札幌市　３年度決算概要を公表　歳入・歳出　過去最大に　端末整備完了で教育費１８・６％減

（札幌市 2022-09-20付）

　札幌市は３年度決算の概要を公表した。新型コロナウイルス対策の経費が増えたことなどにより、歳入は１兆２９９２億円、歳出は１兆２８４９億円で、共に過去最大となった。教育費の歳出は、前年度と比べて１８・６％減少しているが、ＧＩＧＡスクール構想による１人１台端末の整備がほとんど完了したことなどによるもの。歳入から歳出や繰越金を差し引いた実質収支は、９８億円の黒字となり、過去最大だった前年度に続いた。

　市が公表した一般会計の歳入は、前年度比０・８％増の１兆２９９２億円だった。うち地方交付税と臨時財政対策債の合計は２８・４％増の１９５４億円。市税は０・３％減の３３４６億円だった。

　歳出は、２年度比０・９％増の１兆２８４９億円。保健福祉費が１５・２％減の５２０２億で全体の４割を占めた。総務費は５１％増の５４３億円で、学校や公共施設の将来的な更新時の財源として活用するための「まちづくり推進基金」への造成が増加の主な要因となった。

　このほか、記録的な大雪による除排雪費が増えたことから、土木費が１６・１％増の１２５０億円だった。教育費は、１８・６％減の４５０億円。前年度までに、ＧＩＧＡスクール構想による１人１台端末の整備や、３年４月に開校した市立芸術の森小学校の建設工事が完了したことなどで減少した。

　新型コロナウイルス対策関連の決算額は２５２６億円。医療提供体制の強化やワクチン接種の推進に加え、学びの機会を確保するためのデジタル化推進費として２億５６００万円が使われた。

　歳入から歳出と翌年度繰越財源の４４億円を差し引いた実質収支は、過去最大だった２年度比１７・２％減の９８億円で黒字となった。

　財政調整基金の３年度末残高は３１１億円。大雪対応のため５７億円を取り崩し、実質収支の黒字分のうち４９億円を積み立てた。本年度は８２億円を取り崩す予定で、年度末には２２９億円となる見込み。市は基金について、１００億円を最低限維持する目標を設定しており、現時点で既に水準を満たしている。

　借金に当たる市債残高は１兆１００６億円と１０年連続で増加。市財政局は「施設の建て替え需要が増え、増加も見込まれるが、将来的に過度な負担を残さないよう健全な財政運営を行っていく」としている。

(札幌市 2022-09-20付)