道議会質疑 文教委員会(8月3日)
(道議会 2021-11-18付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼安藤邦夫委員(公明党)

▼赤根広介委員(北海道結志会)

▼大越農子委員(自民党・道民会議)

▼小泉真志委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼木村重成総務部教育・法人局学事課長

▼池野敦教育部長兼教育職員監

▼鈴木淳学校教育監

▼相内修司生涯学習推進局長

▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼川端雄一学校教育局特別支援担当局長

▼髙見里佳文化財・博物館課長

▼金田敦史特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長

◆縄文遺跡群

Q安藤委員 7月27日、ユネスコ世界遺産委員会において、北海道・北東北の縄文遺跡群が、世界文化遺産に登録されることが決定した。今回の決定について、道教委としてはどのように受け止めているのか伺う。

A相内生涯学習推進局長 登録の受け止めについて。自然とともに生き、平和で協調的な社会を形成していたことを物語るこの縄文遺跡群は、顕著で普遍的な価値があることはもとより、保存管理も適切に行われていること、地域住民の活動参加も十分にみられることなどが評価され、世界の宝として認められたものと認識している。現在のコロナ禍にあって、社会が困難に直面している中で、大変明るい話題になったと考えている。

Q安藤委員 今後、縄文遺跡群を世界文化遺産として保存、管理する上で、民間所有となっている土地の公有化や、構造物の一部撤去または影響の軽減について勧告されているが、どのように対応していくのか伺う。

A髙見文化財・博物館課長 縄文遺跡群の保存と管理について。今回、登録と併せて勧告された土地の公有化や、構造物の扱いなどといった今後、取り組む必要がある事項について、文化庁からは、4道県がすでに進めている取組や今後の対応方針などについて、諮問機関のイコモスと同様、世界遺産委員会においても、十分に理解していただいていると認識していると伺っている。

 道教委としては、今後、文化庁から勧告の意味するところについて、具体的な説明があるものと考えており、その内容を踏まえ、関係部局と連携しながら必要な対応を行っていく。

Q安藤委員 道教委としては、本道初の世界文化遺産の登録決定を契機として、今後、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A池野教育部長 今後の取組について。北海道・北東北の縄文遺跡群は、学術的、文化的価値はもとより、子どもたちに北海道への愛着や誇りを育むためのふるさと教育を進める上での貴重な財産でもあることから、こうした縄文文化への正しい理解を進めるとともに、遺跡群の価値を保全していくことが重要である。

 道教委では前年度、学習資料を小・中・高校別に作成し、全道の学校等に配布して、総合的な学習の時間などで北海道の縄文時代と世界遺産について、学ぶことができるようにするとともに、世界文化遺産としての顕著で普遍的な価値を保全するため、環境の影響を把握し、必要となる対応を行うこととしている。

 縄文遺跡群は、北海道に初めて誕生する世界文化遺産であり、教育資源としても大きな可能性をもつものであると考えている。道教委としては、今後とも、関係部局および各市町と連携しながら、遺跡群の保存と活用に取り組むとともに、今後、広く本道の教育に生かしていけるよう検討していく。

D安藤委員 2点について検討していただきたい。一つに、縄文世界遺産登録後の活用に向けて、情報発信や人材育成の拠点となる仮称・縄文世界遺産センターの整備に向けた検討に取り組むこと。また、ガイドブックの作成に取り組むこと。

 二つに、縄文遺産を後世まで守り伝えるとともに、その価値を広く国際社会へ発信するため、縄文文化の普遍的な価値や現代的な意義などについて、調査研究や普及事業に取り組むことをあらためて要望する。

◆通学路の安全確保

Q赤根委員 千葉県八街市の事故を受けて、道教委では道内の各市町村教委が策定している通学路交通安全プログラムに基づいた通学路の安全確保に向けた対応の状況を把握するため、緊急調査を実施した。平成24年の通学路の合同点検では、147市町村教委から996件の対策必要個所があるとの報告がされているが、9年が経過する中で、学校の統廃合や通学路の変更など様々な状況変化があったと思う。今回の緊急調査の結果を、道教委としてどのように受け止めているのか伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 通学路に関する緊急調査の結果について。今回の調査においては、札幌市を除く178市町村のうち、84市町村から歩道の区別や横断歩道、信号機の設置など、通学路の安全確保について改善が図られていない危険個所が合わせて812ヵ所あることが明らかになった。

