市民を対象に、市が2年1月から2月にかけて実施をしたアンケートによると、小学校からの学び直しや、じっくり学ぶために4年以上の通学を希望する声などがあり、市の公立夜間中学においては、修業年限を原則3年としつつも、多様なニーズに応えるという観点から必要に応じて最長6年までの在籍を可能とした。
D石川議員 全国の夜間中学においては、修業年限は6年または9年、あるいは、特に定めないとする学校もあると聞いている。ゆとりのある修業年限の設定について検討していただきたい。
また、高齢者が入学した場合には、仮に目標の年数で学び切れないような場合については柔軟な対応をしていただくこと求める。
Q石川議員 公立夜間中学は週5日の授業を行うということである。毎日通うことが困難な人については、どのように対応するのか伺う。
A相沢学校教育部長 毎日通うことが困難な生徒への対応について。公立夜間中学においては、中学校の学習内容を学ぶ上で積み重ねや連続性が大切であり、1週間に5日間、毎日通学して学ぶということが基本であると考えている。
しかしながら、公立夜間中学に通われる人の中には、何らかの事情によって継続的な通学が困難となる人もいると想定している。このような場合についても、生徒に寄り添い、通学できない理由を十分に聞き取るとともに、学校生活を継続するための具体的な方法について、生徒とともに考え、できることから実施するなど、丁寧かつ柔軟な対応に努めたいと考えている。
◆児童相談体制強化プラン案
Q藤田委員 子どもの数は減少している中、児童虐待等への対策に取り組んでも、相談や保護の件数が減少しない事態をどのように認識しているのか伺う。
また、様々な取組を通じて児童虐待をなくすことを目指す必要があると考えるが、その点についても併せて伺う。
A山本児童相談所担当局長 相談受理件数などについて。児童虐待の通告件数は増加の一途をたどっており、札幌市の令和元年度の通告件数は2100件。全国的にも虐待通告の件数が増加しており、背景の一つとして、社会全体の児童虐待への関心の高まりが考えられる。子どもの泣き声が続くなど心配になることがあれば児童相談所などに知らせるということが、児童虐待への対策を進めていく中で関係機関を含めて浸透してきている。そういった中で、これまで支援に結び付いていなかったケースもあると考えている。
より早く安全を確認し、より早く必要な介入や支援を行うという取組が増加にも結び付いているようにも認識をしている。一人でも多く虐待に直面している子どもを守ること、あるいは、保護者に適切な支援をすることで、虐待を減らし、なくしていくということは何よりも重要だと考えている。児童相談所や各区の取組を通じて、子どもや家庭に対する個別的な支援を充実させ、虐待の予防、重篤化の防止、あるいは再発をさせないということにしっかり取り組み、できるだけ早く減少を目指したいと考えている。
Q藤田委員 今後、どのように一時保護体制を強化し、子どもの状況に応じた一時保護に対応していくのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 一時保護体制について。子どもの生命の安全を確保するため、一時保護が必要な子どもを速やかに保護できるよう、その受け皿をしっかりと確保していくことは大変重要である。
これまで、子どもの状況に応じて、一時保護所による一時保護のほか、児童養護施設や里親、あるいはファミリーホームといったところへの一時保護委託というものも実施してきた。今後も、一時保護が必要な子どもは増加する見込みであり、一時保護所の増設や、児童養護施設における一時保護施設の設置を推進するなどして、子どもの安全をしっかり確保していきたい。
Q藤田委員 各区の家庭児童相談室の人員体制など、相談支援体制の強化にどのように取り組んでいくのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 各区における相談支援体制の強化について。家庭児童相談室は、各区に設置されていることから、児童相談所に比べ、地域ごとに展開する関係機関と緊密に協働しながら支援を展開できるという強みがあり、こうした特性を充実させていく必要があると考えている。
一方で、児童相談所の専門的助言や、同行訪問といった形を充実させていくことによって、家庭児童相談室での支援の専門性を一層向上させていくことも重要である。
こうした課題を実現していくために、国が市町村に設置を促している子ども家庭総合支援拠点の機能を各区に備えることで、地域や区の機能を生かしつつ専門性の高い支援体制を確保していきたいと考えている。
Q藤田委員 計画では、第2児童相談所の整備概要として、約4000平方㍍を予定しているとのことだが、一時保護の定員確保や必要な機能を確保する観点から、これで十分な機能であるのかどうか伺う。
