教育推進会議専門部会が会合 再編 幅広い方針を 道外生など呼び込む高校に
(道・道教委 2022-05-30付)

 道教育推進会議高校専門部会は26日に第3回会議を開き、これからの高校づくりに関する指針の改定に向け協議した。道教委から「地域とつながる高校づくり」など5点を盛り込む改定版指針の構成を示し、委員が意見を発表。地域連携特例校の再編整備に関しては地域の実態を踏まえ幅広い方針を示すよう求めたほか、地域活性化の観点から道外の生徒や移住者を呼び込む魅力ある高校づくりに期待した。

 同部会は、本年度で計画期間が完了するこれからの高校づくりに関する指針の検証・改定に向け調査・審議を行うため、ことし1月に道教育推進会議の下に設置。この日、オンラインで委員9人が参加した。

 はじめに道教委が、現行指針の検証結果報告書を踏まえた指針改定の構成を説明。①指針改定の趣旨等②地域とつながる高校づくり③活力と魅力のある高校づくり④公立高校配置計画⑤教育諸条件等の整備―のもと、具体的な施策を示す方針を示した。

 このうち②では、地域連携特例校におけるコミュニティ・スクールの導入やコンソーシアムの整備促進、T―base(道高校遠隔授業配信センター)の配信機能強化など、地域における役割を踏まえた高校の機能の維持・向上の施策について盛り込む。

 ③では、国の高校改革を踏まえた普通科の新学科設置の検討など、活力と魅力ある高校づくりに向けた学科の在り方を示すとした。

 ④では公立高校配置計画の基本的考え方と施策の方向性を記載し、地域連携特例校の再編留保については一定の期間を定め、期間が終了した段階で今後の在り方を検討するなど、本道特有の地域特性に応じた高校配置に関する事項を盛り込む予定。さらに、通学可能圏域の中核となる市町村と周辺市町村が高校配置等を検討する場の設置を検討するとした。

 続いて意見交換。地域連携特例校の再編整備に関して委員からは、地域の様々な実態や保護者の経済的負担などを踏まえ十分に考慮し、幅広い方針を示すよう要望した。

 また、地域との連携を担うコーディネーターの配置やコンソーシアムを維持する予算の在り方が課題として挙がり、指針に盛り込むよう提案した。

 小・中・高で学校運営協議会を設置している地域の中学校長は、地域との連携・協働の過程で子どもたちの意見を反映する視点を盛り込むよう提案し「校種を越えた交流が、高校への理解や魅力ある学校づくりにつながる」と指摘。私学関係者からは、圏域ごとの高校配置等を検討する際、私立学校も参加できるよう検討を求めた。

 このほか、家族と移住する道外入学者の増加が雇用の創出や地域活性化に寄与するとし「家族で移住したい人を呼び込む魅力ある高校や独自のカリキュラムなどを素案に盛り込んでほしい」と求めた。

 夏に予定している次回会議で指針の素案を示し、9月以降にパブリックコメントを実施。5年3月の教育委員会で決定する予定。

 中央教育審議会の教科書・教材・ソフトウェアの在り方ワーキンググループは26日の会議で、6年度からのデジタル教科書の本格導入に向けて協議した。

 東京学芸大学教育学部教授の高橋純委員は、紙の教科書の内容を基本とした簡易性の観点がデジタル教科書の実用と運用の両面で重要と指摘。

 6年度に教科書のデジタル化と豊富なコンテンツの負荷が同時に行われた場合、現場の混乱が懸念されるとし「紙の教科書の内容を基本とした従来部分」と「付加的な教材コンテンツ」を明快に区分するよう提案。学習指導を確実に実施するためにも安定的・持続的な提供が必要であることから、デジタル教科書と教材コンテンツとの連携の最終的な設計はしないよう提案し「広く開かれた柔軟な仕組みによって数多くのコンテンツが流通していくことが望ましい」と意見した。

 学校現場におけるデジタル教科書配信の課題として、コンテンツの重さからくるネットワーク負荷の増加、特定時間に大量の通信の発生などが挙げられている。また、自治体によって配信に対応できるネットワーク帯域が確保できない問題もある。

 このため文部科学省は、課題の解決・検証に向け「デジタルコンテンツとしてのデジタル教科書の配信基盤の整備事業」を実施し、通信回線が遅い学校でもデジタル教科書や連携教材が届く配信基盤の実証研究に取り組んでいる。

 また、閲覧するビューアごとにIDやパスワードが異なり、ログインの手間がかかる問題もある。このためユーザー情報や使用履歴を一元的に管理するID統合管理についても実証研究を進めている。ワーキンググループでの議論や各種調査を踏まえ、今後デジタル教科書の標準仕様案を策定する予定。

(道・道教委 2022-05-30付)

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