檜山管内4年度教育推進の重点 寄り添いながら学び支え 近藤局長 実効性ある経営要請(道・道教委 2022-04-19付)
近藤史郎局長
【函館発】檜山教育局は14日、江差町文化会館で管内公立学校長合同会議を開いた。管内の小・中学校、高校、特別支援学校の校長32人が出席。近藤史郎局長が本年度の管内教育推進の重点を説明した。スローガンを「檜山の特色を生かし、一人一人に寄り添いながら、学びを支える」と設定し①子どもを主役に、子どもを主語に②つなげる、つながる③居心地のいい学校、居場所となる学校―の3点を合言葉として提示。合言葉を相互に関連づけながら、令和の日本型学校教育の構築を目指すよう、実効性のある学校経営の展開に期待を寄せた。
近藤局長が重点について説明したあと、佐藤潤子企画総務課長、山内功教育支援課長が各課所管事項として、働き方改革に向けた取組やコミュニティ・スクールの導入について説明。
このあと、小・中学校部会と高校・特別支援学校部会に分かれて説明・協議を行った。
近藤局長の説明概要はつぎのとおり。
【スローガン】
▼檜山の特色を生かし、一人一人に寄り添いながら、学びを支える
管内においては、一人ひとりの子どもの表情を見ながら分かるまで教えたり、子どもが納得するまで話を聞いたりするなど、一人ひとりに寄り添うきめ細かな取組が行われており、こうした取組が全国学力・学習状況調査や全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果につながっているものと考えている。こうした取組が可能であるのは、管内には小規模校がほとんどであるということに加え、管内の先生たちが何事に対しても真面目に一生懸命に取り組むということが大きいのでないかと考えている。
このスローガンには「檜山の特色を最大限に生かしていきたい」という思いと、小規模校であるがゆえのデメリットにもしっかりと向き合い、それを最小化するような「創意工夫ある取組を進めていこう」という思いを込めている。
こうした管内の特色を生かしていこうということに加え、学習者視点から取りまとめられた令和の日本型学校教育の構築を目指して(答申)や学習指導要領の趣旨を踏まえ、学校の教職員はもとより、教育委員会や教育局の職員も含めた子どもの教育に携わる大人全員が「一人ひとりの子どもに寄り添っていこう」そのような思いも込めている。
【合言葉】
▼子どもを主役に、子どもを主語に
中央教育審議会答申「“令和の日本型学校教育”の構築を目指して」の総論部分に、社会の急速な変化についての説明がある。要約すると、社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる。そうした変化は加速度的に増し、予測困難となってきており、そうした時代を生き抜くために必要な資質・能力を育む必要があるということが書かれている。
予測困難な時代を生き抜くために必要な資質・能力。それは「“これをやりなさい”と言われたからやる」「漫然と説明を聞きそれを暗記する」という姿勢・態度ではなく、世の中の様々な事象に対して自らが疑問や課題意識を持ち、調べ、他者とも議論しながら解決に向けて取り組むといった姿勢・態度によって育まれると考えられる。
そのために我々大人は、授業の主役は子どもであるということや子ども目線で子どもを主語に物事を捉えていく必要があるということを今一度強く意識していく必要があると考え、この合言葉とした。
具体的には、新たな時代に対応できる資質・能力を育むため、各種調査結果を踏まえた成果や課題等に対する組織的な要因分析など、身に付けさせたい資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントの充実、そしてICTの良さを生かした個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けた取組、これらをさらに推進していく必要があると考えている。
そのためカリキュラム・マネジメントの充実に関しては、指導主事の学校訪問を戦略的に位置づけるなど検証改善サイクルの確立に向けた取組を、また、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に関しては、管内の小中高生がそれぞれの発達段階に応じてICTを効果的に使うことができるよう、また、通常の文房具と同じように日常的に使いこなすことができるよう取組を進めていただきたいと考えている。
▼つなげる、つながる
令和の日本型学校教育を構築し、新たな学習指導要領に基づく教育を実践していくためには、教員、学校、町などがそれぞれ個々に、バラバラに頑張っても自ずと限界がある。様々なレベルにおいて今まで以上につなげていくこと、つながっていくことを強く意識する必要があると考え、このような合言葉とした。3つの項目に沿って説明する。