A山本児童相談所担当局長 第2児童相談所について。管轄区域としては、白石、厚別、豊平、清田の4区を想定している。その中で、増加が見込まれる相談者に対応できる面接室や心理検査室、医務室などを確保することとしている。一時保護所についても、学齢児は個室化を図ることや、専用の体育スペースを取ることなど、子どもたちの生活環境に配慮した空間の整備を進めていく考え。
概ね4000平方㍍程度あれば、児童相談所としての機能を網羅し、子どもに配慮した施設整備が可能と考えており、相談しやすい施設を目指し、設計においても十分に反映させていきたいと考えている。
D藤田委員 第2児童相談所の設置については、言うまでもなく喫緊の課題である。これから具体的な設計に着手すると思うが、予定地周辺、特に隣の認定こども園の意見、要望などはしっかりと受け止めていただきたい。
また、令和7年度の開設予定とあったが、できるだけ早急に開設できるよう尽力いただきたい。
Q水上委員 プランにある具体的取組では、子どもの権利擁護にふれられており、大変よい視点であると考えているが、市子どもの権利条例との関係性について、具体例としてどのような形で権利擁護が担保されているのか伺う。
また、第三者による定期的な立入り監査など、子どもの権利擁護や透明性を確保する上でも必要な取組であると考えるが、現状は実施されていない状況であり、実施に向けて前向きに取り組んでいただきたい。児童相談所の見解を伺う。
A山本児童相談所担当局長 子どもの権利条例との関係性について。今回の3次プランに反映させた児童福祉法の改正と市の子どもの権利条例は、いずれも国連の児童の権利に関する条約の理念を背景とする。
子どもの権利条例第8条の安心して生きる権利にある「いじめ、虐待、体罰などから心や体が守られること」や「気軽に相談し、適切な支援を受けること」については、児童相談所等での相談支援活動、場合によっては一時保護などで権利擁護が図られているものと認識している。
また、第11条の参加する権利にある「子どもは、自分にかかわることに参加することができる」については、社会的養護を受ける子どもの意見を聞く場の設定などの取組を通じて担保していきたいと考えている。
第三者による定期的な監査などについて。児童相談所が行う業務の質の向上に向けては、評価を行って継続的に改善に努めていくことが今後必要であると認識している。
現在、国では、標準的な指標や実施方法等の策定に向けて検討を進めており、ガイドラインの案なども示されている。今後、それらを用いた自己点検の実施などに取り組み、第三者評価の実施につなげていきたいと考えている。
Q水上委員 市児童相談所としては、子どもたちの意見を聞く場を検討されていることがあれば示していただきたい。子どもの意見を聞く場の設定やアドボケイト制度の検討がプランの中にある。具体的にどのようなことを検討されているのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 権利擁護と透明性の確保について。現在の児童相談所には、総合受付窓口と一時保護所の中に意見箱を設置しており、来所者や子どもたちから直接意見を聞く仕組みがある。また、子どもの最善の利益を確保するという観点から、弁護士の協力を得て、社会的養護の経験者から、一時保護所や施設などでの生活で感じたことを聞き取り、今後の運営の参考となる対応をしている。
今後、子どもの権利擁護の観点からも、これまで以上に子どもたちから直接声を聞くことができるような取組を充実させていきたいと考えている。
子どもの意見を聞く場の設定やアドボケイト制度の検討について。子どもの意見を聞く場の設定に当たっては、児童福祉に関する審議会を活用した手法が国から示されている。
こうした制度を活用して子どもが意見表明できる機会を確保し、意見を調査、審議することができる枠組みを設定できるよう、検討を進めていきたいと考えている。
アドボケイト制度に関しては、子どもの意見表明を支援する職員等の育成などの先進事例を参考に、相談や支援の各場面での子どもの状況に応じた制度の在り方について検討していきたいと考えている。
Q水上委員 専門的な知見を有する職員の確保や育成、配置が極めて重要になる。経験の蓄積なども重要であることに加え、今後、児童相談所の2所体制化に向けて、職員確保については正規職員を安定的に配置することが望ましいと考えている。児童相談所の見解を伺う。
加えて、現在の正規職員と会計年度任用職員それぞれの数と、この2年間に増員配置された正規職員および会計年度任用職員の人数について伺う。
A山本児童相談所担当局長 児童相談所への正規職員の配置について。児童相談所を将来にわたって専門組織として機能させていくためには、正規職員を国の基準に基づいて計画的に配置し、経験値を高めていくということが必要であると認識している。
