道教育大附属函館中が研究大会 CBTで形成的評価実現 5授業の研究成果を発信
(学校 2022-11-08付)

 【函館発】道教育大学附属函館中学校(中村吉秀校長)は4日、研究大会をオンライン開催した。研究主題「1人1台端末環境下における指導と評価の一体化~CBTを活用した学習評価の在り方」のもと、事前公開した5授業の動画について教科別分科会を実施。CBTを取り入れた指導によって、生徒の変容を捉えるとともに、形成的評価を確立させる研究の成果を披露した。

 同校は、本年度から2ヵ年計画でCBTの利活用について研究。生徒が学習過程で身に付けた資質・能力を短期間で図る検証改善サイクルを確立すべく、小テストや定期考査でグーグルフォームを活用したCBTの実践を進めてきた。

 CBT活用に当たっては、各教科の年間単元計画で、生徒に育成したい資質・能力を整理。教員は単元や既習の確認等で出題し、生徒の学習状況把握や指導改善に即時性を持って取り組んでいる。

 評価の在り方については、授業導入時の「診断的評価」、生徒の変容を見取る「形成的評価」、生徒・教員の教育成果や個々の評定等に役立てる「総括的評価」に反映するなど、CBTによる教育効果の可能性を探っている。

 大会当日は、全国28都道府県から約120人が参加。開会後、研究主任を務める金子智和教諭が研究概要を発表したほか、事前配信された国語、数学、理科、保健体育、外国語の5教科における分科会を実施。

 分科会後は、國學院大學の寺本貴啓教授による講演会が行われた。

 事前配信された5授業のうち、1年生の理科「光・音・力による現象 2章 音による現象」は、坂見明教諭が指導した。全6時数の単元では、授業後に音の伝わる過程や性質の違い、振動の様子などを問う問題についてグーグルフォームを活用したCBTで出題。次時の授業で生徒の理解度を全体共有し、個別最適な学習につなげたり、評価材料の一助にしたりしている。

 本時では、連結ストロー笛を作成し、音の高低、大小を表現させる実験に取り組んだ。評価の観点および目標のうち、思考・判断・表現力等には「音の性質の規則性や関係性を見いだして表現するなど、科学的に探究すること」などを設定。 

 生徒は、グーグルクロームアプリで電気信号を視覚的に観測できるオシロスコープを使用し「高く大きい音を出すと振り幅が大きい」などと確認。授業後は1人1台端末で音の大小、高低によって異なる音の波形を演奏した動画を提出させ、学習内容の確認に役立てた。

 研究協議では①1人1台端末のICT活用②指導と評価の一体化③理科授業の内容―の3点について討議。

 参加者からは「CBTで出題した宿題を授業に生かす点は勉強になる」「生徒の資質・能力を平等に確認する機会につながっている」と肯定的な意見が寄せられた。

 一方、評価につながるテストを家庭で行う際、厳格性の担保について問う質問が挙がった。

 坂見教諭は「音の速さを測る計算問題の出題などは家庭内で行う際の評価材料にするのは難しい」とした上で「あくまで生徒の変容を見取る観点で評価材料の一助としている」と説明。

 個別最適な学びにつなげる指導改善の方策に関する質問では、CBTで得た生徒の解答について、フィードバック機能で生徒にコメントを返したり、質問をオンラインでやりとりしたりする支援方法を挙げた。

 討議後は、渡島教育局義務教育指導班の勝田洋一指導主事が助言。「生徒の学習改善につながるフォローが多く見受けられた。新学習指導要領の趣旨実現に向け、生徒の資質・能力育成を踏まえた学習評価は大切」と優れた実践の成果を評価した。

(学校 2022-11-08付)

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