 24年度に実施した調査と単純に比較できないものの、依然として通学路に危険個所があることから、道教委としては、より一層、学校と市町村教委、道路管理者、地元警察署などの関係機関が連携、協働し、安全対策を講ずる必要があると考えている。今後、国の通知に基づく各市町村の合同点検の結果も踏まえ、関係機関と連携して、通学路における交通安全を確保する取組を進める必要があると考えている。

Q赤根委員 緊急調査については、通学路安全プログラムに基づいた通学路の安全確保に向けた対応の状況を把握したということだが、前回の委員会議論ではプログラム未策定の市町村があるということだった。未策定地域についてはどのように対応されたのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 プログラム未策定の市町村の状況把握について。国では、通学路の交通安全確保に向け、各市町村に対し、学校、教育委員会、警察、道路管理者などによる推進体制を構築すること、この推進体制のもと、通学路の合同点検を実施するための方針等を取りまとめた通学路交通安全プログラムを策定することを求めており、本道では推進体制についてはすべての市町村で構築されたものの、プログラムについては10市町村が未策定となっている。

 道教委では、このたびの緊急調査については、通学路交通安全プログラムなどによって、実施するよう依頼しており、未策定の10市町村にあらためて実施状況を確認したところ、推進体制をもとに、教育委員会と警察や道路管理者などが連携を図り、危険個所の状況を確認した上で報告したとの回答があった。今後、あらためて策定するよう個別に指導していく。

P赤根委員 プログラムが今後、通学路における安全対策のまさに根幹をなすものになっていくと思う。ぜひ、道教委もそれぞれの地域としっかり議論をして、策定に向けて全力を挙げて取り組んでいただきたい。

Q赤根委員 24年の調査においては、点検の結果、学校が危険と感じ、道路管理者や警察などに対して改善を要望している個所または今後要望を予定している個所がある学校は小学校で6割、中学校で5割を超えていた。当該個所の改善状況はどのようになっているのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 24年の合同点検での改善状況について。道教委では、24年5月に通学路の交通安全点検に関する調査を独自に実施し、小学校では約64%、中学校では約58%の学校から改善を要望している個所があるとの報告があった。同年6月に、国の通学路における緊急合同点検等実施の通知を受け、各市町村があらためて通学路をきめ細かく点検し、道内で合わせて996件の対策必要個所を挙げてきたものの、そのすべての個所について、登下校時の安全確保に向けた対策が図られたと市町村から報告を受けた。

 今後、国の通知に基づく、各市町村の合同点検の結果を踏まえ、改善を要望している個所を精査し、必要な対応を図っていく。

Q赤根委員 7月9日に国から通知をされた通学路における合同点検の実施について、私立学校についても調査の実施対象とされているが、どのように対応されたのか伺う。

A木村学事課長 私立学校について。道では、文部科学省からの通知を受けて、道内すべての私立小学校3校、中学校14校に対し、通知の趣旨について周知するとともに、通学路の危険個所の状況について確認した。その結果、最寄りの駅などから徒歩区間のある学校のうち、小学校1校、中学校3校において、車の速度が上がりやすい個所や歩道と車道の区別がない個所などの危険個所があり、いずれの学校でも、教職員による見守り活動や通学指導の徹底などを行っている。

 今回の通学路における合同点検については、私立学校も、各学校の判断等によって実施することとされており、道としても各学校に対し、市町村等と連携し、合同点検を実施するよう促すなど、今後とも通学路の安全確保が図られるよう適切に取り組んでいく。

P赤根委員 私立学校については、学校ごとによって、そもそも通学路という位置付け自体があるのか、ないのかということも一つ問題としてあるかと思う。今回、道内すべての私学で状況を確認し、その中で危険個所も実際に報告をされたということ。その対応策が教職員による見守りや通学指導の徹底にとどまっているので、ぜひここも当該個所が実際どのような状況にあるのかということを、道のほうで道教委も含めて把握をする必要があると思う。ハードの整備を要望しなければならない個所もあろうかと思う。地域の通学安全プログラムにしっかりと参入していただく取組をあらためて求めていただきたい。

