文科省事業指定校の鷹栖高 自分の気持ちを知って ストレス対処で臨床心理士
(国 2023-02-13付)

鷹栖高・ストレス対処グループディスカッション
グループディスカッションの様子

 【旭川発】文部科学省委託事業の高校生ステップアップ・プログラム実施校の鷹栖高校(大橋一夫校長)は1日、同校で「ストレス対処能力の育成 グループディスカッション」を開いた。こどものこころの相談室がじゅまるの臨床心理士・寺崎真一郎氏を講師に招き、ストレスへの対処法について学習。1・2年生約60人はグループワークを通して、感情の伝え方・感じ方が人それぞれであることなどを学んだ。

 プログラムは道立高校におけるいじめや不登校、中途退学の未然防止、自殺の予防を図るためのもの。

 事業の集大成となる今回は、自殺予防教育プログラムで認定された「援助希求的態度の育成」「早期の問題認識」「ストレス対処能力の育成」を目標に、コミュニケーション能力や望ましい人間関係を構築する能力の向上を図ることを目的とした。1・2年生約60人が参加した。

 寺崎氏は、勉強しようとしているところで親に「勉強しなさい」と言われ、しようと思っていたことを伝えるが「うそでしょう」と言われたときの気持ちを想像してワークシートに書き出すよう求めた。

 続いて「家に1人でいるとき」「友だちといるとき」などの場面に応じ「イライラした」「ほっとした」など様々な気持ちを表す言葉を示し「自分の気持ちに近い言葉を選んで線を引いて」と呼びかけ、感情を言葉にすることでストレスに対処する力の育成をねらった。

 その上で「ネガティブな気持ちは意識しにくいことがある。けれど、大事な気持ちなんだと思うことが大切」と説いた。また「ストレスに対応する第一歩は自分の気持ちを知ること」とし「気持ちを整理しやすくなり、感情もコントロールしやすくなる」と解説した。

 グループワークに移り、部活動の大会で失敗し、翌日誰からも話しかけられなかった場面を例に、気持ちや対処法を話し合った。

 発表では「謝る」「部活を辞める」「失敗を受け入れて見つめ直す」などの意見が出た。

 ストレスについての考え方を変える方法として、物事を見る枠組みを変えて違う視点で捉える「リフレーミング」を紹介。コップに水が半分入っている状態を「半分しか入っていない」ではなく「半分も入っている」と捉える例のほか「せっかち」は「行動的な」、「気が弱い」は「慎重」など、ポジティブに言い換える表現を示した。

 また、絵本作家ヨシタケシンスケ氏の著書『にげてさがして』で、逃げるために足がついていると紹介されていることから「ストレスの原因となるものから離れることも一つの対処法。逃げることも大切」と訴えた。

 このあと、感情表現ゲーム「KINO」を実施。様々な場面で人に話しかける際にどのような表情をするか、笑顔や泣き顔、真顔、困った顔、怒った顔の中から選択し、グループ内で共有したほか、その表情を選んだ理由などについて協議した。生徒たちは自分の答えが人と違うことから、感情の伝え方・感じ方は人それぞれであることを学んだ。

 生徒は「逃げても良いんだと思えた」「ストレスをため込む前に相談しようと思った」「大人を信用して相談しても良いんだと思った」などと感想を述べた。

(国 2023-02-13付)

その他の記事( 国)

文科省 関係省令改正へ 2割以上を実務家教員に 教員養成学部の教員数

 文部科学省は、教員養成学部における必要最低教員数の2割以上を教員としての実務経験を有する実務家教員とするよう関係省令を改正する。昨年12月の中教審答申「令和の日本型学校教育の養成・採用・研...

(2023-03-06)  全て読む

文科省 企業家教育を全国展開 7大学でプログラム開発 省庁横断・産官学連携で推進

 文部科学省は新年度、アントレプレナーシップ(起業家精神)教育の対象を小中高生へと拡大する「EDGE―PRIME Initiative」を開始する。北海道を含む全国7地域の大学で教育プログラ...

(2023-03-06)  全て読む

兼職兼業の手続きを整理 地域クラブ指導で手引 部活動改革へ3省庁

 文部科学省、スポーツ庁、文化庁は「公立学校の教師等が地域クラブ活動に従事する場合の兼職兼業について」を公表した。地域クラブ活動で教師が指導するために必要な手続きや留意事項、具体例を整理した...

(2023-02-16)  全て読む

文科相 不登校対策の方向性 多層的学び場を確保 全不登校児童生徒へ支援・対応

 永岡桂子文部科学大臣は、14日の不登校に関する調査研究協力者会議で「全ての不登校児童生徒の学びの場の確保」など4点を柱とする不登校対策の方向性を示した。不登校特例校、教育支援センター、スペ...

(2023-02-16)  全て読む

8年度から「情報」追加 高卒認定試験に文科省 問題例公表など周知・準備へ

 文部科学省が設置する生涯学習分科会は13日の会議で、8年度から高校卒業程度認定試験科目に「情報」を追加する方針を示した。新学習指導要領での必履修科目であり、7年度大学入学共通テストの出題教...

(2023-02-15)  全て読む

5年3月新規高卒者〈12月末現在〉 就職内定86・4% 道労働局 道内求人3・41倍

 道労働局は、今春卒業を予定している道内新規高校卒業者の職業紹介状況(昨年12月末現在)をまとめた。就職内定率は、前年同月を1・0ポイント下回る86・4%。道内求人倍率は0・59ポイント上回...

(2023-02-13)  全て読む

好事例創出へモデル事業 教員のメンタルヘルス対策 病気休職の原因分析等 文科省

 文部科学省は来年度、教員のメンタルヘルス対策に関する調査研究事業の新規着手を計画している。委託自治体において精神疾患による病気休職の原因や対策のモデル事業を実施。セルフストレスチェックの促...

(2023-02-08)  全て読む

文科省 GIGA特別講座第5弾 3月14日配信決定 量子力学の実験現場から

 文部科学省は、GIGAスクール特別講座の第5弾「量子力学100年の謎と量子コンピュータへの挑戦!」を3月14日午後3時15分から実施する。  分子科学研究所の大森賢治教授が量子力学を解説...

(2023-02-07)  全て読む

いじめ重大事態の対応改善へ 国が情報集約、助言体制強化 全国の事案、政策立案に活用

いじめ重大事態対応の5年度方向性  国は来年度、全国の教育委員会からいじめ重大事態の情報を集約し、対応の改善を図る新たな制度の枠組みを検討している。文部科学省とこども家庭庁が情報を共有して適宜状況を把握するとともに、対応に苦...

(2023-02-06)  全て読む

不登校の早期発見・支援へ3対策 端末活用など 年度内に 永岡文科相が表明

 永岡桂子文部科学大臣は1月31日の記者会見で、端末を活用した早期発見・支援など3本を柱とする不登校対策を本年度中にまとめる考えを示した。小・中学校における3年度の不登校児童生徒数は約24万...

(2023-02-02)  全て読む