児童相談所の正規職員と会計年度任用職員の数について。現在の児童相談所内の正規職員は133人、会計年度任用職員は100人。
この2年間で増員された正規職員は16人、会計年度任用職員は22人。会計年度任用職員は100人だが、そのうち47人は一時保護所に勤務する職員でる。
会計年度任用職員は、学校教育や児童福祉の現場経験を生かして勤務している人たちである。虐待対応の支援員が9人いるが、これも学校教育や警察の勤務経験のある人といったような、それぞれの職務に応じた特性、専門性を生かした技能をもつ人を採用し、配置している。
Q水上委員 増加する一時保護案件に対応するため、市では、令和3年秋ころ、仮設一時保護所の開設が予定されている。さらに、7年度には第2児童相談所へ一時保護所の設置も予定されている。
一時保護所の担当職員についても、国による職員配置基準はあくまでも最低限必要な人数であり、多様な保護案件への対応や、子どもたちと向き合える時間を確保するためには、市独自の基準を設け、国の配置基準以上の人員配置が必要ではないかと考える。
児童相談所としての見解を伺う。
A山本児童相談所担当局長 一時保護担当職員の配置基準について。一時保護所は、国が示す児童養護施設にかかる児童福祉施設設備・運営基準の規定を準用することで職員を配置している。
一方、一時保護所は、24時間365日、子どもを受け入れ、日々、入れ替わるといった特性もある。したがって、独自の基準を設けるように、全国児童相談所長会から国に対して要望を重ねている。
Q水上委員 体系的な研修の計画と実施についても滞ることなく進めていく必要があると考えている。
児童相談所として、どのように考えているのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 体系的な研修の計画、実施について。専門職員の育成には、職位や担当業務や経験年数に応じた体系的な研修による知識と技術の習得が有効と考えている。こうした点は、外部の専門家のアドバイスなどもいただきながら、研修計画を策定する中で実効的な研修となるよう、その充実に努めたいと考えている。
D水上委員 警察との関係について、座学の研修などもそうだが、実際に家庭などへの立ち入りの際などの研修などを実験的に行うなど、実践研修の充実もぜひ進めていただきたい。
Q水上委員 一時保護の在所日数の上限について、概ね2ヵ月程度と伺っている。一時保護所において在所日数が4ヵ月以上となる人の数、今、最も長い子どもで何日程度一時保護所に在籍している状況なのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 一時保護されている子どもたちの在籍日数について。2年12月末までの2年度の一時保護児童については、在所日数が4ヵ月以上となる児童は39人。このうち、最も長い在所日数の子どもは409日である。
Q水上委員 市児童相談所の場合、ほとんどのケースで、在所期間中については学校への通学が認められないと伺っている。その間の学習は一時保護所内で行われているが、在籍・在所日数が長期になるケースなどは、通学が可能な児童生徒については学校と連携の上、一時保護所よって通学することができるといった仕組みがある。
特に、高校では欠席扱いとなり、留年の恐れも出るため、名古屋市などの取組のように、通学可能なシェルターを利用することなどが必要であると考えている。
市の一時保護所において、同様の取組を検討する余地について見解を伺う。
A山本児童相談所担当局長 一時保護児童の通学について。子どもの状況に応じて、可能な場合には、児童養護施設とか里親などへの一時保護委託という形で、在籍している学校への通学が継続できるよう配慮している。
一方で、一時保護所に来る子どもたちの背景には、虐待であったり様々な要因があるので、通学が可能かどうかはやはり子どもたちの状況に応じて様々である。したがって、他の自治体の取組も参考にして、子どもたちの通学について状況に応じた確保策を検討していきたいと考えている。
D水上委員 コロナ禍において、オンライン授業の整備などが進められている。一時保護所でも、対応できるような形を取っていただきたいと思う。
Q水上委員 現在建設が予定されている第2児童相談所において、今、大規模化から小規模化へとシフトされている児童養護施設と同様に、ある程度、プライベートが確保されるように、従来の大部屋から個室化への移行も今後必要ではないかと考える。見解を伺う。
A山本児童相談所担当局長 一時保護所の居室の個室化について。一時保護所に入所する子どもは、その年齢や一時保護を要する背景も様々である。落ち着いた生活を送るためには、個室での生活は望ましいと考えている。
