北教組 高校等配置計画撤回求め声明 少人数運営形態確立を 合理的配慮 早急な環境整備へ(関係団体 2022-06-10付)
北教組(木下真一中央執行委員長)は8日、道教委の2023年度から3年間の公立高校配置計画案および23年度公立特別支援学校配置計画案の撤回・再考を求める声明を発表した。近年の児童生徒数の減少を認めつつも「都市部を除く地域は疲弊・衰退が加速するとともに、子どもの学びが侵害されている」と強調。高校づくりに関する指針を抜本的に見直し、少人数でも運営できる学校形態を確立する必要性を指摘した。また、中学校卒業者数の推計は減少し続けているにもかかわらず「しょうがい児学校の定員が増加していることは、一層分離・別学に拍車をかける」と批判。地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた「合理的配慮」など、教育環境整備を早急に行うべきとし、撤回・再考を求めた。
概要はつぎのとおり。
道教委は6月7日、2023年度から3年間の公立高校配置計画案および23年度公立特別支援学校配置計画案を公表した。
公立高校配置計画案は、20年度配置計画で再編整備留保となっていた穂別を25年度に募集停止すると新たに公表した。
23年度については、天塩と弟子屈を地域連携特例校の導入と変更、24年度については「利尻を商業科1学級減」「釧路商業の4学科を1学級減とし学科転換」「釧路湖陵、大樹の学科転換による普通科新学科設置」とした。
25年度については「深川東、室蘭工業を1学級減」「岩見沢東1学級減としていた計画を岩見沢西と再編して2学級減し、岩見沢緑陵を1学級増」「富良野と富良野緑峰を再編し5学級の新設校」などとした。
夕張・長万部・豊富・倶知安農業については「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上にむけた具体的取組とその効果を勘案」して再編整備を留保とした。
これらは「中卒者数の状況、学校規模、募集定員に対する欠員の状況、地元からの進学率」など数字のみをもとにした機械的な判断で、募集停止とされる地域の子どもたちは遠距離通学や下宿などによって保護者の財政的負担も増加する。
北海道の多くの地域は、公共交通機関の便が限られ通学に時間を取られることで友人との時間や学習時間等が奪われ心身共に負担が大きい。
さらに管外への進学者も増加し、人口減少・都市部への一極集中がさらに進むことから、都市部を除く地域は疲弊・衰退が加速するとともに、子どもの学びが侵害されている。
再編留保は、該当地域に対して継続した自助努力を求めるものと言わざるを得ない。
また、子どもたちのためではなく、道教委に留保を認めてもらうための学校づくりを進めてしまう危惧がある。
これからの高校づくりに関する指針に基づき「1学年4~8学級」を適正規模として中卒者数の減少を口実にした機械的な間口削減と再編統合などによる学級減を強行し続けることは、これまで以上に高校の序列化に拍車をかけ、差別選別を一層進めるものである。少子化が進んでいる実態があるものの、機械的な間口削減や再編統合、募集停止によって通学が困難になったり、遠方へ進学せざるを得ない子どもを生じさせたりすることは看過できない。だからこそ、指針を抜本的に見直し、少人数でも運営できる学校形態を確立する必要がある。
その一例として北教組は、近隣複数校が連携し、1年時は共通科目を地域の校舎で、2年時以降進路希望に応じて子どもが他校舎を行き来できる「地域合同総合高校」を提唱してきた。
公立特別支援学校配置計画案は、23年度の進学希望見込数を1374人とし、定員を全しょうがい児学校61校で1690人(前年比2学級6人増)とした。職業学科を含む知的高等支援学校24校では22年度と同様、定員を904人とした。
また、24年度には「道央圏で2学級相当」「道北圏で1学級相当」の定員の確保を検討するとしている。中学校卒業者数の推計は減少し続けているにもかかわらず、しょうがい児学校の定員が増加していることは、一層分離・別学に拍車をかけるものである。
これは、文部科学省および道教委の進める特別支援教育が「分けることは差別につながる」とする国連障害者権利条約の理念に反し、どの子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」を阻害している。
道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学および進級・卒業に向けた合理的配慮など、教育環境整備を早急に行うべきである。
北教組は、これからの高校づくりに関する指針や配置計画案が、受験競争の激化や高校の序列化を加速させるとともに、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、引き続き、道教委に対し撤回・再考を強く求める。
また、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず、希望する全ての子どもが地元で学べる地域合同総合高校の理念を生かした豊かな高校教育の実現と子どもの教育への権利と教育の機会均等の保障を目指し、道民運動を一層強化していく。
(関係団体 2022-06-10付)
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