札幌市立小・中 学校徴収金総括の体制整備 財務のスペシャリストに 教員負担軽減など期待する声
(市町村 2022-04-18付)

 札幌市立小・中学校で学校事務職員が学校徴収金を総括する体制整備が進んでいる。3年7月に札幌市学校運営支援室が検討委員会を立ち上げ、共同実施推進計画を策定。従来、学校事務職員が担当していた公費に加え、多くの学校で教員が担当していた私費である学校徴収金を含め、10年度までに札幌市内の全学校事務職員が学校財務全体を総括する「学校財務のスペシャリスト」を目指す。校長からは「教員の負担や保護者負担金の軽減にもつながる」と期待する声が多い。

 市教委は、平成29年度から令和元年度までの3年間、複数の学校の事務職員が共同で事務を行い、事務の効率化や精度向上、各校の事務支援、人材育成などの機能を果たす「共同実施」を市内小・中学校60校で試行。2年度から市内全校へ拡大し、3年度から全市で展開している。

 拡大に伴い、共同実施組織を統括する立場で市教委との連絡調整を図り、共同実施組織の運営にかかる企画立案を行う「学校運営支援室」を中央区の円山小学校と向陵中学校に設置。中央区など5区を総括する第1運営支援室を円山小に、東区など5区を統括する第2運営支援室を向陵中に置いている。

 各支援室では、研修などの企画立案を行っているほか、各区の状況を把握し、全体で共有することが望ましい事項を各校に情報発信したり、共同実施全体の取組に関する調整を行ったりする役割を担っている。

今回の共同実施の大きな目標の一つは、学校徴収金を含む学校財務全体を学校事務職員が総括すること。 

 これまで市内の各学校では、学校徴収金を担当するのは教員が多かったため、学校徴収金を担当する教員の「会計業務に対する経験不足」「公費・私費負担区分判断の難しさ」などが課題挙がっていた。

 これらを踏まえ、学校運営支援室は、全学校事務職員が学校徴収金を総括する立場を担うことを目指すこととした。

 取組の推進に当たっては、3年7月、区ごとに配置しているグループ長2人、支援室員1人で構成する検討委員会を立ち上げ、共同実施推進計画を策定。8月からことし2月にかけて14回に及ぶ会議・打ち合わせを行い、具体的な計画内容を検討してきた。

 計画では、学校事務職員が学校運営に参画する流れを作るため、10年度までを見越したロードマップを提示。4~6年度を「強化」、7~9年度を「実践・還元」、10年度を「定着」とし、各期における取組を整理した。

 強化期間では、標準職務遂行能力の向上、学校財務に関する研修、公費経理事務体制の整備などを進める。

 実践・還元の期間では、標準職務遂行能力のさらなる向上と発揮、学校財務マネジメント実践の取組を推進。

 「定着」では、10年度までに全ての学校事務職員が学校財務を総括し、学校徴収金を担うことを掲げた。

 校長は「徴収金には課題があるので学校事務職員がその役割を担ってくれるのは大変ありがたい。保護者負担の軽減にもつながり、大変意義がある」と期待は大きい。

 第2学校運営支援室の平野正志室長は「学校で一番財務に詳しい学校事務職員が、学校で扱っている全ての予算をまとめていく意識を醸成し、全学校で公費と私費の両方を総括するという意味で、学校財務のスペシャリストを育成したい」と話す。

 最終的には、事務職員の学校経営への参画意識の高揚や事務職員のモチベーションアップにつなげていくとともに、学校事務職員の立場から子どもたちの豊かな学びと育ちを支えていく考えだ。

(市町村 2022-04-18付)

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