８年度から「情報」追加　高卒認定試験に文科省　問題例公表など周知・準備へ

（国 2023-02-15付）

　文部科学省が設置する生涯学習分科会は１３日の会議で、８年度から高校卒業程度認定試験科目に「情報」を追加する方針を示した。新学習指導要領での必履修科目であり、７年度大学入学共通テストの出題教科で「情報Ｉ」が新設されることを踏まえた対応。今後パブリックコメントを実施した上でサンプル問題の公表など周知や準備を行う。

　高卒認定試験は高校を卒業していないなどの理由で大学等を受験できない人を対象に高校卒業者と同等以上の学力を認定する試験。合格によって大学・短大・専門学校の受験資格が得られ就職や資格試験の受験に活用できる。

　文科省が昨年１１月に都道府県教育委員会に対して実施したアンケート調査によると、高卒認定試験の試験科目における「情報」を「実施した方がよい」「どちらかというと実施した方がよい」と回答した教育委員会の割合は６５％。

　理由（複数回答）は「高校での必履修科目であることを考慮すると適当」が４３％、「情報化が進展する社会の中で、高校卒業程度の学力として必要」が３６％、「就職等でも一層活用され、高卒認定試験の社会的通用性が高まる」が１３％だった。

　「どちらかというと実施しない方がよい」「実施しない方がよい」との回答は２５％。理由として「高卒認定試験の出願者の半数が２０歳以上であり多様な世代の受験生がいることを考慮する必要がある」「科目の増加は受験生の負担になる」「技術的要素が一定程度含まれる科目は高卒認定試験になじまない」などがあった。

　高校、大学、企業等の関係団体のヒアリング調査では「社会全体のデジタル化が進む中、情報活用能力は国民として身に付けるべき素養として必要」「中小企業はＩＴ人材を求めているのでプラスになる」など肯定的な意見が寄せられた。一方で、学校現場における「情報」の指導体制が未整備であることへの懸念、ＩＣＴ環境の格差是正の必要性も指摘されている。

(国 2023-02-15付)