Q赤根委員 今回の調査結果は、あくまで状況把握の域を出ておらず、改善を要する個所への対応を協議できるのか疑問を抱く。改善を要する個所への対応とは、具体的にどのような対応が想定されるのか認識を伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 改善を要する個所への対応について。このたびの緊急調査によって明らかになった危険個所については、それぞれの状況に応じて、信号機やガードレールの設置などのハード面と、通学路変更や交通安全指導員の配置などのソフト面の両面から適切に対応することが重要と考えている。

 道教委としては、道路管理者の北海道開発局、道関係部局や、道警などによる連絡会議を開催し、緊急調査の結果を共有するとともに、それぞれの立場から考えられる実効性ある対応策や関係機関に対する計画的な取組への働きかけなどについて協議することとしている。

Q赤根委員 ハード面での対策を要する危険個所については、全国的にも、財源の問題もあり具体的な対策は後回しにされてきたことから、工程表を策定するなどして実効性をいかに確保していくのかが重要と考える。

 通学路の安全確保について、実効性のある対策の推進に向けてどのように取り組むのか、所見を伺う。

A鈴木学校教育監 今後の実効性のある具体的な取組について。各市町村においては、これまでも、通学路の安全確保に向け、定期的に保護者や警察、地域の関係者の協力を得ながら、通学路の合同点検を実施し、総合的な対策を講じている。

 道教委としても、このたびの緊急調査や、今後の国の通知に基づく各市町村の合同点検の結果を踏まえ、各市町村がソフト面はもとより、ハード面での安全確保の取組についても推進されるよう、関係部局などとの連絡会議を定期的に実施して、各部局の取組状況や課題などを共有して、必要な対応等やその見通し等を明らかにしていきたいと考えている。

D赤根委員 合同点検の結果を踏まえ、今後、連絡会議を定期的に開催するということなので、しっかりと情報共有、見える化を図りながら取組が進むよう求めておきたい。

 先般、福岡県でも、保育園のバスに園児が置き去りにされて尊い命が失われる事例があった。これもまた、保育園の安全マニュアルが徹底されていなかったことも原因としてあるという。しっかりと子どもたちの命が守られるよう、私たち社会が、大人が責任を果たしていかなければならない。引き続きの取組を強く求める。

◆いじめ問題

Q大越委員 道内の公立学校でのいじめの件数や、いじめ被害が深刻な重大事態の件数など、いじめの現状と認識について伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 道内の公立学校におけるいじめの現状等について。直近である令和元年度を対象とした国の調査では、道内のいじめの認知件数は、公立小・中・高校・特別支援学校の合計で2万2574件であり、前年度と比較し、2488件増加している。

 このうち、いじめによって、生命、心身または財産に重大な被害を生じた疑い、または、相当期間の欠席を余儀なくされた疑いがある重大事態の件数は、小学校で8件、中学校で6件、高校、特別支援学校ともにゼロの合計14件であり、前年度と比較し、8件増加している。

 道教委としては、いじめの認知件数が増加していることについては、学校が、いじめの初期段階も含めて積極的に認知し、解消に向けて取り組んでいるものと肯定的に受け止めている一方で、早期解決を図ることができず、いじめ重大事態に至った件数が増加したことは、極めて憂慮すべき状況と受け止めている。

P大越委員 いじめ重大事態に至った件数が増加したことに、私自身も心を痛めている。極めて憂慮すべき状況という認識、受け止めていると答弁をいただいたが、まだ見つけられていない可能性、特に高校、特別支援学校ともにゼロという答弁があったが、もしかしたら見つけられていない可能性にもしっかりと目を向けていただき、すべてのいじめを認知できるよう、取り組んでいただきたい。

Q大越委員 いじめの根絶に向けて、これまで各学校で様々な取組をしてきたと承知しているが、私は、いじめの構造を考えると、いじめを許さない学校づくり、毅然としていじめ問題に立ち向かう教員の指導力がなければ、子どもたち一人ひとりを守ることはできないと考えている。

