札幌市教委　給食用樹脂食器試行　ＰＥＮ製　導入を決定　先行実施校で３学期から

（札幌市 2022-07-27付）

　札幌市教委は、市立小・中学校２校ずつで３年度に実施した給食用樹脂食器の試行に関するアンケート調査結果をまとめた。使用した樹脂は、アリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合（ＡＢＳ）、ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）の２種類。アンケート結果や試行期間の破損状況等を考慮し、ＰＥＮ樹脂食器の導入を順次進めていくことを決定した。

　市の学校給食では、平成１０年度に策定した「札幌市における学校給食の今後のあり方について」を踏まえ、１１～１７年度にかけて、ステンレス食器を廃止。全食器を強化磁器食器に変更している。

　その後、食器の変更から１０年以上が経過したことから、札幌市学校給食運営委員会内に「学校給食における食器のあり方検討部会」を設置。今後の使用食器について協議してきた。

　令和元年度には部会が運営委員会に答申を提出。答申では、児童生徒や調理員の扱いやすさ等の観点から、合成樹脂食器への移行を検討することが望ましいとしている。

　移行に向け、前年度の１学期・２学期にＡＢＳ樹脂とＰＥＮ樹脂の丼を小・中学校２校ずつで試行。各学期終了後に、各素材の食器の使用について児童生徒・教職員へのアンケート調査を実施した。

　「熱くて持ちづらいことはあったか」に対するアンケートにおける「なかった」「ほとんどなかった」の合計割合を樹脂別にみると、小学校はＰＥＮが７９・４％、ＡＢＳが８６・１％となった。

　一方で、中学校は、ＰＥＮが８７・７％、ＡＢＳが７８・３％となったほか、教職員は、ＰＥＮが１００％、ＡＢＳが９３％となっている。

　「滑って持ちづらいことはあったか」については、児童生徒・教職員共に、ＰＥＮよりもＡＢＳに滑りやすさを感じていると回答している。

　食器の破損状況については、ＰＥＮが１件だったのに対し、ＡＢＳはひびなどが５件発生した。

　これらの結果を踏まえ、今後はＰＥＮ樹脂食器の導入を決定。現在は、食器の購入に関する契約を進めるとともに、先行導入校を選定しており、３学期からの導入を予定している。

(札幌市 2022-07-27付)