前文(道議会 2021-11-25付)
文教委員会(8月3日)
【質問者】
▼松山丈史委員(民主・道民連合)
▼宮川潤委員(日本共産党)
【答弁者】
▼鈴木淳学校教育監
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼柴田亨高校教育課長兼ICT教育推進課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
◆学校一斉休業
Q
松山委員 この夏、北海道は連日真夏日や猛暑日という記録的な酷暑に見舞われて、日本で最も暑い地域となっている。北海道の夏休みが短い理由はなぜか。
A
柴田高校教育課長兼ICT教育推進課長 道内の公立学校における夏季休業の期間について。道立学校においては、学習指導要領に示された授業時数の確保を図り、本道の気候や広域性、学校の実情、児童生徒の負担や教育効果などを考慮しており、道立学校管理規則において、25日以内の期間とすることや、夏季、冬季の休業日の総日数の範囲内でそれぞれの休業日の日数を変更することができることなどが定められている。
また、小・中学校においても同様に、学校設置者である各市町村で定められている学校管理規則に従い、期間を設定している。
本道の夏季休業の期間が他都府県より短い理由は、一般論として、北海道は雪害や低温などの悪天候が続く地域が多く、通学にも困難を生じるため、冬季にもまとまった休みを取っていることによって、夏季の休みが本州と比べ、短くなっているものと考えられる。
Q
松山委員 昨年、コロナ禍初期の段階において、道は道教委に対し一斉休校を要請し、多くの学校は2ヵ月程度休校することになった。私立学校では3ヵ月くらいというところもあったようだ。全体として総合的にみて、そのときの判断は正しかったと認識しているのか伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 一斉休業について。道内においては、昨年2月、児童生徒や学校関係者への感染が相次いで確認され、保護者などから不安の声が上がったことなどを考慮し、知事から道教委に対し、一斉の臨時休業の検討が要請され、道教委では、学校という場において集団による感染の拡大を防止し、児童生徒等の体力の保持回復や教職員の健康管理を行うなど学校における対策の充実を図ることが必要と判断し、道立学校の臨時休業を実施するとともに、市町村教委に対し、小・中学校の臨時休業を要請した。
また、同年3月、国からの要請に基づき、さらなる臨時休業が必要と判断し、延長した。
なお、この一斉の臨時休業については、道新型コロナウイルス感染症対策有識者会議において、昨年7月から9月にかけて議論され、その判断については適切な対応であったという意見が多かったものと承知している。
Q
松山委員 道は、8月2日から、札幌市を措置区域とするまん延防止等重点措置を実施しており、札幌との往来をなるべく避けることを基本としている。札幌市内の高校などには、特に石狩管内を中心に多くの生徒が通学しており、また逆に札幌市内の生徒も市外に通っている例も多くある。札幌における東京オリンピックでの感染拡大も懸念されており、コロナのリスクのみならず、マスクなどによる熱中症など、生徒たちの体調も心配される。
この際、8月31日まであらためて全道一斉でなくとも、石狩管内の市町村教委に対して、小・中学校の休校要請および石狩管内の道立学校の臨時休校をすべきと考えるが、いかがか。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 学校の一斉休業について。改定された国の衛生管理マニュアルにおいて、地域一斉の臨時休業については、児童生徒の学びの保障や心身への影響、学齢期の子どもがいる医療従事者などの負担等の観点を考慮し、慎重に検討する必要があること、また、熱中症対策については、気温や湿度の高い日や体育の授業など健康被害が発生する恐れがある場合は、マスクを外すこと等の配慮などについて示されている。
道教委としては、臨時休業は、現状において、学校の感染状況に応じて、個別に行うものと考えており、引き続き、感染症および熱中症対策と健やかな学びの両立を目指して子どもたちに対する学びを保障できるよう、市町村や学校等の実情に応じたきめ細かな支援に努めていく。
Q
松山委員 新型コロナウイルスの感染が増えていることや記録的な猛暑による熱中症が懸念されること、また、札幌市においてのまん延防止等重点措置が実施されている。そういう観点から、石狩管内の学校の夏休みを月末までやはり延長すべきと考えるが、あらためて所見を伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 夏季休業の延長について。道教委としては、臨時休業は、現状において、学校の感染状況に応じて迅速かつ幅広に休業措置を講ずるなど、個別に行うものと考えている。
また、学校は、衛生管理マニュアルに基づき、感染予防対策を確実に講じながら、保護者や地域の理解および協力を得て年度始めに策定した年間計画に基づく教育活動を円滑に推進することが重要であることから、引き続き、感染症および熱中症対策と健やかな学びの両立を目指して、子どもたちに対する学びを保障することができるよう、市町村や学校等の実情に応じた、きめ細かな支援に努めていく。
P
