白糠町教委　地域おこし隊員活用　音楽教育核に情操教育　３校で授業やクラブ活動支援

（市町村 2022-10-04付）

斉藤さん（左）、山田さんと一緒に歌う子どもたち

　【釧路発】白糠町教委は本年度、情操豊かな子どもを育成するため、音楽教育を核とした情操教育に取り組んでいる。今春には「地域おこし協力隊員」（情操教育指導者）２人が着任。子どもたちと音楽を通した心豊かな活動に取り組んでいる。

　ピアノ奏者や声楽家による指導、実演体験等を通して音楽に触れ、その美しさや感動を直接味わうことで、美しい物や事を感じ入り、素直に表現できる心の育成「美的情操教育」を目指している。

　情操教育指導者は山田陽子さん（ピアノ）と斉藤弥音さん（声楽）。

　山田さんは、東京音楽大学大学院修了後、ドイツのトロッシンゲン大学院へ。帰国後は北広島市を中心に音楽教室での指導や様々な形で音楽の魅力を伝える演奏活動などを行っていた。

　斉藤さんは、洗足学園音楽大学ミュージカルコースを卒業。地元北海道のために音楽で何かの役に立ちたいという願いから町の地域おこし協力隊員に応募。町の情操教育への思いと合致した。

　２人は、町内３校で、子どもたちと音楽を通し豊かな心が育む音楽活動に取り組んでいる。主に音楽の授業やクラブ活動のサポート等で、音楽の楽しさなどを伝えている。子どもたちは２人が奏でる音楽の魅力に引き込まれるとともに、自然に体を動かすなどして、音の魅力や楽しさ、豊かさなどを体感している。

　うち白糠学園（滝川敦善校長）では、授業やクラブ活動のほかに、休み時間に多目的ホールで、自由に音楽を楽しむ取組を行っている。ホールに設置されたピアノに合わせて自由に歌ったり、演奏を聞いたり、ピアノに触れたりすることができる。表情豊かにピアノを奏でる山田さんと、透き通るような斉藤さんの歌声が響くホールには、常に多くの子どもたちが集まり、一緒に体を動かしながら歌う姿が見られる。

　保護者からは「心が震えた」「こんなにすてきな音楽に触れ合うことができる子どもたちは幸せだと思う」という声が聞かれた。

　山田さんは「子どもたちがすぐに溶け込んでくれたことがうれしい。音楽が好きな子が多く、音楽を通して豊かな心を育むことで思いやりなどの優しい気持ちも育ってほしい」と音楽を通して成長していく子どもたちに期待を寄せた。

　斉藤さんは「音楽の力で心と心がつながり、相手の気持ちを推し量ることができる優しい子どもになってほしい。音楽を通して勇気や優しさなども感じてくれれば」と音楽が子どもたちの中で役立ってくれることに願いを込めた。

　滝川校長は「音楽を通して心が震える体験ができる機会となるよう、これからも様々な形での取組を検討していきたい」と話した。

(市町村 2022-10-04付)