第2児童相談所の整備に当たっても、一時保護所の整備については、学齢児にはすべて個室を予定している。
D水上委員 児童相談所を運営するに当たり、安定的な人材の確保と同時に、担当する職員のスキルの違いによって運営体制が変わるようなことが決して起こらないよう、明確な運営指針や第三者による定期的な監査を行うなど、透明化にもしっかりと努めていただきたい。それらの知識の蓄積という観点からも、児童相談所の職員については、原則、正規職員として配置することを強く要望する。
Qくまがい委員 第3次強化プラン案でも、要保護児童対策地域協議会(〓要対協)の機能を活用して各相談機関の機能や連携を強化するとある。現行の第2次プランでも関係機関の連携を強化することをうたっていたと思うが、これまでの取組の具体的な成果について伺う。
A山本児童相談所担当局長 これまでの取組について。関係機関との情報共有や支援策の議論の土台となる在宅支援アセスメントシートを開発して、関係機関の連携や、児童虐待のリスク判断といった支援に生かしてきた。
その結果、令和2年度の個別ケース検討会議の開催数は12月末現在で833事例となり、元年度の786事例をすでに上回るなど、支援の充実が進んでいると認識している。
Qくまがい委員 今回策定する第3次プランでは、具体的にどういった取組を行い、要対協の機能を強化させていくのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 今後の要保護児童対策地域協議会(要対協)の機能強化について。これまでの取組の中でさらに浮き彫りになった課題に対して、第3次プランでは、効果的に取り組むことでこの要対協の支援機能を強化したいと考えている。例えば、子どもが生まれる前の段階から、特定妊婦など一定のリスクがある母親に対して、関係機関の連携を強化してこれまで以上に円滑な出生後の支援につなげていきたい。
また、要対協の事務局を担う家庭児童相談室の職員についても、児童福祉部門間での人事交流などによって専門性を高めるなど、支援水準を向上させていきたいと考えている。
Qくまがい委員 被虐待経験や障がいのある児童を受託する里親に対して、里親のリクルートから登録のための研修、児童の委託後の支援まで、包括的に支援を実施するフォスタリング機関はどのように支援しようとしているのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 被虐待経験や障がいのある児童を受け入れる里親へのフォスタリング機関の支援について。現在、里親支援機関では、里親の当事者によるサロン活動や、施設職員や先輩里親による訪問、育児技術向上を目的とした研修を行っている。
そうした中、被虐待経験等のある児童の増加を背景に、里親支援機関にはこのような児童を受け入れる里親に対して、心理的な視点から助言や相談に応じていくことが求められている。
そこで、3年度から、業務委託をするフォスタリング機関に心理訪問支援員の配置を検討している。子どもたちの状況や関係機関の支援体制を的確に把握して、里親が安心して養育に専念できるよう、積極的な訪問支援を展開していきたい。
Qくまがい委員 施設から里親への移行促進のため、今後どのような取組を行おうとしているのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 施設から里親への移行促進のための取組について。2年度、市内すべての乳児院や児童養護施設に里親支援の専門相談員が配置された。これによって、入所児童が里親へ移行する際、その児童の情報を里親と共有して移行を支援する取組も進んでいる。
これによって、里親へ移行したあとも、以前入所していた施設での一時預かりも円滑になり、里親の負担軽減にもつながるといった効果も期待できると考えている。
今後も、家庭復帰も含めた支援の充実を図るとともに、課題となっていた正式委託前の子どもを預かる際に発生してしまう里親の経済的負担の軽減策なども併せて検討していきたい。
Q千葉委員 専門的な力量をもつ職員の育成や人事異動のサイクルについて、具体的にどのように取り組んでいくのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 専門的な力量をもつ職員の育成あるいは人事異動について。これまで、児童相談所や区の家庭児童相談室の職員を増員してきた。これは、一方で、子どもの相談支援にかかわる人材育成の受け皿の拡大でもあると認識している。
児童相談所と家庭児童相談室など区役所の相談支援部門との人事交流、これが経験を蓄積して専門性を高めていく上で有効であると考えており、今後、こうした人事異動の規模は拡大していきたいと考えている。