松山委員 世の中ずっと動いている。50年も60年も前の基準で、このまま21世紀を終えてしまうのか。今後、例えば来年も猛暑かもしれないので、学校管理規則の改定も含めて少し考えていただくことを指摘する。
◆道立高の校則
Q
宮川委員 党道議団として、道立高校191校を対象に、学校の決まり、校則を調査した。道教委についても、現在、道立高校に対して校則調査を行っていると承知している。この調査の概要および目的について、まず伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 校則の調査について。道教委では、令和元年12月に各道立高校に対し、令和4年度から成年年齢が引き下げられることから、法令との関連を踏まえた校則の見直しを図ることを目的として、各学校において、校則の積極的な見直しを行うよう通知している。
現在、元年度から3年度までの間において、本通知を踏まえた校則の見直し状況等について把握に努めている。
Q
宮川委員 私どもの調査では、髪型では、ツーブロックを禁止するなどが校則で規定されているところがあるが、どう把握されているのか。
行き過ぎた規定については、見直しが必要だと考えるが、どのように対応していくのか、道教委の調査を踏まえて、今後の対応について伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 頭髪の規定等について。道教委がことし3月に、すべての道立高校の校則の内容等をあらためて確認したところ、33校に記載の事例があり、その中には、髪を立てたりツーブロックなど、一部を刈り上げたり伸ばしたりしない、変則的な刈り上げ等の華美な髪型は認めないなどの規定があった。
校則は、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において定められているものであることから、道教委では、現在行っている調査結果等から、一部の学校で頭髪の規定が見直されており、他の学校についても、学校の状況や規定するに至った経緯等を踏まえて、必要な対応を行っていく。
Q
宮川委員 肌着に関する校則の規定について、私どもの調査では3校であった。どう把握されているのか。行き過ぎた規定については、見直しが必要であるが、どう対応していくのか、道教委の調査を踏まえて、今後の対応について伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 肌着の規定等について。道立高校3校の校則に記載の事例があり、具体的には、制服の下は、肌着を着用することが望ましい、半袖シャツやポロシャツの下に長袖のインナーを着用するのは禁止する、ワイシャツ、ブラウス内にインナーを着用する、ただし柄物、華美な色は着用しないなどの規定があった。
道教委では、現在行っている調査結果等から、一部の学校で服装に関する規定が見直されており、他の学校についても、学校の状況や規定するに至った経緯等を踏まえて、必要な対応を行っていく。
Q
宮川委員 あまり厳しすぎる、あるいは細かなところまで規定するというものが、そういう校則が、児童生徒に様々な影響を及ぼすということも考えられる。道内の公立の小・中・高校における不登校生徒のうち、その要因として、校則や学校の決まりが含まれている児童生徒の数を示していただきたい。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 不登校の主たる要因について。直近である元年度を対象とした国の調査では、不登校の主たる要因が学校の決まり等をめぐる問題としている道内の公立学校の児童生徒数は、小学校は、不登校児童数1986人に対し8人、中学校は、不登校生徒数5558人に対し26人、高校は、850人に対し6人となっている。
Q
宮川委員 合計40人が、校則や学校の決まりが主な要因となって不登校に陥っているということになる。何のための校則なのか。40人という数字についても、ずいぶん多いと大変驚いた。
髪の黒染めということが問題になっている。生徒が生まれもった個性を尊重すべきであると思うが、地毛証明を提出させているところもあると伺っているが、問題なのではないか。この点の対応について伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 頭髪に関する指導について。頭髪の色は、それぞれ生まれつき異なっており、人それぞれの違いを正しく尊重することが重要と認識している。道立高校では、頭髪に関する規定として、入学時に、すべての生徒、保護者に対し、学校の指導方針として頭髪を染色しないことや、パーマをしないことなどについて説明した上で、生徒、保護者に、生徒の頭髪の色や性質について、文書によって提出を求めている事例、生徒が口頭で申し出るなどの方法で対応している事例があった。
校則は、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において定められているものであることから、道教委では、現在行っている調査結果等をもとに、学校の状況や規定するに至った経緯等を踏まえて、必要な対応を行っていく。
Q
宮川委員 頭髪の色などは生まれつき異なっているもので、人それぞれの違いを尊重することが大事だという答弁があった。
しかし、一方で、現状は生徒の頭髪の色や性質について文書で提出を求めている事例があるということだった。