「学びをつなぐ」では、学校種間の円滑な接続の強化と学校相互の連携や交流の推進、これらを進めていく必要があると考えている。そのため、学校種間の円滑な接続の強化に関しては、異なる学校種の教員等による授業参観や合同研修会などを通じてそれぞれの学校の活動について互いに理解を深めるとともに、発達段階に応じた系統性のある指導につながるよう、例えば教育課程の編成なども含めた学校種間での連携した取組をお願いする。
また、学校相互の連携や交流の推進に関しては、子どもが多様な意見や考えに触れたり、協働して学習に取り組んだりする機会の充実が図られるよう、遠隔授業を積極的に活用することなどによって子ども同士の多様な交流や専門家による指導の機会を設けるなど、学習活動の質を高める取組をお願いする。
「進化に向けて連携する」では、教職員が資質・能力を互いに高め合うための研修・交流機会の充実や組織一丸となった働き方改革の推進が必要であると考えている。そのため、前年度から実施しているオール檜山「学び合い」プロジェクトを引き続き実施していくほか、各町、各学校、校長会、教頭会など様々なレベルにおいても管内教職員のつながりを形成し、キャリアステージに応じて求められる資質・能力を高める取組を進めていただくようお願いする。
また、教頭の働き方改革に向けた取組の徹底や北海道の学校における働き方改革手引Roadに掲載しているチェックリストの活用など、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」第2期に基づく取組の推進をお願いする。
「地域一体となって学びを支える」では、学校と地域のパートナーシップの構築や子どもの地域への愛着と誇りを育むための取組を進めていく必要があると考えている。そのため、学校と地域が協働する新しい時代の学びの日常に向けた対話と信頼に基づく学校運営の実現に向け、道立校・町立校ともコミュニティ・スクールの導入を計画的に進めていただくとともに、導入後は取組の質的向上に向け不断に取り組んでいただくようお願いする。
また、小・中・高を通じた学校と地域の連携・協働によるふるさと教育、キャリア教育の充実を図るなど、子どもの地域への愛着と誇りを育むための取組をお願いする。
▼居心地のいい学校、居場所となる学校
学校は子どもたちが1日の大半を過ごす場所。学び、行事、先生や友達との触れ合いなど、子どもたちが楽しく安心して過ごせる場所であってほしいと考えている。
また、何らかの理由で登校できなくなった子どもに対しても、温かく関わり合う学校であってほしいと思う。そうした意味において、この合言葉でいうところの学校とは、町教委の取組なども含めた広い意味での機能としての学校を指している。
「子どもが安心して学べる学校をつくる」では、子どもが自己肯定感と他者への思いやりの心を持てる教育活動や、いじめや不登校への組織的取組の推進が必要であると考えている。
そのため、一人ひとりの子どもが自分の良さや可能性を認識することができるよう、子どもの良い点を積極的に評価したり、学習したことの意義や価値を実感できるよう伝えたりするほか、学校ならではの子ども同士の学び合いや、多様な他者と協働して主体的に課題を解決しようとする探究的な学びなどを通じて、子どもが自己肯定感と他者への思いやりの心を持てる教育活動の推進をお願いする。
学校いじめ防止基本方針の定期的な見直しや児童生徒理解・支援シートの活用など、いじめや不登校の未然防止、早期発見、早期対応に向けた組織的な取組の推進をお願いする。特に、新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、子どもたちの行動等にも大きな影響を与えている場合がある。人と人との距離が広がる中、不安や悩みを相談できない子どもたちがいる可能性や、子どもたちの不安や悩みが従来とは異なる形で現れたり、一人で抱え込んだりする可能性等もあることを考慮し、組織的な対応をお願いする。
「子どもの学びを保障する」では、子どもの学びを止めないためのオンラインなども活用した教育活動の充実を図る必要があると考えている。
管内においては、新型コロナウイルス感染症対応に関わる緊急時の子どもの学びを保障するためにICTの活用を含めた取組が行われている状況にあるが、今後は全ての学校が臨時休業や出席停止の際に学びを止めないために機動的にオンライン学習に取り組めるよう体制を整えるとともに、コロナ禍で培ったICT活用のノウハウを不登校などの子どもの学びの保障にも生かすことができると考えている。
そのため、全ての教員による1人1台端末を活用した授業を実施することはもとより、学校内のみならず、自宅に持ち帰って日常的に活用できるようにするなど、子どもの学びの保障に向けた取組の充実をお願いする。
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(道・道教委 2022-04-19付)
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