文科省 学校の働き方改革取組状況 業務支援員配置拡充など 各施策の方向性整理し示す
(国 2021-09-06付)

 文部科学省は8月27日、学校における働き方改革推進本部(第5回)をオンライン開催し、学校における働き方改革に関する取組状況を示した。教員業務支援員の配置拡充、部活動の地域移行など、各施策の今後の方向性を整理して示した。各施策の方向性はつぎのとおり。

【指導体制の整備】

▼教職員定数の改善

▽小学校の35人学級の計画的な実施を進めるとともに、多面的な観点からその効果の検証等を行い、その結果を踏まえ、中学校を含めた学校の望ましい指導体制の在り方を検討する

▼支援スタッフの配置拡充

▽教員業務支援員などの支援スタッフの配置をさらに拡充するため、令和4年度予算要求において対応

▽教員業務支援員などについて、学校教育法施行規則に位置付け、地方自治体における配置を促進

▽支援スタッフの活用の効果に関する検証を行い、今後の望ましい指導体制に向けた役割や配置の在り方を検討

【授業】

▼教科担任制の推進

 「義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について」に示された定数確保の方向性を踏まえ、4年度からの予算要求において対応

▼標準授業時数の弾力化

▽今後、授業時数特例校制度の実施状況や研究開発学校における成果を検証し、結果を踏まえ、標準授業時数の在り方について検討

【部活動の見直し】

▼休日の部活動の段階的な地域移行の全国展開

▽有識者検討会議において、5年度から着実に段階的な地域移行を進めるために、地域の受け皿整備、連携方策、地域部活動等の在り方、指導者の質・量の確保方策、大会の在り方などについて検討

▽実践研究において、地域の実情に応じた多様な取組事例を創出するとともに、成果を全国に広く情報発信

【教員免許更新制の検証】

▼発展的解消に向けた具体的検討・調整に着手

▽中央教育審議会において教員免許更新制について方向性が示されつつあることを踏まえ、文科省として必要な体制を整備した上で、公立学校教師の任命権者に対する研修受講履歴の記録管理、履歴を活用した受講の奨励の義務づけ、教師の資質能力に関する国の指針の改正など、現職研修の充実や教員免許更新制の発展的解消に向けた具体的検討・調整に着手

▽教師の成長に責任を有する学校管理職の在り方の見直し、マネジメント能力の向上が進んでいくことが新たな教師の学びの姿を実現する上で必須の条件であることから、教職員集団を率いる校長等の管理職の在り方についても、中教審の議論も踏まえながら検討を深める

【学校向け調査の削減】

▼統計調査

▽オンライン調査の回答画面において入力項目に関する手引きを適宜参照できる機能を追加するなどによって、回答者の負担軽減に資する取組の実施検討を進めており、3年度の学校基本調査から順次実施

▽4年度の次期統計システム導入に併せ、学校基本調査や学校教員統計調査において、全国の学校に固有のコードとなる学校コードを活用することで回答項目の削減を進め回答者の負担軽減を図る

▽統計調査について、調査項目や調査対象の差異や重複について明らかにすることで、重複項目の削減などの可能性について検討を進める

▼その他調査

▽学校現場を対象として行う調査について、調査頻度や調査項目の削減など不断の見直しを行う

【全国学力・学習状況調査】

▼試行・検証の結果を踏まえたCBT化の検討

▽全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ最終まとめを踏まえ、6年度からの順次CBTの導入に向けて、3年度以降、試行・検証によって課題の抽出とその解決を繰り返し、着実に実現に向けて取り組む

▽3年10~11月、約1万人の児童生徒を対象に小規模からの試行・検証を実施予定。学校での実施体制や必要となるサポート体制などについても検証

▽児童生徒質問紙調査における端末を活用したオンラインでの回答方式について、3年度の実施状況などを踏まえ、4年度以降の調査における対象規模の拡大に向けて検討

【改正給特法の着実な実施と客観的な勤務時間管理の徹底】

▼改正給特法の着実な実施

▽在校等時間等に関する指針については、すべての都道府県・指定都市において、3年度中に条例・規則等の整備が行われるよう、引き続き状況を把握するとともに、必要に応じて指導

▽1年単位の変形労働時間制については、個別の問い合わせへの丁寧な対応やQ&Aの改訂などを行い、引き続き制度の意義や内容等について周知を図る

▼客観的な勤務時間管理の取組の促進

▽在校等時間を把握していない市区町村教委に対し、個別に状況を確認し、在校等時間把握に向けた取組が十分でない場合は指導する

▽すべての都道府県・市区町村教委において、3年度中にICカード、タイムカード、パソコンの使用時間の記録などによる客観的な方法で在校等時間を把握することを目指し、あらゆる機会をとらえて教育委員会に対する指導助言を徹底

▽引き続き、教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査において自治体ごとの状況を公表するとともに、在校等時間を把握していない市区町村教委については、具体の市町村名を明示

▽在校等時間の客観的な把握を求めている教職員加配や補習等のための指導員等派遣事業の申請に当たり、その確認の在り方など運用を厳格化

【その他】

▼ICT活用の推進

▽引き続き、ハード・ソフト・人材を一体とした学校ICT環境の整備を進めていく

▽統合型校務支援システムについては、導入状況や課題等を把握するため、校務支援システム導入状況調査を実施しており、その調査結果を踏まえ、今後の対応策を検討

▽GIGA端末をはじめとしたICTを活用した校務改善に関する取組事例を展開

▼働き方改革に関する事例の横展開

▽学校における働き方改革のための取組を推進するため、フォーラムの開催や事例展開(GIGA端末をはじめとしたICTを活用した校務改善に関する取組事例の展開)するとともに、文科省ホームページ「StuDX Style」において事例を紹介するなど、全国にさらなる情報の横展開を図る

▼教職を目指す人への実態調査の実施・情報発信の強化

▽中教審等において、エビデンスに基づいた検討を進めるため、学生の教職への志望動向に関する調査を実施

▽#教師のバトンプロジェクトの中で、学校現場の創意工夫や進みつつある改革の事例の紹介、教育施策の最新の動向を解説する

▼教諭・事務職員の標準職務例の周知

▽各教育委員会の人事担当者を集めた説明会や研修会など、機会をとらえて周知を図る

▼コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進の普及・促進

▽義務教育諸学校等の体制の充実および運営の改善を図るための公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律の附則に基づき、コミュニティ・スクールの今後の在り方を検討し、今後の推進方策を含め取りまとめる予定

(国 2021-09-06付)

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