第73回全国造形教育研究大会北海道大会・第70回全道造形教育研究大会札幌大会 分科会提言①名寄西小学校
(関係団体 2021-11-05付)

 第73回全国造形教育研究大会北海道大会・第70回全道造形教育研究大会札幌大会では、4分科会で研究協議が行われた。小・中学校教諭8人が、研究主題「この子が感じる=考える=表す造形活動」のもと、それぞれの実践に基づき提言発表を行った。道内の小・中学校教諭4人が発表した概要を連載で紹介する。

【発表概要】

▼発表テーマ=造形的な見方・考え方を広げる合科的な学習の在り方~「音づくりフレンズ」+「いい音見つけて」(小2・工作に表す)

▼発表者=栗林友恵教諭(名寄市立名寄西小学校)

 身近な材料で音を出す仕組みをつくり、いろいろな形や色、触った感じなどをとらえながらイメージした飾りを付け、鳴らして楽しむ題材。

視点①「もっと!」を生み出す教材化

▽空き箱、空き缶などの材料=身近にあり、叩いたり、擦ったりして様々な音を出して試すことができる

▽音楽教材=『森のたんけんたい』の歌詞から森の様子や動物をイメージできるようにする

▽材料のコーナー=輪ゴム、多様なテープ類、布、色紙など様々な材料を並べ、子どもたちの創作意欲を膨らませる

▼評価規準

▽知識・技能

・音が鳴る材料や仕組みから、思いついたものをつくるときの感覚や行為を通して、いろいろな形や色、触った感じなどに気づいている

・はさみ、木工用接着剤、テープなどに十分に慣れるとともに、手や体全体の感覚などを働かせ、表し方を工夫している

▽思考力・判断力・表現力等

・自分のイメージをもちながら材料を鳴らして感じたこと、想像したことから、表したいことを見つけている

・音を鳴らして自分たちの作品や身近な材料などの造形的な面白さについて考え、見方や感じ方を広げている

▽主体的に学習に取り組む態度

・つくりだす喜びを味わい、楽しく音が鳴る材料や仕組みから、思いついたものをつくる学習活動に主体的に取り組もうとしている

【活動構成】

「この子」

▽体を動かしながら、楽しく歌うことができた。3番の歌詞の「妖精」の動きを積極的に考えていた

▽空き缶を使って音を出そうと試行錯誤を繰り返す。どのような楽器をつくるか、なかなかイメージがまとまらない様子

▽ギターのような形にもしてみたいし、たいこもつくってみたいと迷う様子。歌を流して、もう一度体を動かしてみると…

▽「妖精」の動きで手をひらひらさせたときに音が鳴る、でんでんだいこにしよう

▽歌を歌いながら楽しく発表できた

視点②「もっと!」が連続する活動構成

▼1時間目=『森のたんけんたい』を歌って、歌に合う楽器の音を考えよう(音楽)

▽歌には、だれが出てきたかな?

▽歌詞の意味を考えながら、動きをつけて歌おう

▼2時間目=いろいろな材料を使ってどんな音がなるのか試そう(図工)

▽どんな音の出し方があるかな 「叩く(コンコン)」「擦る(ジリジリ)」「振る(シャカシャカ)」「弾く(ビョーン)」。いろいろな材料で試してみよう。

▼3・4時間目=楽しいと感じた材料を使って楽器を組み立てよう(図工)

▽輪ゴムを使って、ギターのようにしようかな

▽たいこを作って、歌に出てくるたぬきにしようかな

▽妖精はどうやってつくろうかな

▼5・6時間目=音に合うように、楽器を飾ろう(図工)

▽楽器を森の中にいる生き物のように飾りつけよう

▽妖精の動きを生かして、音が鳴るようにしたよ

▽でんでんだいこの先は、妖精らしくポンポンで飾ったよ

▽歌に合わせて、演奏したいな

▼7時間目=歌に合わせて演奏しよう(図工・音楽)

▽楽器を鳴らしながら、友達の作品の面白いところを見つけよう

視点③「もっと!」をつなげるための自他の変容をとらえる振り返り

▼「できた」ら立ち歩き交流

 「見つけた」「ここまでできた」と思ったら、席を立って友達と作品について「話す」よう促した。「こんなふうにしたら楽しいよ」と会話を弾ませる中で、自然に自他のよさに気づくようにした。

視点④「もっと!」を高めるための学習評価の工夫

▼個別の言葉掛け(よさを共感する)

 「すてきな音を生かしているね」など、子ども本人も自信をもっているであろうことを言語化して、共感することで、学習意欲を高める評価につなげるようにした。

▼めあての再確認

 「どんな音から想像したのかな」「どんな生き物になるように飾りつけをしているのかな」など、本時のめあてに立ち返って、子どもたちが作品をつくっている意図について聞き出すように努めた。

【実践を振り返って】

▼音楽と図工の学習を合科的に行うことで、子どもたちが明確な目的意識をもって学習に臨むことができた

▼音ではなく、材料の色や形からイメージした楽器をつくろうと考えていた児童もみられた

▼合科的な学習を上手く取り入れることで、子どもたちの関心をより引き出しながら学習を構成することができる

(関係団体 2021-11-05付)

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