全小社研北海道大会公開授業③宮の森小 地域の防火体制など考える 火事から生活守る消防士題材に
(札幌市 2022-11-18付)

第3学年授業研究会B(1)

宮の森小学校3年3組(町村康武教諭)

火事からくらしを守る~人々の命を守る消防士

◆第3学年で目指す子どもの姿

▼体験的な活動を通して地域の良さを実感し、社会的事象を創出する人物への憧れや住んでいる地域への愛着を持とうとする子

 第3学年部会で目指す「社会を知り、世界を切り拓く北国の子」とは「体験的な活動を通して地域の良さを実感し、社会的事象を創出する人物への憧れや住んでいる地域への愛着を持とうとする子」である。3年生の社会科では、主に地域の学習を進めていく。

 「地域」をよく学べば、他地域の特色もつかめるようになっていく。さらに、地域に対する誇りや愛着を持つことができれば、他地域、他国へと学習が広がっていく際にも、その地域の「良さ」を知ろうという芽が育まれるのである。

 そこで、本単元では、火事から札幌市の人々の命を守る消防士が、通報から5分以内に現場に到着することにこだわるとともに、丁寧な情報収集を大切にしている営みから、より早く確実な消火にこだわる意味を追究し、地域における消防の在り方を考え、地域に憧れや誇りを持とうとする子を目指していく。

◆本単元の目標

 消防署などの関係機関は、地域の安全を守るために、相互に連携して緊急時に対処する体制を取っていることや、関係機関が地域の人々と協力して火災の防止に努めていることを理解できるようにする。

 また、見学、調査したり地図などの資料で調べたりして、まとめ、施設・設備などの配置、緊急時への備えや対応に着目して、関係機関や地域の人々の諸活動を捉え、相互の関連や従事する人々の働きを考え、表現することを通して、地域の安全を守る働きについて、主体的に問題解決しようとしたり、より良い社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとしたりする態度を養う。

◆本時のねらい

 宮の森出張所の平田雅史所長が火事現場でもう一度情報を集める意味を考える活動を通して「火を確実に消す」ことで「人命の救助」を実現するために、無駄のない準備をすることでより早く確実な消火につながっていることを捉え、適切に表現している。

◆本時の展開

【子どもの主な活動】

〈問いを生む場〉

▽火事の現場に到着したら、何をするか予想する

・宮の森小で出火

・通報の情報確認。火事か救助か

・場所、火事の状況やけが人の有無

・火事現場でどこが燃えているのかけが人の有無、火事現場の状況、現場の情報を集める(1~2分)

▼課題「(すぐ放水した方がいいと思ったのに)平田所長はどうして同じ情報をもう一度集めるの?」

〈考えをつなぐ場〉

▽確実に火を消す

・火の大きさが変わっていないか確かめる

・理科室に火が移っていたら大変だよ

・火までの最短ルートを確かめる

▽人命を助ける

・1年生は怖がっているかもしれないよ

・子どもや先生の命

・地域の人々、通行人の命・平田所長・消防士の仲間の命

▽直接目と耳で最新の情報を確認

▽平田所長「火が消え、これ以上何も危険がないことが確認できて初めて“消化完了”と言える」

▼課題「情報を得ることが、安全に消火作業をするために必要なことなんだね」

〈吟味・検証・再考する場〉

▼課題「情報を集める平田所長以外の人は何をしているのかな?」

「全員で情報を集めているのかな?」「関係機関に連絡をしているかもしれない」「情報を集めるのは一人でできそうだよ」

▽無駄な時間はつくらず、すぐに放水できるように協力!

▼まとめ「消防士さんが協力して放水の準備をすることで、より早く、確実な消火を実現しているんだね」

【教師の具体的な手だて】

〈問いを生む場〉

▽「現場に到着したら、みんなだったら何をする」と問い、「すぐに放水する」「すぐに消火に向かう」という考えを引き出す

▽現場で集める情報を提示し「消防車内と同じ情報を現場でも集めている」という事実から、問いを生む

〈考えをつなぐ場〉

▽自力解決に向かう前に、火事が起きることで多くの命に危険が及ぶことを想定できるようにするために、学校で火事が起きた場合、どのような被害が起きるのかを確認する

▽火が刻々と大きく拡大し、車内で得た情報から現場が変化していることを子どもが想起できるように「消防車内で聞く情報と現場で聞く情報には違いはあるの」と問う

〈吟味・検証・再考する場〉

▽平田所長のほか、2人の隊員は何をしているのか、カードを使って役割分担を考える活動を通して、消防士が協力して、早い消火活動を実現していることを実感できるようにする

▼評価

 子どもに「どうして平田所長は同じ情報を2度も聞くのかな」と再度問い、消防士が集める情報が消火の早さと確実さを実現し、人命救助につながることをノートに記述しているかを見取る。

(札幌市 2022-11-18付)

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