校則は、児童生徒の人権を守り、その主体性を培うものではないかと思う。地毛証明というものを出させるのであれば、人権にかかわるような問題であるのではないかと感じている。人権を損なうような校則は問題であると思うが、認識を伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 校則と人権とのかかわりについて。学校においては、人権尊重の精神のかん養を目的として、教育活動全体を通じて、人権に関する教育の充実を図ることが求められており、校則についても、こうした考え方を踏まえ、各学校で適切に制定、運用されることが重要と考えている。
頭髪の色については、それぞれ生まれつき異なっており、人それぞれの違いを正しく尊重することが大切と考えている。道教委では、現在行っている調査結果等をもとに、学校の状況や規定するに至った経緯等を踏まえ、必要な対応を行っていく。
Q
宮川委員 校則は、児童生徒が自分の問題として考えるところに教育的な意義があるものと考えている。児童生徒が時代に合っていない校則に対して、主体的に声を上げることはよいことだと考えるが、いかがか。学校側が、そういう声を阻害するようなことはあってはならないと考えるが認識を伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 生徒の主体的な取組について。校則の見直しに当たり、学校がその方針等を明らかにした上で、生徒が主体的に話し合うことを通して、校則に対する理解を深め、自ら守ろうとする態度を身につけるようにすることは重要である。
道教委としては、各学校に対して、校則は、学校運営の責任者である校長が定めるものであるが、校則の見直しに当たっては、様々な教育活動の場において、生徒が話し合う機会を設けるなど、生徒が主体的に参加した上で行われることが望ましいことについて、引き続き指導助言していく。
Q
宮川委員 校則は改正できるということについて、あるいはその手続きについて、改正そのものを校則に位置付けるべきではないか。
見解を伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 校則の改正について。道教委としては、学校が校則を見直すに当たっては、生徒が主体的に話し合う機会を設けたり、保護者の意見を参考にしたりするとともに、学校ホームページなどを通して、地域住民にも校則を公表し、学校運営協議会等で意見を伺うなど、定期的に校則を見直すことができる仕組みづくりが重要と考えている。
一部の学校で改正手続きを見直し、明文化することを検討している学校もあることから、今後、各学校が、生徒や保護者などとも共有しながらこうした取組を行うことができるよう、校則の改正の仕組みづくりについて指導していく。
Q
宮川委員 改正について明文化されているということは、児童生徒が校則は変えられるのだと自覚することであり、一層、自分の問題としての認識を深めることになると考える。
校則で規定している具体的な内容については、各校の裁量のもとで規定されるものと認識している。校則の在り方の原則について、例えば、社会通念上の合理性を確保しているかどうか、児童生徒の共通理解になっているか、入学時までに児童生徒および保護者などに周知して、地域住民にも公開していること、見直し規定があること、こういったことは重要な原則的事項だと考える。道教委の認識について伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 校則の在り方について。校則は、学校が自校の教育目標を達成するため、生徒が守るべき学習上、生活上の規律について、必要かつ合理的範囲内において制定するものである。
こうしたことから、道教委としては、各学校において、学校ホームページなどを通して、地域住民にも校則を公表し、学校運営協議会等で意見を伺うことなどを通して校則の運用状況を評価するなど、その見直しの仕組みを確立すること、生徒が主体的に話し合うことを通して、校則に対する理解を深め、自ら守ろうとする態度を身につけるようにすること、学校説明会等で生徒および保護者が十分理解し、新たな学校生活を円滑に始められるようにすることなどの取組が重要と考えている。
Q
宮川委員 校則の原則については、一定の物差しが必要ではないかと考えている。校則の内容については児童生徒が納得していること、あるいは社会通念上の合理性を確保している、こういったことについては、まず、各学校で議論を進めるべきと思う。この点について見解を伺う。
A
鈴木学校教育監 校則について。校則は、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、校長が定めるものであるが、各学校においては、教育の目的を達成するために、必要かつ合理的な範囲内において、児童生徒が順守すべき学習上、生活上の規律として定められているものとなっているかについて、社会環境や生徒の実情などを踏まえ、話し合いを進め、絶えず見直していくことが重要であると考えている。
道教委では、各学校において、こうした話し合いが行われ、生徒の個性を尊重し、よりよい学校生活を送るためにふさわしい校則が制定され、適切に運用されるよう指導助言に努めていく。
(道議会 2021-11-25付)
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