道教育大附属札幌中　夏季研究大会　発見や成果求める授業　３年技術　アイデアを形に

（札幌市 2022-07-28付）

自分の便利グッズをプレゼンする生徒

　道教育大学附属札幌中学校（萬谷隆一校長）は２６日、同校で４年度夏季教育研究大会を開催した。本年度から新たに設定した研究の目的「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」のもと、国語や技術など８教科の授業を公開。これまでの学びや知識を踏まえ、新たな発見や成果に向かう生徒の姿を披露した。

　同校は、平成３０年度から前年度まで「自ら判断・行動し、未来の創り手となる個の育成」を研究の目的にした研究・実践に取り組んできた。独自の学習アンケート調査を通して、生徒の成長を捉えてきた。

　前次研究の課題として「メタ認知能力や自己効力感への成果が見られた一方で、学習成果に対する自信や自己肯定感はそれほど高くなく、自己の力や努力を低く見積もってしまう」と分析した。

　本次研究では、育みたい姿・身に付けさせたい力について教職員で協議を重ねた結果「生徒が学校教育を終了したあとの将来においても、課題に直面した際、自他の既有の知識や技能などを様々な角度から吟味し、自己を調整して解決に向かうことを通して新たな価値を生み出す」ことを目指し、研究の目的を「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」に設定した。

　１年次は①教師自身が教科内や教科・領域間のつながりを捉えるために、総合的な学習の時間を核としたカリキュラム・デザインの作成を意識した実践②各教科・領域において、既習と未習、自己と他者の考えを意識的につなぎ合わせながら解決へ向かう授業の在り方を考え、実践する③主に②に関する継続的な取組を通して生徒にどのような変容が見られたかを、大学・教職大学院との連携をもとに分析・検証する―の３つを研究目標とした。

　授業では、国語や美術など８教科を公開。新型コロナウイルス感染防止のため、３部制で時間を分けて開催した。

　技術・家庭科では、３年Ａ組（生徒数３５人）の技術分野を公開。「アイデアを形に～３Ｄモデリング」を題材にした授業を、佐藤敦主幹教諭が指導した。

　授業では、ＣＡＤソフトと３Ｄプリンターを使用。日常生活で活用できる自分の考える便利グッズをグループで企画・設計し、交流会や意見交換を通して、より良いグッズの完成に取り組んでいる。

　本時は１０時間扱いの７時間目として、グッズの説明会を実施。「課題解決に向けた便利グッズの形状や機能になっているかを検証し、改善することができる」を目標に設定した。

　冒頭、これまでの課題を全体で共有したあと、佐藤教諭が「社会面」「安全面」「経済・環境面」「付加価値」の４点を意識したものになっているかを、あらためて呼びかけた。

　説明会では、１２グループがグッズについて発表。シャープペンシルの芯を入れやすくするグッズやマジックで線を引くときに定規を保護するグッズなど、経緯や工夫した点をプレゼンテーションした。

　筆記用具に装着できるペンだこ防止用のカバーを企画したグループは、ペンだこができる原因やできやすい指について調査。「指への圧力を分散することで、ペンだこができないようにした」と発表した。

　生徒からの「どんな筆記用具にも対応できるのか」の質問に対しては「やわらかい素材を使用することで、一定の伸縮性は確保できている」などと答えた。

　発表と並行して、傍聴している生徒はグーグルジャムボードに、各グループの商品の良い点や改善点を記入した。

終了後には、ジャムボードに記入された意見を踏まえ、グッズの改善について協議。冒頭で示された４点の向上を目指し、設計図の変更などに取り組んだ。

(札幌市 2022-07-28付)