全小社研北海道大会公開授業⑪宮の森小 販売業の情報活用の「今」 POSシステムの役割に着目
(札幌市 2022-12-16付)

第5学年授業研究会B(1)

札幌市立宮の森小学校5年3組(田島吉晃教諭)

情報を生かす産業~販売業の発展

◆第5学年で目指す子どもの姿

▼日本の産業を発展させている人々の営みに思いをはせ、産業構造の今を知ることで、未来に希望を持ちながら追究する子

 第5学年の社会科学習では、国民生活を豊かにしている日本の産業について学んでいく。

 どの産業学習でも、人々の工夫や努力、そして抱える課題を取り扱う。「資源枯渇」「後継者減少」「少子高齢化」「環境問題」「産業構造変化への対応」など、具体的な解決策を見いだすのが難しい問題ばかりである。

 本部会では、発想の転換によってそれらの問題解決を図り、産業の持続可能な発展や地域貢献を成し遂げている人の営みを取り上げ、子どもたちが将来に希望を持ちながら追究できる授業を目指している。

 本単元では、高度情報化社会になり、産業構造に変化が起こった販売業における情報活用の「今」を、子どもたちは追究する。

 本実践で取り上げるセブンイレブン・ジャパン(以下、セブンイレブン)は、創業以来様々な情報通信技術を駆使し、顧客の利便性を高めてきた。

 その一方で発注の最終的な判断は店長に任せている。情報化が進んだ現代においても、情報を活用している人々の営みを重視するセブンイレブンについての学習を通して、持続可能な産業の発展や、国民生活の向上の視点から、未来に希望を持つ子どもの姿を目指す。

◆本単元の目標

 わが国の産業と情報との関わりについて、情報の種類、情報の活用の仕方などに着目して、聞き取り調査をしたり映像や新聞、インターネットなどの各種資料で調べたりして、まとめることで産業における情報活用の現状を捉え、情報を生かして発展する産業が国民生活に果たす役割を多角的に考え、表現することを通して、大量の情報や情報通信技術の活用は、様々な産業を発展させ、国民生活を向上させていることを理解できるようにする。

 また、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度や、情報化の進展に伴う産業の発展や国民生活の向上について考えようとする態度を養う。

◆本時のねらい

 POSシステムを販売業に活用したセブン&アイ・ホールディングス名誉顧問の鈴木敏文氏が設定発注どおりではない発注を店長に任せている事実から問いを生み出し、鈴木さんの営みの理由を考えることを通して、店長の経験を生かすこととPOSシステムを生かすことが地域の願いに応え続け、便利な暮らしにつながることに気付き、適切に表現している。

◆本時の展開

【子どもの主な活動】

〈問いを生む場〉

▽文房具などは、設定発注通り、すぐに決定する事実の提示

▽おにぎりは、設定発注プラス店長判断がある事実の提示に表現している

▼課題「(設定発注で早く・ベストな発注ができるのに)鈴木さんは、どうしておにぎりの発注を店長に任せているの?」

〈考えをつなぐ場〉

▽おにぎりは…店長の「経験」を生かす

・土曜日でお出かけが多いから

・運動会もあったから

・天気の日は売れるから

・地域の行事や願いに応えたい

・地域に根差すお店

▽文房具などは…POSシステムを生かす

・データをもとにしているから普段は安心

・全部だと大変だから

・仕事も早くなる

・効率的

・発注の手間を他の時間に使える

▼まとめ「店長の経験とPOSシステムを生かすことで、地域の願いに応える判断になっているんだね」

〈吟味・検証・再考する場〉

▼課題「鈴木さんはどうして、POSシステムの特許を取らなかったの?」

▽「他のコンビニやスーパーでもPOSを生かしてサービスをしてほしい」

▽「POS活用の店が増えたら、より地域の願いに応えることになる」

▽「サービスが広がり、私たちの暮らしがより便利に」

▼POSシステムを活用して発注を続けたり、地域の願いに応え続けたりすることで、より地域の願いに応え続けるイコール便利な暮らしになっていくんだね

【教師の具体的な手だて】

〈問いを生む場〉

▽設定発注でベストな発注をしている事実を提示する

▽晴れの日や土曜日などに、店長の判断で個数を減らしたり増やしたりしている事実を提示することで、問いを生む

〈考えをつなぐ場〉

▽店長の経験を生かす判断から取り上げ、店長の判断を追究していく

▽POSの良さにも目を向けさせるために「全ての商品を店長判断にしたらいいのでは?」と問う

▽双方のバランスによって、地域の願いに応える判断になっていることに気付かせていく

〈吟味・検証・再考する場〉

▽鈴木さんがPOSシステムの特許を取らなかった事実を提示することで、他のコンビニやお店でもPOSシステムを使うことが可能になることに着目し、サービスが広がり情報の活用がより地域の願いに応え続け、私たちの便利な生活につながっているという鈴木さんの営みの価値に気付かせていく

▼評価

▽最終的な発注を店長に任せる意図を国民生活の向上と関連付けながら考え、ノートに記述しているかを見取る

(札幌市 2022-12-16付)

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