全小社研北海道大会公開授業② ノホロの丘小 生産者と消費者の関係探る 西山製麺を題材に地域学ぶ
(札幌市 2022-11-17付)

第3学年授業研究会A(2)

ノホロの丘小学校3年1組(髙倉平造教諭)

工場の仕事~消費者ニーズに応え続ける製麺工場

◆第3学年で目指す子どもの姿

▼体験的な活動を通して地域の良さを実感し、社会的事象を創出する人物への憧れや住んでいる地域への愛着を持とうとする子

 第3学年部会で目指す「社会を知り、世界を切り拓く北国の子」とは「体験的な活動を通して地域の良さを実感し、社会的事象を創出する人物への憧れや住んでいる地域への愛着を持とうとする子」である。自分の「地域」をよく学ぶことで他地域の特色もつかめるようになる。

 また、地域に対する誇りや愛着を持つことは、他地域、他国の「良さ」を知ろうとする芽を育むことにもつながる。

 本単元では、ラーメンを札幌の食文化へと高めてきた西山製麺の学習を通して、そこに関わる人々の判断や営みに価値を感じられるような学習を構成する。麺作り体験や具体物の観察を取り入れながら、麺の材料や作り方といった工場での製造工程、輸送の方法を調べる活動を通して、機械を用いた大量生産、多品種少量生産、衛生管理といった、多くの人のニーズに応える工夫に迫っていく。

 そのような人物の営みと自分たちの生活との関わりを考えることを通して、地域の生産を支えている人物への憧れや地域への愛着を持とうとする姿を目指す。

◆本単元の目標

 機械と人の分業による麺作りの工程、多種類の麺の生産、生産者と消費者の立場等に着目して、見学・調査したり、地図などの資料で調べたりしてノートなどにまとめ、麺の生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え、地域の人々の消費活動との関連やそれらの仕事に見られる工夫を考え、表現することを通して、麺の生産の仕事は、地域の人々の消費活動と密接な関わりを持って行われていることを理解する。

 また、札幌で長年麺の生産に携わってきた西山製麺の営みを知り、地域の生産の仕事について見つめ直し、自分の消費行動や地域の良さについて考えようとする態度を養う。

◆本時のねらい

 西山製麺が多種多様な麺を生産する意味について「消費者」と「生産者」の立場で考えることで、消費者の様々なニーズに応えて麺を生産する西山製麺の営みについて考え、適切に表現する。

◆本時の展開

【子どもの主な活動】

〈問いを生む場〉

▽今まで学習してきた2食麺を比較

「太さがちがう?」「材料かな」「あまり変わらないよ」

▼課題「(わずかな違いしかないのに)西山製麺は、どうしてたくさんの種類の麺を作っているのかな?」

〈考えをつなぐ場〉

▽西山製麺

・たくさん売れる

・種類の違いを楽しんでほしい

・自分の好きな麺を選んで食べてほしい

・より多くの人に食べてほしい

・お客さんのために、よりおいしい麺を作りたい

・西山ラーメンを広めたい

▽お客さん

・たくさんあると飽きない

・好みに合った麺を食べたい

・その日の気分で選びたい

・スープや料理に合わせて

・食べやすさで選べる

・材料が違うから色々な味を楽しめる

・太さが違うと食感がちがう

・家で簡単に作りたい人にも

・食べる人数によって選べる

・お店の味を家でも

▼まとめ「多くの人に西山製麺の麺を食べてもらうために、お客さんの願いに応えて麺を作っているんだ」

〈吟味・検証・再考する場〉

▼課題「たくさん売れている2食麺だけ作ればいいのでは?」

▽麺の種類別生産量のグラフから多品種少量生産の意味を考える

「一番人気の商品をたくさん作っているよ」「いろいろな種類の麺を作ることで、より多くの願いに応えることができるよ」「それが、西山製麺の売り上げにもつながると思うよ」

▽西山克彦常務取締役「その時代のお客さん好みやこだわりに合わせて、もっとおいしく、もっと喜んでもらえる麺を目指して作り続けることが西山製麺のこだわりです」

▼まとめ「一人ひとりの願いを大切にし、より多くの人にこだわりの麺を届けるために、たくさんの種類の麺を作っているんだね」

【教師の具体的な手だて】

〈問いを生む場〉

▽実際に手で触り、太さや色などの違いに目を向けられるよう、パッケージを見せず2種類の麺を提示する

▽他にも様々な種類があることに気付けるよう、その他の麺はパッケージごと提示し、情報を整理していく

〈考えをつなぐ場〉

▽消費者ニーズに合わせて麺作りを行っていることに気付くことができるように、消費者ニーズを視点ごとに分類したり生産者と消費者の立場に分けたりして板書する

▽具体的な努力や苦労に気付けるように「たくさんの種類の麺は簡単に作れるのかな」と問い返す

〈吟味・検証・再考する場〉

▽種類別の生産量を提示し、生産量が少ない商品も作り続ける意味を問い直す。

▽多品種少量生産のこだわりについて検証できるように、西山常務取締役の言葉を提示する

▼評価

 西山製麺が様々な種類の麺を生産する理由について、生産者や消費者の立場から考えたことをノートに記述しているかを見取る

(札幌市 2022-11-17付)

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