元釧路市小学校長の一本嶋さん　冊子『鳥取小物語』出版　地域の歴史記録　授業に活用

（市町村 2022-04-18付）

自費出版した冊子を持つ一本嶋さん

　【釧路発】今春、釧路市立鳥取小学校を定年退職した前校長の一本嶋仁志さんが、鳥取地区の歴史や同校卒業生の証言などをまとめた冊子『鳥取小学校物語プレミアム～鳥取文化のプライド』（Ａ４判、１３６ページ）を自費出版した。同校が取り組む地域学習「鳥取学」の副読本としての活用を期待している。

　同校は明治２０年に開校。市内の小学校で最も長い歴史がある。

　一本嶋さんは、平成３１年４月に第３３代校長として赴任。同年１２月には、校内に近隣住民や保護者らの協力を得て、地域にゆかりのある品々を集めた「鳥取小学校博物館」を開設した。展示資料は当初、８００点ほどだったが、地域や卒業生たちの協力もあり、現在は１２００点を超えるまでに増えている。

　同校は、総合的な学習の時間などで一本嶋さんが開設した博物館を活用しながら、地域文化や歴史について学ぶ鳥取学に取り組んでいる。今回「子どもたちに自分が生まれ育った地域に誇りと愛情を持ってほしい」という思いとともに、鳥取学の継続を願い『鳥取小学校物語プレミアム』としてまとめた。

　地域住民や卒業生、元教職員ら１２０人以上の証言を集め、地域の発展を支えた日本製紙釧路工場や学校行事、当時の思い出、流行していた遊びなどを紹介。明治から昭和初期の文献の一部も抜粋して掲載しており、時代とともに移り変わる地域の様子を知ることができる。

　３００冊を自費出版。鳥取学での活用を願い、同校に７０冊を贈ったほか、取材協力者や道立図書館、釧路市立図書館に寄贈した。現在、国立国会図書館への蔵書を申請しているという。

　一本嶋さんは「地域の記憶を記録として残したかった。鳥取学の副読本として生かすとともに、鳥取の歴史を誇りに思ってほしい」と話した。

(市町村 2022-04-18付)