 道教委では、これまで、いじめ根絶に向け、どのような取組を進めてきたのか伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 これまでのいじめ問題への対応について。道教委では、国や道におけるいじめ防止にかかる法令や条例等を踏まえ、平成31年に、いじめ防止の対策の方向性や具体的な内容を示した北海道いじめの防止等に向けた取組プランを策定し、各学校に対して、日常的な見守りや年2回のいじめアンケート調査、個人面談の実施、いじめ対応マニュアルの作成、学校、家庭、地域が連携した子どもを見守る体制づくりなど、いじめの未然防止、早期発見、早期対応の取組を組織的に行うよう、市町村教委と連携して指導助言してきた。

 また、教職員に対しては、教職経験に応じた生徒指導に関する研修会等を実施し、いじめの正確な認知と早期対応の方法や組織的な対応について具体的な事例を通して理解を深め、対応力の向上を図るとともに、国や道立教育研究所が作成した動画等の研修コンテンツを活用した校内研修を促進するなど、教職員一人ひとりの指導力向上に取り組んできた。

Q大越委員 様々な取組をされてきたとの答弁をいただいたが、重大事態の件数が増えているということは、まだまだ足りていない、見つけられていないという現実を直視すべきと思っている。

 旭川市の重大事態について、私は、これまで道議会での質疑を注視していたが、被害を受けていた生徒の訴えをもっと早く把握できなかったのか、大変残念でならない。

 教育委員会は子どもたちがいじめの訴えをしやすいような仕組みをつくる必要があると考えるが、道教委の見解を伺う。

A伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの認知について。道教委では、市町村教委と連携して、道内すべての児童生徒に対して、独自にいじめアンケートを年2回実施し、いじめの認知に努めているが、アンケート以外でも、いじめ被害を訴えやすい仕組みや体制づくりに取り組む必要があると考えている。

 道教委としては、今後、各学校において、児童生徒がいじめ被害を受けた場合には、教師や友達に助けを求める方法を学ぶSOSの出し方に関する教育を一層推進するとともに、教職員が児童生徒の抱える不安や悩みをきめ細かに把握するほか、いじめのサインを見逃すことがないよう、スクールカウンセラーなどと連携した効果的な教育相談体制を構築し、いじめについて相談しやすい環境づくりがより一層推進されるよう、市町村教委や学校に対しして指導助言していく。

P大越委員 アンケート以外でもいじめ被害の相談を受けやすい仕組みや体制づくりが必要という答弁をいただいたことは評価している。とはいえ、どのような仕組みにも完璧はないと考える。一人ひとりに徹底的に寄り添う謙虚な姿勢が必要と思う。一つのいじめも見逃さないという強い意志をもって仕組みづくりをしていただきたい。

Q大越委員 社会の変化に伴って、現在、いじめはどのように変化し、そうした変化に道教委はどのように対応していこうとしているのか伺う。

A鈴木学校教育監 いじめ問題への対応について。情報通信技術の進展に伴い、多くの生徒がスマートフォンをコミュニケーションツールとして活用する中、本道でも、パソコンや携帯電話での誹謗中傷などのいじめの割合は、中学校、高校、特別支援学校で1割から2割程度を占めている。こうしたいじめは、外部からは見えにくく、これまでの対応では認知しきれない可能性があり、いじめの早期発見に課題を抱えていると認識している。

 道教委としては、各学校において、いじめを発見しやすい体制の整備や、SNSの利用も含めた情報モラル教育が一層充実するよう、市町村教委と連携して、学校への指導助言に努めるとともに、24時間、電話、メールで対応する子ども相談支援センターや、SNSを活用した相談事業など、学校外での教育相談を一層充実させ、社会の変化や児童生徒の現状に応じて適切に対応していきたい。

P大越委員 現在のいじめの特徴として、ネットいじめがあるが、そのほかにも、いわゆるいじめっ子という存在が、今ははっきりしてないのではないか。ある日加害者であった子どもが突然被害者になったり、また加害者の顔が見えず、聴衆や傍観者の存在など、いじめの構図が非常に複雑化しているということも、現在のいじめの特徴であると考える。そういう中、いじめを認知することは一層困難を極めるものと思う。

 だからこそ、一つも取りこぼさず認知していくためには、徹底した工夫の連続が必要であると考る。こういった現状をしっかりと認識していただいて、効果的な取組を進めていただきたい。

