札幌市立高・特校長会2年度事業報告 研究紀要から 第11回
(札幌市 2021-06-15付)

◆教科別研究協議会

【はじめに】

 平成26年度、数学、情報の2教科で試行実施された札幌市立高校教科別研究協議会は、27年度から全教科で実施され、6年目となった。研究協議会の「目的」は、つぎのとおりである。

【教科別研究協議会中止に伴う、令和2年度の取組】

▼中止の経緯等

 新型コロナウイルス感染症の影響によって、3密を避けることが必要なことから、様々な会議等が中止や延期となっている。例年行っている本協議会についても、感染防止の観点から、主催である札幌市教委から中止の通知を受けた。

 ただし、単なる中止ではなく、各教科において教科部会を開催し、各校の現状や課題について情報を共有することが必須となった。

▼名称

 本協議会が中止となったことから、令和2年度については、この名称を使わず教科部会に統一して使用することとする。

▼教科幹事の選出

 各校、各教科の幹事(取りまとめ)を選出する。

▼テーマの設定

 事務局が提示するテーマ(案)はつぎのとおりとし、これらによらず、各教科部会で独自にテーマを設定してもよいこととした。

▽生徒の学ぶ意欲を引き出し、主体的に学ぶ喜びを実感させる魅力ある授業について

▽新型コロナウイルス感染症にかかわる臨時休業中の課題の提示について

▽新型コロナウイルス感染症にかかわる臨時休業中の動画の発信について

▽オンライン授業の可能性について

▼実施方法

◇教科部会(幹事会)

▽校務用PCの掲示板やメッセージを用いた書面による会議として実施する。教科部会の裁量によって、会場校に集合、またはウェブ会議システムZoomなどを利用した会議形式も可とする

▽教科部会(幹事会)は8月末までに実施する

▽教科部会の会議形式、および実施日程とテーマの設定を行う

▽参加者は例年と同様、各校の教科幹事と担当副校長・教頭とする

◇教科部会

▽設定したテーマについて教科部会を行い、各校の現状や課題について情報を共有する

▽校務用PCの掲示板やメッセージを用いた書面による会議として実施することとするが、教科部会の裁量で、会場校に集合、またはZoomなどを利用した会議形式も可とする

▽教科部会は10月末までに実施する

▽参加者は教科部会(幹事会)と同様、各校の教科幹事と担当副校長・教頭とする

▽会場校の教科幹事は、教科部会の会議録をまとめ、会場校の管理職を通して11月末までに事務局担当に提出する

▽各教科部会の会議録は事務局が校務用PCの掲示板に掲載する 

▽事後アンケートは、本年度については実施しないこととする

▼実施を振り返って

 2年度は、イレギュラーな開催となったが、各校の教科幹事が各校の意見集約を積極的に実施し、各教科部会で2年度のテーマにおける総括と報告が行われた。例年実施しているアンケートは行わないことが確認されているため、次年度に向けた方針等は、元年度の反省等を受け、本協議会担当管理職から12月の第4回副校長・教頭会において指針が出された。

 2年度のイレギュラーな開催に関する評価は、アンケート等が行われていないため記述は避けるが、各校のコロナ禍における取組を共有できたことは一定の評価ができる。

 3年度開催に向けて参考までに元年度のアンケート結果を再掲する。

【元年度教科別研究協議会アンケートより】

▼評価できる点

▽市立高校の教員が教科ごとに一堂に会して研究協議ができた

▽公開授業は他校の生徒の活動の様子を見て研修する貴重な機会となった

▽次期学習指導要領の説明は有意義であった

▽会場校(当番校)の先生方の努力でよい研修会となった

▼改善が必要な点

▽毎年同じ時期の開催のため、公開授業の内容(単元)が固定化する傾向にある。また、普通の授業を見ても議論が活性化しないという意見もある

▽公開授業が一巡した教科については、公開授業に代わる研修会・講演会が可能なのかとういう意見があった。また、情報交換や悩みの共有、講師の招聘、ワークショップなど、いろいろな可能性を探るべきだという意見がある

▽全教科統一日程について、一斉開催により無理がかかっている現状を指摘する意見がある

▽10月第1週の開催時期について、後期始まり直後、見学旅行直前、高文連大会に重なるなどの理由で適切ではないという意見がある。一方で札幌大通高校の学校事情では、秋季休業中のこの時期が都合がよい

▽新学習指導要領の説明は時間的に十分とはいえず、今後も継続する必要がある

 アンケートでは8割以上が「十分満足できた」または「満足できた」と回答しており、本研究協議会の成果を感じている。しかし、教員の教科力(授業力)の向上や、教科指導について相互に学ぶ機会として本研究協議会を充実させるためには、さらなる工夫改善が必要であるとの意見もある。研究協議の方法やテーマについては、各教科の特性を尊重しつつも、教科間で情報を共有し、授業改善につながるような方策を検討していく必要がある。

【3年度の教科別研究協議会に向けて】

 3年度の教科別研究協議会について、事務局、校長会、市教委でつぎのことが確認された。

▼10月6日に実施する

▽2年度は公開(研究)授業が実施できなかったため、2年度の教科部会幹事校が、そのまま3年度の会場校となる

▽これによって、26年度に先行実施した数学、情報以外の教科部会は、来年度で公開(研究)授業が各校一巡することとなる

 4年度に開始する新学習指導要領では言語活動の充実をはじめとして、理数教育や外国語教育、道徳教育、体験活動の充実等が求められていることから、評価の改善、授業改善等について市立高校全体で情報を共有するとともに、新しい時代の学びについて見識を深める研修の場としたい。

(札幌市 2021-06-15付)

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