札幌市幼児教育センター講演会　質の高い幼児教育へ　香川大・松井准教授が登壇

（札幌市 2022-10-03付）

約120人が参加した

　札幌市幼児教育センターは９月上旬、ちえりあで講演会を開催した。香川大学の松井剛太准教授が「質の高い幼児教育の実践に向けて～保育の質を考える」と題して講演。その子らしさを保育に取り入れていくために、日々の保育活動の前向きな見直しや、「子どもの遊びや関心」「保育者中心」「プロセス重視」の事例検討を進める必要性を説いた。

　講演会は、認定こども園新規採用教員研修を兼ねたもの。質の高い幼児教育の実践の在り方を学ぶとともに、幼児教育に求められている資質・能力の向上を図る。市内の市立・私立幼稚園教諭ら約１２０人が参加した。

　松井准教授は、保育の質を踏まえた実践として「子どもを中心に考えることが最も基本的な視点」と説明。子どもの声は一人ひとり異なることを前提に「保育の質的向上にいかにつなげるかが大切」と訴えた。

　保育者に必要な見取りについては「共感的・ケアリング的なまなざしが必要」とし①子どもの声に聞き入る②子どもの声を受け止める③子どもの声を発信する―の３点を循環させる実践を説いた。

　子どもの声を受け止めるに着目し、幼児理解の在り方を解説した。その子らしさを保育にどのように取り入れるかを検討する上で「日常にある当たり前を見直すことが大切」と強調。慣例的に行われている保育活動が「“今の子たちにとって意味があるのか”など、良い疑問を持って見直していくことが保育の質を高めるプロセスの入口」と訴えた。

　その上で「記録と対話」の重要性を提示。特に、保育カンファレンス（事例検討）で大切なこととして、「正答や意見の一致を求めるのではない」と指摘し「年長者や管理職等が指導する方法とは本質的に異なり、発言の平等性や参加者相互の学び合いという対等な協働的関係が重要」と述べた。保育方法や管理職中心、結論重視などのカンファレンスから、「子どもの遊びや関心」「対話」「保育者中心」「プロセス重視」の在り方に変えていくことが、保育の質を高めることにつながると説いた。

(札幌市 2022-10-03付)