事務長等目指す施策を 道特長等 5年度文教施策要望
(関係団体 2022-06-30付)

 道特別支援学校長会(友善学会長)、道特別支援学校副校長・教頭会(岩佐延寿会長)、道公立学校事務長会(岩間淳会長)が道教委に提出した「5年度北海道文教施策に関する要望書」の要望事項はつぎのとおり。

1 特別支援教育の充実に関すること

▼特別支援教育に関する基本方針の改訂

 特別支援教育に関する基本方針の策定に向けた検討会議においては、本会、道教委、道立特別支援教育センターおよび関係機関を交えた協議する場を設け、学校現場の実情に即した建設的な議論を行うことを要望する。

▼特別支援学校管理運営予算―重点

 様々な障がいや疾病を有する児童生徒が学校や寄宿舎で安心安全に過ごし、充実した教育を提供するために必要な予算を確保されるよう要望する。―新規

▼学校給食関連運営費―重点

 学校給食関連運営費について、給食衛生管理基準に対応することができるよう配当額の見直しを行うとともに、学校規模や生徒数などを踏まえた傾斜配分とすることを要望する。―新規

▼訪問教育―重点

 病院で行う訪問教育(準ずる教育)については、教員の専門性や病院との連携を効果的に行う必要があることから、拠点校方式の導入について検討されるよう要望する。

 コロナ禍における病院や施設等で訪問教育を受ける児童生徒の学習と安全を保障するため、訪問教育担当教諭のPCR検査や抗原検査の予算措置を要望する。―新規

 訪問教育における時間講師の配置については、正規の教員も配置できるようにするなど、訪問教育の教員配置の在り方について改善を要望する。―新規

▼スクール・サポート・スタッフおよび学習指導員配置事業―重点

 スクール・サポート・スタッフや学習指導員は、学習指導の充実や感染症対策および教職員の業務負担軽減において非常に有効であるため、今後も配置事業の継続と拡充を要望する。

▼インクルーシブ教育システム

 インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の一層の充実と進展を図るため、市町村教委やPTA団体等から意見や要望を聴取するなどして成果や課題を明らかにし、道教委としての今後の具体的な施策やスケジュールを示されるよう要望する。―新規

 特別支援学校や特別支援学級から高校へ進学した生徒に対し、個々の障がいの状態や特性に応じた指導・支援が図られるよう、個別の指導計画の作成と活用の促進、支援員の配置や通級による指導の充実など、高校における特別支援教育の一層の充実を図る施策を講じることを要望する。

▼特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業

 予算削減とコロナ禍でリモートによる相談の実施や職員研修の実施等、支援の有り様も変化する中、パートナー・ティーチャー派遣事業の方法や内容についての見直しを要望する。―新規

 幼児児童生徒の適正な就学にかかる心理検査等の実施に向けて、各市町村教委に心理士の配置、またはスクールカウンセラーの業務への位置づけなど、必要な環境整備を行うよう市町村教委に働きかけることを要望する。―新規

▼特別支援学校に在籍する幼児児童生徒への指導や支援

▽食べる機能に障がいのある児童生徒の摂食指導(給食指導)

 摂食嚥下に関わる最新の知見に基づき、特別支援学校における再調理のガイドラインの全面的な見直しを行うことを要望する。

 特別支援学校で提供する段階食の基準を明確にするとともに、調理員が厨房で段階食の調理、提供を行うことができるよう体制整備を要望する。―新規

▽修学旅行にかかる旅費配分基準

 特別支援学校の修学旅行経費の実態を踏まえ、修学旅行引率旅費配分基準の見直しを要望する。

 割高となる車椅子対応バスの借上げや、小規模校のバス借上げ費用に対する加算を要望する。

▽スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカー活用事業

 児童生徒が安心して学べる環境、教職員が本来業務に専念できる環境を整備するため、必要とする特別支援学校に対しては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを通年配置できるよう条件整備を要望する。

 聴覚障がいのある児童生徒に対応可能な手話のできるスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーを確保することを要望する。また、確保が難しい場合は、手話通訳者の予算措置を要望する。

2 各障がい種に関すること

▼視覚障がい教育

 幼稚部に在籍する幼児の障がいが多様化していることから、4・5歳児学級を4歳児学級と5歳児学級の単独設置とすることを要望する。

 重複障がいのある幼児に対して適切な指導・支援を行うため、幼稚部に重複障がい学級の新設を要望する。

 幼稚部においては、幼稚園等との副籍や認可保育園の利用が可能となる制度の導入を要望する。―新規

広大な校区を有する盲学校・視覚支援学校が、視覚障がい教育の拠点校としての役割を果たすため、全ての学校に対して特別支援教育コーディネーター加配を要望する。

▼聴覚障がい教育

 聾学校におけるデジタルワイヤレス補聴援助システムの整備および、継続的な音声文字変換システムの運用を要望する。

 広大な校区を有する聾学校および釧路鶴野支援学校が、聴覚障がい教育の拠点校としての役割を果たすため、全ての学校に対して特別支援教育コーディネーターの加配を要望する。―新規

