札幌市学校保健会　第３７回研究大会　子が前向きに生きるため　コロナ禍の不登校を考える

（札幌市 2021-12-15付）

参集、オンライン合わせて９０人が参加した

　札幌市学校保健会（多米淳会長）は１１日、ホテルライフォート札幌で第３７回研究大会を開催した。参集、オンライン合わせて約９０人が参加。コロナ禍における不登校などを切り口に、児童生徒が予測困難な時代を前向きに生きるために学校保健が果たす役割などを考えた。

　同会は昭和４９年に発足。現在、市学校医協議会や市ＰＴＡ協議会、市学校給食栄養士会など１４の団体で構成している。市の学校保健の発展向上および児童生徒の健康な生活の構築を目的に活動している。

　具体的な事業として、全国の保健活動の調査・交流事業などを進めているほか、年に一度、研修会と研究大会を開催している。

　研究主題は「児童生徒自らが健康を創りだす実践力の育成～健全な自尊感情と確かな知識を育む健康教育」。本年度は５ヵ年研究の２年次に当たる。研究の視点に①子どもが自分ごととして考える教材化の工夫②子どもの思考を支える専門家のかかわり―の２点を据え、「健康教育」「保健管理」「心の健康」「地域保健」の４部会で研究を推進している。

　開会式では、多米会長があいさつ。年末を迎え、新型コロナウイルス感染症再拡大への懸念を示し、「一人ひとりのゆるみない対策が必要」と強調。新たな変異株への警戒を強め、家庭や職場を問わず、感染対策の継続を要請した。

　また、コロナ禍などを背景に、学校現場における不登校児童生徒が増加している状況を示し、「予測困難な時代を前向きに生きるために、学校保健がどのような役割を果たせるのか、皆さんとともに考える大会にしたい」と呼びかけた。

　札幌市立緑丘小学校の丸山悠教諭による研究概要説明に続き、札幌市教委保健給食課の半澤郁子保健指導担当係長と藤女子大学人間生活学部子ども教育学科の庄井良信教授が「予測困難な時代を前向きに生きる児童生徒に！～学校保健が果たす役割とは」と題してそれぞれ講演した。

　半澤係長は、市における不登校児童生徒数の推移を示しながら、小中学生段階において考えられる不登校の要因や背景を説明。コロナ禍における児童生徒の登校不安やストレスなどを踏まえ、「“学校に行かない・行けない”は特別なことではない」とし、「学校を大事にしつつ、将来の自立につながる支援が大切」と訴えた。

　庄井教授は、肉体的・精神的・社会的に満たされた状態を示す「ウェルビーイング」の考え方から、子どもの自己肯定感を育むための学校保健の役割を説いた。

(札幌市 2021-12-15付)