釧路市教委 芦野小で国語研修講座 作品世界に迫る授業 6年「やまなし」題材に(市町村 2022-10-14付)
授業公開に臨む授業マイスターの谷口教諭
【釧路発】釧路市教委は9月下旬、釧路市立芦野小学校(高畠昌之校長)で研修講座「国語科教育の充実~マイスターの授業公開」を開催した。市内や管内の小・中学校、義務教育学校から50人が参加。本年度選出された授業マイスターによる授業公開や研究協議を通して、国語科における課題について把握し、今求められる授業の在り方について研修を深めた。
授業マイスター6人による研修講座(授業公開)は6講座あり、市の授業力向上事業の一環である公開授業「授業マイスターに学ぼう」(初任段教員対象に6本公開)と合わせ、教員全体の指導力向上を目的に開催している。
はじめに、市教委の関本裕介指導主事が、国語科における授業改善のポイントについて、全国学力・学習状況調査の分析結果をもとに説明。
児童生徒質問紙調査結果から、生きて働く言語能力を育むカリキュラムデザインには、国語科の学習への必要感などがある単元計画が重要とした上で「言葉による見方・考え方」が働く授業の組み立てと、言語活動を通して児童生徒の資質・能力が高まっていく単元の学習過程の工夫が大切である点を指摘。「教わる授業」から「自ら学びとる授業」への授業スタイルの見直しを求めた。
このあと、授業マイスター谷口敬太教諭(芦野小)による6年生国語科の授業が公開された。
単元は「作品の世界をとらえ、自分の考えを書こう」、教材は宮沢賢治の「やまなし・イーハトーヴの夢」。8時間扱いの6時間目。本時の目標を「五月」と「十二月」の場面を比べて読み、「やまなし」という題名の意味について考えることができる、と設定した。
「やまなし」は十二月にしか出てこないことを確認した上で「なぜ、やまなしという題名なのか考えよう」と課題を提起した。
「五月」と「十二月」を比較するため、「会話」「情景」「オノマトペ」「受ける印象」が対比できる表を板書。視覚にも訴えるよう、教科書の挿絵も掲示した。
子どもたちは「やまなし」と「かわせみ」に関わる記述を中心に考え、意見を交流。「かわせみ」が2つの場面に登場していることやそれぞれの場面から受ける印象について話し合うことで「かわせみ」と「やまなし」の関係にも着目した。五月の幻灯の価値については「やまなし」が出てくる幸せな描写があるから必要ないという意見と、死や恐怖の描写があることで「やまなし」のありがたさが強調されるという考えが出されるなど、作者の思いに深く迫る話し合いを展開した。
題名の意味については「宮沢賢治の人生を表している」「やまなしは賢治の理想。互いに心が通う平和な世界を描いているのでは」といった意見が出るなど、子どもたちは「やまなし」を通して「宮沢賢治の世界」に触れた。
研究協議では①本時の目標に迫るための教師の手立てと、教師の子どもたちとの関わり方②「読むこと」領域の学習における資質・能力の高まりをどう見取るか、評価の在り方―の2点を柱に11グループで討議。
参加者からは「今までの学習がつながっていた」「自由に考えが持てるように、子どもに委ねる場面の工夫が見られた」といった意見や、ロイロノートの活用に関して「活用と共有を意図的に行うことで、学ぶ意欲の継続につながっていた」などの声が聞かれた。
助言に立った釧路市立景雲中学校の松岡伸之校長は、単元構成の工夫が大切とした上で「本時の課題に向け、4時間目の段階で意識させたことが重要だった。しかるべき指導があってこそ、指導と評価の一体化ができる」と単元全体を見通す重要性を訴えた。また、子どもたちの学びの連続性を保つため、教科レベルでの小中連携が進むことにも期待を寄せた。
(市町村 2022-10-14付)
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