◆特別支援学校の狭あい化

Q小泉委員 都市部の特別支援学校の狭あい化が進んでいる。室蘭養護学校では、平成30年に物品購入や施設改修を要望するなどして、校舎の過密化解消を求めてきた。道教委は、中等部のプレイルームに水飲み場とパーティションを取り付けての教室化、高等部の物置を購入、さらには高等部の増築棟の更衣室にアコーディオンカーテンをつけて個別学習室を2室設置したと承知しているが、これらの措置で校舎の狭あい化を解消できたと認識されているのか所見を伺う。

A金田特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 室蘭養護学校の狭あい化について。学校の新設や校舎の増築などについては、将来的な児童生徒数の増加を見込んだ上で、必要となる学校規模を設定し、施設を整備しているものの、当該校の入学希望者数は、近年、見込みを上回る状況が続いている。

 このため、道教委では、限られたスペースの工夫ある有効活用を図るため、特別教室の転用などによって普通教室の確保に努めているが、教室不足の状況を改善するまでには至っていない。

Q小泉委員 校舎の狭あい化が解消できていない状態で、さらに児童生徒が増加している現状に対して、道教委はどのように今まで対応してきたのか伺う。

 また、本来、専門性の高い教育を受ける機会を確保するために使われるべき特別教室が全く使えていない状況を、ここ数年、放置している道教委の責任は大変重いと考える。所見を伺う。

A金田特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 校舎の狭あい化への対応等について。これまで、道教委では、特別支援学校の教室不足への対応として、教育効果を確保しつつ、一つの普通教室を間仕切り、複数の学級で使用したり、特別教室を普通教室に転用するほか、児童生徒数を踏まえて教育的ニーズに応じた学習集団を編制し、校舎内のスペースを有効活用するなど、学習環境の確保に努めてきた。

 今後、引き続き、特に教室不足が顕著な学校については、道教委の職員が直接学校を訪問するなどして、施設の状況を把握した上で、学校の実情などについて教職員から意見を聴取するなどして、狭あい化の解消に向け対策を引き続き検討していく。

Q小泉委員 コロナ禍における対応について。スペースが限られているから、大変な工夫をしながら、感染症予防を精一杯やられていると思うが、やはり根本的な解決が必要ではないか。このような状況で安全・安心の学校づくりとは言えないと思う。道教委の所見を伺う。

A金田特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 コロナ禍における学校の対応について。学校で発熱等の風邪症状による体調不良者が出た場合には、国で示されている衛生管理マニュアルに基づき、他の子どもとの接触を可能な限り避けられるよう、帰宅できるまでの間、別室で待機させるなどの配慮をすることとされている。

 室蘭養護学校では、教職員が工夫して教育活動の支障のない範囲内で静養できる場所を確保し、限られた校舎内のスペースを活用するなどして感染拡大の防止に最大限努めている。

 道教委としては、今後においても安全・安心な学校づくりの観点から、学校内で体調不良者が発生した場合の対応が衛生管理マニュアルなどに基づき適切に行われるよう、保健所とも連携しながら、学校を指導、支援するとともに、狭あい化の解消に向けた対策を引き続き検討していく。

P小泉委員 この状況を回避するために、根本的な改築等を考えていく必要があるということを指摘させていただく。

Q小泉委員 室蘭養護学校では、スクールバス3台で運行しているが、現在、新型コロナウイルス感染症予防のための乗車率を下げるために1台増便して運行していると承知している。増便分の介護員は予算化されていないため、2人の欠員状態となっていると聞いている。この状態を解消しなければならないと考えるが、道教委の所見を伺う。

A金田特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 スクールバスの介助添乗員について。現在、新型コロナウイルス感染症対策として、国の補助金を活用し、乗車率の高い路線について、スクールバスを増便し、車内の過密状況の緩和に努めている。

 道教委としては、コロナ禍における緊急の対応であることから、必要に応じて、学校体制を工夫しながら対応するよう指導するとともに、来年度に向けて、より実情に即した人員の配置となるよう、引き続き努めていく。

Q小泉委員 例えば、室蘭養護学校では、高等部は毎年のように生徒が増加し、10年前と比較して1・8倍となっている。小学部についてもここ4、5年で約1・5倍となっている。校舎の狭あい化は限界に達し、狭あい化の中で工夫しながらやれることは精一杯やって、もうやれることはないという状況にあると認識している。