 重複障がいのある幼児に対して適切な指導・支援を行うため、幼稚部に重複障がい学級の設置を要望する。

 早期から一貫した指導・支援体制を充実させるために、乳幼児相談室の安定的運営に必要な人員配置と予算措置を要望する。

 札幌聾学校に言語聴覚士(ST)を配属し、全道の聴覚障がい教育校への「幼児児童生徒の聴覚管理」「人工内耳やデジタルワイヤレス補聴援助システムを含む補聴機器等管理」「教員への研修サポート」を行うことができるよう要望する。―新規

▼視覚障がい教育・聴覚障がい教育―重点

 特別支援学校の寄宿舎に入舎する幼児の指導・支援について、幼稚部幼児に配置する職員を標準法定数の義務定数とは切り離して配置基準を法制化するよう国に働きかけるよう要望する。―新規

▼知的障がい教育

 知的障がい特別支援学校高等部の在り方について、本会や特セン等との連携、協働によって検討、具体化することを要望する。

 知的障がい特別支援学校高等部における職業教育や進路指導の充実を図るために、民間企業等の人材を非常勤講師として活用できるよう制度の整備と予算措置を要望する。

 市町村教委ならびに教育支援委員会に対して、障がいの種類や程度および就学先の決定について、法令等にのっとって対応するように周知徹底されるよう要望する。

 知的障がい特別支援学校への自立活動教諭の配置をさらに拡充することを要望する。―新規

▼肢体不自由・病弱教育

 医療的ケアの必要な児童生徒も含め、希望する全ての児童生徒がスクールバスを利用できるよう、看護師のスクールバス添乗をはじめとする条件整備を要望する。

 岩見沢高等養護学校の学科の再編等について、特別支援教育に関する基本方針の策定に向けた検討会議等において、魅力ある学科づくりに関して具体的な検討・協議を行う場を設けることを要望する。

 手稲養護学校三角山分校と市立札幌山の手支援学校の在籍児童生徒の状況を鑑み、今後の2校間での学校経営の在り方や特通生(給食の提供)などについて具体的な検討・協議を行う場を設けることを要望する。

3 教職員の専門性の向上に関すること

▼特別支援教育に関する教職員研修―重点

 本道の広域分散型の地域性やコロナ禍を踏まえ、テレビ会議システムやウェブ会議アプリケーションを活用したオンライン研修の一層の充実を要望する。

 寄宿舎指導員や実習助手の専門性や資質能力の向上を図るため、職種や経験年数に応じた段階研修を導入することを要望する。

 児童生徒等の支援を行う介護員や特別支援教育専門支援員、および学習指導員など、児童生徒の指導に直接関わる職種について、研修機会の一層の拡充を要望する。

 特別支援学校の栄養教諭の研修ニーズを把握し、研修機会の一層の拡充を要望する。―新規

▼校内研修の充実―重点

 校内研修の充実を図り、教職員の専門性向上を図るため、外部講師等を招聘する場合の交通費や謝礼について、研修促進費で支出できるように制度内容を改善することを要望する。

▼道立特別支援教育センター

 道における特別支援教育の進展と特別支援学校に対する支援の一層の充実を図る観点から、特センが担っている教育相談事業、研究・研修事業、広報啓発・ICT教育推進事業の推進や、その機能と役割を最大限に発揮することができるよう、十分な予算措置と必要な支援を講じることを要望する。

4 自立と社会参加に関すること

▼障がい者雇用の拡大と定着に向けた就労支援

 障がい者雇用に関する民間企業の理解を一層促す施策を講じるとともに、道をはじめとする各自治体に対しても、障がい者雇用の拡大を促す施策を講じることを要望する。

 知的障がいのある生徒の進路選択の幅を広げ、企業等への就労を促すため、全道の道立高等技術専門学院に知的障がい者対象の訓練コースが設置されるよう関係部署に働きかけることを要望する。

5 交流および共同学習に関すること

▼居住地校交流

 居住地校交流の一層の充実を図るため、副籍制度の導入を要望する。

 市町村教委に対して、居住地校交流の理解・啓発を行うとともに、小中学校等と連携した実効性ある施策を講じることを要望する。

6 施設設備等に関すること

▼施設設備―重点

 特別支援学校設置基準に基づく道立特別支援学校の現状と課題を明らかにし、校舎狭隘化等の問題の解消に向けた具体的な対応策とスケジュールを示されるよう要望する。

 高等部職業学科に設置されている大型設備・機械の老朽化や稼働状態について状況を把握し、計画的にメンテナンスや更新することを要望する。

 各特別支援学校の児童生徒の障がいや疾病の状態、およびエアコンの必要度について状況を把握し、優先順位を整理の上、学校と寄宿舎に計画的にエアコンを設置することを要望する。

