札幌市立高校進路探究セミナー　本当にしたいこと考えて　企業代表が経験談もとに助言

（札幌市 2022-05-13付）

１年生２０００人が自身の進路や夢について考えた

　札幌市立高校・特別支援学校長会（黒宮裕久会長）と札幌市教委は１０日、市立高校の全１年生を対象にした進路探究セミナーを開催した。主会場の市立札幌新川高校とオンラインのハイブリッド形式で実施。中屋敷左官工業（株）の中屋敷剛代表取締役による講話のほか、「私の夢・生き方の理想」をテーマにしたパネルディスカッションなどを通して、自身の将来とこれからの高校生活について考えた。

　セミナーは、講師の講演や市立高校に通う仲間の「私の夢や生き方の理想」を聞き、これからの高校生生活を豊かにするための目標・抱負を考える契機とすることなどが目的。

　２年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で中止。３年度は新川高を主会場にした配信形式で実施した。本年度も新川高を配信会場とし、市内６校に配信。１年生約２０００人が参加・視聴した。

　開会後、中屋敷氏が「学校では聞くことのできない進路の話」を演題に講話。父親の死去に伴い、父親が経営していた左官会社を継ぐのか、東京の大手建設業者で働き続けるのかの選択を迫られた自身の経験を紹介。

　当初は、東京で働き続けるつもりだったが「今の自分があるのは生活を支えてくれた会社と従業員があってこそ」と考え、会社を継ぐことにした。「人生は選択の連続。無限の可能性がある一方で、予測することはできない」と述べ、会社経営で多くの悩みや苦労に直面したことを振り返った。

　その上で「人生の出来事に対して、プラスの意味付けとマイナスの意味付けがある」と考えるようになったと強調。「人生は出来事自体に意味はないが、出来事の捉え方次第で変化していく。つらいことや苦しいことにプラスの意味付けをすることで行動が変わり、未来も変わっていく」と呼びかけ、前向きに行動する大切さを伝えた。

　最後に、現代はインターネットやスマートフォンの普及で情報の入手が容易になっているとし「大量の情報で自分の考えや心が見えにくくなっている子が多いと感じる。大事な選択のときこそ、自分が本当にしたいことを考えてほしい」と述べ、生徒の充実した学校生活に期待を寄せた。

(札幌市 2022-05-13付)