釧路市教委　学校の姿基本計画素案　義務教育学校設置へ　１２月に最終案固める方針

（市町村 2022-10-03付）

　【釧路発】釧路市教委は１日、市内小・中学校の再編や義務教育学校の設置を盛り込んだ「釧路市がめざす学校のすがた基本計画」の素案を公表した。６月策定の「たたき台」で示した義務教育学校の設置は予定どおり実施していくが、小学校同士の統合は取りやめに。今後は、今月に保護者や地域住民に向けた教育懇談会を開き、１２月には最終案として固める方針。

６月に策定した「たたき台」では、小・中１４校の統合による６校の義務教育学校設置と小学校４校が２校となる統合および３校を２校とする小学校の分離統合の計画を公表していた。同案は、中１ギャップや学力・学習意欲の伸び悩み、児童生徒の減少によるデメリット解消や学校施設の老朽化など、子どもたちを取り巻く様々な課題解決に向けた方策として策定。

　市教委は「たたき台」公表後、７月４日から市内１４ヵ所での地域懇談会や市ＰＴＡ連合会との教育懇談会を開催。保護者や地域住民からは「通学距離が長くなる」「学校がなくなると地域の衰退にもつながる」などの声が上がっていた。

　今回の素案では、義務教育学校の設置計画に変更はない一方で、小学校同士の統合記述は削除された。

　理由として、小学校のみを統合し、その後義務教育学校へ移行した場合、一定期間内に２度の再編を経験することになり「子どもに与える負担が大きいのでは」との声を考慮。「児童や保護者に必要以上の負担をかけることは望むものではない」とし、取りやめる判断に至ったと説明した。義務教育学校の設置は計画どおり進めていく方針。

　市ＰＴＡ関係者は「学校がなくならず一安心した。要望を反映してくれたと思う」と耳を傾けてくれた市教委の判断を歓迎。また「一番大切なのは子どもの将来にとって、どのような学校づくりが良いのかを、大人たちが真剣に考えていくことでは」といった声も聞こえた。

　市教委では「小中一貫教育を推進する義務教育学校設置の基本方針に変更はない。今後、９月定例市議会や教育懇談会などでの議員や市民からの意見を踏まえて計画案を策定したい」と話している。

　岡部義孝教育長は「義務教育学校を基本に、小中連携を進めることで、全ての教職員が児童生徒一人ひとりの義務教育９年間に責任を持つことになる」と将来の学校のより良い姿に期待を寄せた。

(市町村 2022-10-03付)