また、外部専門家の知見を生かして研修の実効性を高める仕組みを構築して、体系的な研修を通じて、業務内容や経験年数に応じた育成が図られるよう取り組んでいきたい。
Q千葉委員 (プラン案には)元年から6年までの児童相談所や一時保護児童数など、4つの件数に対しての推計があり、児童相談所の相談件数、区家庭児童相談室の相談件数は本当に大きく増加すると書かれている。
増加を想定する場合、児童相談所、また区家庭児童相談室の人員体制についてどのように考えているのか伺う。
A山本児童相談所担当局長 児童相談所や区の家庭児童相談室の人員体制について。まず、児童相談所の人員体制については、国基準に基づく児童福祉司や児童心理司の配置を計画的に進めていくと考えている。
また、区の家庭児童相談室は、地域に近いという特性を生かして、要対協のネットワークを生かした複数の目での見守りや支援を充実させていくことで、機能や体制の強化を図っていきたい。
さらに、児童情報の連携システムの導入あるいは事務進行管理の見直しなどによる効率化、区の家庭児童相談室への児童相談所からの支援を充実させて、総合的な取組によって相談支援体制を確立していきたいと考えている。
Q千葉委員 児童相談所の第三者評価の導入について伺う。
第2児童相談所設置予定の中で、新たに一時保護の定員を拡充することからも、現在の一時保護所をまずは優先して第三者評価を行い、日常の課題などを明らかにすることで、第2児童相談所にも生かしてはどうか。また、児童相談所の第三者評価の導入に向けて、今後、課題等があれば伺う。
A山本児童相談所担当局長 児童相談所業務への第三者評価の導入と、その課題について。第三者評価導入に当たっては、国はガイドラインの案を示して検討を進めている。評価を行う機関や体制をどうするかといった点が課題であろうと考えている。
そこで、自己点検を先行させた上で、一時保護業務も含め、児童相談所業務の評価ができる限り早期に行われるよう、課題を整理し実施に移していきたい。
(札幌市 2021-06-03付)
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札幌市立高校生を対象に食と農業に関する教育プログラムを実施するアニマドーレプロジェクトについて、本年度から市立高校ポータルサイトで参加生徒を募集する。プロジェクトにかかわって本年度は、7月...(2021-06-04) 全て読む
第二児相 5年度着工 札幌市 建築設計業務など公告
札幌市は5月31日付で、仮称・第二児童相談所新築工事にかかる建築設計および設備設計を公募型プロポーザルで公告した。本年度から基本設計と実施設計を進め、令和5年度の工事着手。7年度の施設開設...(2021-06-03) 全て読む
フリースクール等対象コロナ対策 上限は1施設30万円 札幌市 補助申請受付中
札幌市は、フリースクール等の民間施設の感染症対策に必要な経費の補助を目的としたフリースクール等民間施設における新型コロナウイルス感染症対策事業費臨時補助金の申請を30日まで受け付けている。...(2021-06-03) 全て読む
8月24日まで申請受付 8月24日まで申請受付 札幌市教委 10月からの就学援助
札幌市教委は、ことし10月から令和4年9月の就学援助における申請を受け付けている。 市は、保護者の負担軽減や利便性向上等を目的として、3年度から就学援助の制度を改正。就学援助を受けてい...(2021-06-03) 全て読む
札幌市P協 2年度優良PTA表彰 15校1園の取組たたえ
札幌市PTA協議会の令和2年度優良PTA表彰校が決定した。15校1園のPTAが受賞。各教育活動の充実に大きく貢献したPTAの取組をたたえた。受賞PTAおよび取組の概要はつぎのとおり。 ▼...(2021-06-03) 全て読む
札幌市教委 食材提供時期も確認 11月に活用校交流会 学校給食フードリサイクル
札幌市教委は5月28日、市内のSTV北2条ビルで、さっぽろ学校給食フードリサイクル連絡会議を開いた。教職員や農業関係者など19人が出席。前年度の事業報告のほか、本年度の事業計画案を審議。1...(2021-06-02) 全て読む
北数教小学校部会札幌支部 支部長に大桃氏(中の島小) 11~12月 研究大会
道算数数学教育会(=北数教)小学校部会札幌支部の令和3年度役員などが決まった。新支部長に中の島小学校の大桃規之校長を選出。事業計画には、7月に夏の学習会、4年1月に冬の学習会を開くほか、1...(2021-06-02) 全て読む
札幌市立高・特校長会2年度事業報告 研究紀要から 第3回
◆国際教育推進委員会 平成26年3月に札幌市教育振興基本計画が策定され、市立高校改革もつぎの10年の新たなスタートを切ったが、国際性を育む学習機会の充実については、今後も重要事項として継...(2021-06-02) 全て読む