 学校給食調理施設設備の老朽化や稼働状態について状況把握を行い、計画的に修繕や更新することを要望する。

▼スクールバス―重点

 スクールバス乗務員経費について、人件費高騰や児童生徒の安全確保の観点から予算の増額を要望する。

 スクールバスの入札や契約事務を学校で行うことは本来業務ではなく、様々なリスクもあるため、道内全ての地域について教育局または道教委で入札・契約事務を行うよう要望する。

 スクールバスの安全性や安定的な運行を確保するため、安全に関する入札資格要件を付すことやプロポーザル方式の導入を要望する。―新規

 スクールバスによる送迎の在り方について、利用している児童生徒のニーズ、運行実態、委託コスト等について評価を行い、福祉事業所の送迎サービスや民間タクシー等の活用も視野に入れた検討を行うよう要望する。―新規

▼ICT関連設備・機器―重点

 GIGAスクール構想やICT教育の推進にかかる施策や予算の策定に当たっては、学校現場の実態や要望等を踏まえた上で策定されるよう要望する。

 校内ネットワークやサーバーシステムなどのICT機器の管理およびメンテナンス等については、外部委託またはICT支援員などの専門職員を配置(派遣)することを要望する。

 寄宿舎で児童生徒が端末を使った自学自習ができるよう、寄宿舎のワイファイ環境の整備を要望する。

 教育活動や校務を行う教職員用タブレット端末が全員に割り当たるよう予算措置を要望する。―新規

 校務系ネットワークと学習系ネットワークの相互接続が可能となるシステムの構築を要望する。―新規

校務系ネットワークの接続制限を見直し、校務で必要なサイトに接続できるようにすることを要望する。―新規

 寄宿舎指導員、技能労務職員、会計年度任用職員に対する校務用パソコンの予算措置を要望する。

▼AED(自動体外式除細動器)―重点

 特別支援学校の寄宿舎にAEDを配置することを要望する。―新規

7 教職員に関すること

▼教育職員の人事異動

▽人事異動要領

 道公立特別支援学校教職員人事異動実施要領の厳格な運用を図るとともに、一定の経験を有する中堅やベテラン層職員のC群への異動促進を要望する。

 道公立特別支援学校教職員人事異動実施要領等の見直し・改定に当たって、本会と道教委による検討会議での十分な議論を踏まえ推進することを要望する。

 長年勤務の自立活動教諭や主任看護師の異動促進について、具体的な施策を講じることを要望する。

▽人事異動にかかる学校郡区分

 道公立特別支援学校教職員人事異動実施要領の見直し・改定に当たっては、教職員の生活スタイルや交通事情等の変化を踏まえ、学校群区分の抜本的な見直しを要望する。

▼教職員の安定的な確保―重点

 教育に対する高い志を持ち、有能な人材を確保するため、学校における働き方改革の推進とともに、教職員の給与・手当など待遇面の改善を要望する。

 期限付教員等を確保するために、教職員課、各教育局、教員養成大学、ハローワーク等と人材確保のネットワークを構築するなど、具体的な施策を講じることを要望する。

 郡部校における寄宿舎指導の専門性を維持するため、全道的視野に立った寄宿舎指導員の異動を促進するとともに、郡部校寄宿舎指導員の欠員補充を期限付職員で補充することのないよう適切な採用者数の確保を要望する。

▼学校職員の配置―重点

▽事務職員

 事務長や事務主任を目指す職員を増やすための、具体的な施策(インセンティブの付与、待遇や人事面での優遇など)を講じることを要望する。―新規

 特別支援学校における学校事務の特殊性や業務量を踏まえ、学校規模等に応じて事務主任を優先的に配置するなど、事務職員の適切な人員配置を要望する。

道立学校運営支援室および教職員事務課の業務が各学校事務室との相互理解と連携協働によって円滑に行われ、効率的な学校事務が進められることを要望する。

▽給食調理員

 学校現場の実態を把握し、調理員定数の改善または各学校の実情に応じた臨時給食調理員の加配を要望する。

▽障がいのある教職員

 視覚障がいのある職員が勤務する学校に対する公文書については、点字文書またはスクリーンリーダー対応のデータを添付するなど、視覚障がいのある教職員の情報保障(合理的配慮)を要望する。―新規

 聴覚障がいのある教職員が業務に必要な情報を他の教職員と共有しながら業務を遂行することができるよう、画像表示システムの整備を要望する。―新規

▽非常勤寄宿舎指導員

 非常勤寄宿舎指導員の年次有給休暇等の取得を見越した宿直回数の配分を要望する。―新規

8 働き方改革に関すること

 出退勤管理システムについては、システムの一層の効率化と労力の軽減を図ることを要望する。

 特別支援学校の管理職(副校長、教頭)の業務内容や状況について調査して課題を整理するとともに、その対策について具体的な改善策を示されるよう要望する。―新規

(関係団体 2022-06-30付)

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