教員採用試験の実施時期 6年度から早期・複線化へ 月内に協議会設置し検討開始
(国 2022-10-05付)

 永岡桂子文部科学大臣は3日の閣議後記者会見で、教員志願者の確保に向け、早ければ6年度から教員採用選考検査の実施時期の早期化・複線化(年度内の複数実施)を目指す考えを示した。10月中に文科省、都道府県教委、大学などで構成する協議会を設置し、新たな教員採用スケジュールについて検討を開始する予定。

 公立学校の教員採用選考検査における採用倍率は低下傾向が続き、4年度選考検査(3年度実施)は全区分で3・7倍、小学校の区分では2・5倍といずれも過去最低を記録した。

 教員採用試験の実施スケジュールは4、5月に出願、7月に一次試験、8月に二次試験を実施し、9、10月に合格発表・採用内定を公表するのが一般的となっており、20年以上大きな変化はない。

 一方で、民間企業の採用活動は早期化しており、内閣府の報告によると民間企業の内々定の解禁日(6月1日)までに就職活動を終了している学生が増加。「結果的に教員志願者の一部が民間企業や他の公務員に流れている」という指摘がある。

 さらに国では、国家公務員総合職春試験の実施時期の早期化を検討しており、人材確保のための制度設計が危急の課題となっている。

 こうした状況を踏まえ、永岡文科大臣は、国と教員任命権者である教育委員会、大学が連携・協力し、教員採用試験の在り方を検討する協議会を設立する考えを示し、「大事なことは日本全体で教師を目指してもらう人の数を増やし、質を高めていくこと、限られた志願者を奪い合うのではなく、新たに教師を目指す人々を増やすことと考えている」と述べた。

 教員採用試験の早期化・複線化の実現には関係団体との調整に時間を要することから「早ければ6年度に行われるよう努めていきたい」とした。

 一方で、教員採用試験の早期化によって学生の勉強や実習の時間が不足する懸念があることから、文科省、教育委員会、大学が連携・協働で検討を進める考えを示した。

 中教審の令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会では、教師の養成・採用・研修の具体的な方向性について審議を進めている。

 9月に取りまとめた審議の中間まとめでは、思考力・判断力・表現力等を重視した教員採用試験の在り方の検討や、教員免許状保有者の入職を促進する特別選考の拡充の必要性を示している。

(国 2022-10-05付)

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