札幌市立高・特校長会 3年度事業報告 研究紀要から 第12回
(札幌市 2022-05-06付)

◆養護教諭連絡協②

【第2回連絡協議会のテーマと各校からの回答(一部抜粋)】

▼養護教諭の執務の実態と課題について

▽校務支援システムの活用例

 生徒の健康管理について「学校生活管理指導」「アレルギー疾患」の入力個所に全ての健康情報を入力し活用している。そのために入学時の健康調査の質問項目を「アレルギー疾患」の項目に一致させ、各項目について「あり・なし」で回答できるようにしている。心臓の疾病名やアレルギー源や発症時の対応についても同様にチェックをしてもらうようにして、回答漏れのないよう、そして自分が入力しやすいようにしている。項目にない持病等については「その他の既往症」として処理している(市立札幌啓北商業高)。

 必要な生徒情報を関係教員間で共有する手段として、校務支援のメッセージを活用している。複数教員担任・主任等と一斉に情報共有できるため、当該生徒に対する見守りを早い段階で実現できる。緊急性の高い案件についても管理職にまず一報を入れ、その後に口頭で丁寧に伝えることができる(市立札幌清田高)。

▽単数配置校・複数配置校における課題・利点・午前・午後・夜間部の3部を3人で分担している

〈利点〉

 緊急時の対応やケース会議等の際に保健室対応をお願いできる。また、日常執務も分担できるため、余裕を持って生徒と関わることができている。

〈課題〉

 いつか大通も定数減になるのでは…と業務の軽減に努めてはいるが、定数減となった場合、現在のように緊急時の対応ができるか不安に感じている(市立札幌大通高)。

▽働き方改革に関して新たに取り組んだ事柄

 緊急事態宣言時に時差出勤を行った。普段は勤務時間前から勤務を始めているので勤務時間の30分前倒しを行った(市立札幌新川高)。

▼入試業務

▽要支援の受験生に対する配慮

 通常の試験室では受験生本人や家族から聞き取りをし、座席などの配慮をしている。インフルエンザなどの感染症対応の試験室の設営。その他普通教室での受験が難しい受験生に対しては一人ひとりの配慮すべき事由に対応した特別室を設置している。保健室は体調不良の生徒の受験や持病なので配慮すべき生徒(過去はてんかんの生徒の受験、糖尿病で自己注射の必要な生徒のための場所の設置など)の試験会場や場所を提供した(市立札幌平岸高)。

▽入試業務における養護教諭の役割

 救護・保健担当だが、担当者は4人(保健相談部長、副部長、養護教諭2人)おり、一般の教員がチーフになるなど、分担がある点が良い。推薦入試では調査票点検(健康・特記事項)、大掃除、保健室(救護)設営を担当する(市立札幌旭丘高)。

▽試験会場の設営に当たり工夫したこと

 2次検査でグループ活動を行うが、1グループ4人で座席は一定の距離を取り、受験生の間にはアクリル板を設置した。鼻出血や切り傷などの軽微なものは、その場でフロア担当の教員がすぐに対応出るように簡易救急セットを各階に設置した。検査室内での嘔吐を極力避けるため、吐き気を催した受験生に素早く対応する使い捨ての「嘔吐ボックス」を各階に用意した(市立札幌開成中等教育)。

▼助言・指導

▽半澤郁子指導主事

 レポートでは、様々な視点から各校における工夫が紹介された。集合での協議が可能とならず残念であったが、広い視点での交流ができたのは、レポート交流ならではの成果であると考える。

 皆さんがさらに深い交流につなげていき、本年度の協議会の成果が各校の執務に生かされていくことを期待する。

▽田中進一担当校長

 児童生徒の教育活動の基盤となるのは、健康な「ココロ」と「カラダ」であり、そのベースが整っていてこそ、様々な学びが積み上がっていくものと思う。

 そのためにも、管理職が学校運営の柱として、保健室運営がより有効なものとなるようリーダーシップを発揮していくことが大事であると考える。

 今回、共有できた情報等をもとに、各校の取組がより一層充実したものとなるよう期待する。

【おわりに】

 まず、本年度の協議会運営に尽力して下さった幹事の二人に感謝したい。適切なテーマを設定していただくことで、集合形式による会議を開催することはできなかったが、情報交換を実施し、他校の状況等を知る機会ができたと考える。

 4年度に向けて、設立の主旨を引き継ぎながらも現場の教員方のニーズに鑑み、各校の保健室運営に資するような連絡協議会になるよう努めていきたい。

(札幌市 2022-05-06付)

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