マイスター・ハイスクール始動 ITで水産資源可視化 厚岸翔洋高 最先端の職業人育成
(道・道教委 2022-05-27付)

 【釧路発】文部科学省のマイスター・ハイスクール事業(次世代地域産業人材育成刷新事業)に指定された厚岸翔洋高校(福田雅人校長)の事業計画がまとまった。「地域の未来を創るマリン・イノベーターの育成~IT導入による持続可能な地域社会の創造」をテーマに①水産資源②漁家経営③地域産業―の持続化に向けた学習活動を産官学連携で展開。IT技術を活用し水産資源を可視化させ、貴重な環境資源の管理などを実践していくことで、持続的な成長をけん引する人材の育成に取り組む。

 事業は、第4次産業革命の進展とDX(デジタルトランスフォーメーション)、6次産業化など産業構造や業務内容が急速に変化していく中で、専門高校において地域産業の持続的な成長をけん引する最先端の職業人材の育成システムを構築するもの。3年度に創設し、本年度は道内から厚岸翔洋高を含む3校が指定校として選出された。

 事業名を「地域の未来を創るマリン・イノベーターの育成~IT導入による持続可能な地域社会の創造」と設定。水産分野の産業構造が変化し、業務内容の革新が求められる中で、カキやアサリ、コンブといった水産業を基幹産業とする厚岸町でIT技術を活用したスマート水産業の実践を通して地域の資源管理型漁業の推進に寄与するとともに、デジタル人材の育成をはじめとした地域産業の持続的な成長をけん引する最先端の職業人を育成していくことを示した。

 事業期間は3ヵ年。全体の事業計画をみると①水産資源の持続化②漁家経営の持続化③地域産業の持続化―の3点を軸に学習活動を展開していく。

 具体的な内容をみると、①については、漁船の位置情報や漁獲情報の電子データ化、水中カメラや空中ドローンを活用したスマート化による「海洋環境の可視化」「水産資源の可視化」の手法の習得を図る。

 ②では、スマート化による操業の省力化・効率化・低コスト化や熟練漁業者の技術継承方法の開発を目的に、熟練漁業者の知識や経験の電子データ化をはじめとしたマリンプロッタの活用による漁船の航跡情報の共有などを実施する。

 ③については、新たな料理レシピの開発、未利用資源等の有効活用と商品化、食と観光をミックスした観光パッケージツアーの開発を実施。厚岸水産物の高付加価値化の方策の開発を進めていく。

 17日には、同校で第1回運営委員会を開催。行政や厚岸町、厚岸漁業協同組合など産業界、公立はこだて未来大学など研究機関と連携して、実習・研究指導や出前授業などを実施していくとした。

 取組の統括役を担うマイスター・ハイスクール事業推進委員会のCEOにはこだて未来大の和田雅昭教授を、産業界の最先端の技術・知識に関する指導を担当する産業実務家教員に厚岸観光協会の安藤義秀事務局長をそれぞれ起用。産官学連携で地域産業の持続的な成長をけん引する最先端の職業人を育成していく。

 今後の予定として、5月に厚岸町長の講話、6月に探究活動に向けた地域の課題発見および資源管理手法の導入、7月以降には栽培漁業に関する研修や安全・効率操業体制の確立などを進めていく。

(道・道教委 2022-05-27付)

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