釧路市外国語教育アドバイザー 子の英語力向上で成果 平木氏 教員の意識が変化(市町村 2022-04-25付)
活動成果を報告する平木氏
【釧路発】昨年5月に釧路市外国語教育アドバイザーに就任した平木裕氏は、3年度に実施した英語科巡回指導訪問などの活動成果をまとめた。第三者の目で見た気づきからヒントを得ることで、教員の意識に変化が見られ授業改善の工夫につながり、児童生徒の英語力も徐々にレベルアップしてきていると評価。反面、環境の変化から学習意欲が低下する、いわゆる「中1ギャップ」が見られることから、本年度は小・中・高校の校種間連携に力を入れた授業改善にも取り組む。
平木氏は、広島県立高校で英語教諭として教壇に立ったあと行政職に。県教委指導主事を経て、国立教育政策研究所教育課程調査官、文部科学省視学官、広島県立教育センター副所長を務め、3年3月に県立安芸府中高校長を退職し、同年5月1日に釧路市外国語教育アドバイザーに就任した。
「目的・場面・状況などに応じて生き生きと英語でコミュニケーションする生徒」を目標に、主に中学校での英語の授業づくりに当たった。3年度は市立小・中学校、義務教育学校、高校で延べ75回の巡回指導を行い、新型コロナウイルス感染症によって訪問できない授業は動画配信で指導した。
特に中学校では「教室は英語でコミュニケーションする空間」という意識を強調。教員が英語で積極的に発話をするとともに、生徒同士が英語でコミュニケーションを取る工夫などを指導した。
活動成果のまとめには、小・中・高校別に、推奨すべき事例や改善すべき事例、指導助言のポイントなどを記載。授業改善のヒントとなるよう、小学校では積極的に英語を使用していることや教師自身が楽しんで授業していること、中学校では即興的に対話する授業実践があったことなどを紹介している。
毎回授業後に教員の良かった点と改善すべき点を伝えていた平木氏。次回の訪問時には改善が見られたなど、教員の意識の変化と柔軟性を評価した。
この成果は、文科省が実施している「英語教育実施状況調査」にも顕著に表れ、市立中学校では「教師の英語使用状況75%以上」が元年度の18・3%から56・5%に、「生徒の英語による言語活動75%以上」も23・2%から31・7%へと大幅に向上した。反面、目的・場面・状況に応じた質の高い英語使用では「生徒にそのレベルの英語を使わせていないことが今後の課題」と話す。
また、市独自の生徒アンケートで「英語の勉強は好き」「英語の授業は楽しい」の設問では、中学2年生で大幅に減少。中学1年生がターニングポイントとした上で「小学校から中学校へスムーズにつながる授業が大切。丁寧な授業を行わないと中学1年生で落ち込むことにつながる」と指摘している。
今後は、市教委が立ち上げる「小・中ジョイントプロジェクト」を活用し、同一校区の小・中学校教員が互いの授業を見合うなど校種間連携強化に、巡回訪問を提供していく。
平木氏は「それぞれの良い点を授業に取り入れることが、子どもたちにとって小学校からギャップがなく中学校の授業をスタートすることにつながる」と話した。
(市町村 2022-04-25付)
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