 このような状況の中で、児童生徒が増え続けることを道教委はどのように分析しているのか。

A川端学校教育局特別支援担当局長 特別支援学校への入学希望者数の増加について。室蘭養護学校を含め都市部の知的障がい特別支援学校の義務併置校においては、障がいのある子どもやその保護者の特別支援教育に対する理解の深まりや、障がいに応じた専門性の高い教育を受けさせたいというニーズの高まりなどを背景に、近年、道教委の見込みを上回る児童生徒数の増加が続いている。

 一方で、特別支援学校の入学者の中には、教育的ニーズに応じた学校選択となっていない場合も見受けられることから、学びたい内容や将来の進路希望等に即した学校選択となることが大切であると考えている。

Q小泉委員 高等部では平成29年年に51人だったものが、令和3年には71人と20人増加している。この背景は一体何なのかという部分について、道教委はどのように押さえているのか。

A川端学校教育局特別支援担当局長 特別支援学校における児童生徒の増加の分析について。小中学部の増加の要因としては、教育支援委員会での判断や市町村教委の就学決定が必ずしも学びたい内容や将来の進路希望等に即したものになっていない場合があるほか、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する専門的な指導が十分ではない場合もあると認識している。

 こうしたことから、道教委としては、小・中・高校等での特別な配慮を必要とする児童生徒に対する理解や、障がいに応じた指導力を向上させるなどして、適切な学校選択となるよう努める必要があると考えている。

Q小泉委員 小学校も非常に増えている。この5年間で35人程度で推移していたものが、50人を超えているという背景が一体何なのか。その部分について、再度、道教委の認識を伺う。

A川端学校教育局特別支援担当局長 特別支援学校における児童生徒の増加の分析について。小中学部の増加の要因としては、教育支援委員会での判断だとか、市町村教委の就学決定が必ずしも学びたい内容や将来の進路希望等に即したものになっていない場合があるほか、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する専門的な指導が十分ではない場合もあると認識している。

 また、高等部の増加の要因としては、高校における指導の体制が十分整っていない。

 このため、より専門性の高い学校を選択する場合があることや、特別支援学校間での学校選択においても、教育相談が必ずしも生徒の希望に即したものになっていない場合もあると認識している。

 こうしたことから、道教委としては、小・中・高校等での特別な配慮を必要とする児童生徒に対する理解や障がいに応じた指導力を向上させるなどして、適切な学校選択となるよう努める必要があると考えている。

P小泉委員 インクルーシブ教育が叫ばれているが、実際として浸透しているかどうかという部分が大きな根底にあるのではないか。道教委がインクルーシブ教育を前面に打ち出すことによって、障がいのある人もない人も可能な限り一緒の中で生活をしていくという状況がさらに進んでいくのであれば、もしかすると、今、小学部の児童が養護学校に行くということにならないのかもしれない。ただ、選ぶのはあくまでも保護者と子であるが、インクルーシブ教育を基本としながら、さらに環境を整備していくという部分をぜひお願いしたい。

Q小泉委員 室蘭養護学校の狭あい化に対して、早急かつ具体的に対応しなければならないが、道教委の所見を伺う。

A鈴木学校教育監 室蘭養護学校の狭あい化解消に向けた今後の対応について。障がいのある児童生徒が学習や生活上の困難を克服し、自らの可能性を伸ばしていくためには、各学校において、児童生徒一人ひとりの障がいの状況等に応じたきめ細かな指導や支援を行うことが必要であり、そのためには、教育環境の整備は極めて重要であると考えている。

 道教委としては、教室不足について、保護者などの理解を得ながら、早急に改善を図っていかなければならないと考えており、今後、市町村教委や特別支援学校などの関係機関と協議する場を設けるなどして、児童生徒の学びたい内容や将来の進路希望等に応じた学校選択が適切に行われるよう努めるとともに、国による特別支援学校の設置基準の策定などの動向にも注視しながら、老朽化の状況など、他の要素も総合的に勘案し狭あい化の解消に向けて、可能な限り早期に対策を講ずるよう、取り組んでいく。

P小泉委員 やはり財源の問題があるのは十分理解しているし、道教委も努力されていると思うが、この部分は知事部局に強く、室蘭だけではなく都市部でたくさんあるので、財源をしっかりと確保していただいて、子どもたちの教育環境を確保していただくことを強く指摘する。

(道議会 2021-11-18付)

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