札幌市立高特事務職員会研究大会研究発表概要⑱ 札幌みなみの杜高支・羽山氏ら6氏 学校間で協力し合う環境を(札幌市 2023-03-07付)
研究発表Ⅲ
▼研究テーマ=事務職員の業務量軽減をめざして~相互支援の課題と可能性
▼発表者=市立札幌みなみの杜高等支援学校事務長・羽山慶一、市立札幌大通高校事務長・武田考介、市立札幌豊明高等支援学校・小栗有貴、市立札幌開成中等教育学校・清水美優、市立札幌啓北商業高校・船山悠貴、市立札幌豊成支援学校・秋山岬
【取組後の検証と課題】
▼業務経験者の派遣
就学奨励費の支弁区分算定の支援人数を3人とし、1人1学年を担当した。3人のうち、就学奨励費の経験者が1人いたことで、円滑に業務に取りかかることができた。
就学奨励費のような特別支援学校特有の業務では、最低1人は経験がある事務職員が支援した方がより短時間で業務を完了できるとの意見が上がった。要請校としても、他校からの支援で経験者に業務を確認してもらうことで、誤りの指摘や業務の効率化につながった。
一方で、支援者が初めて行う業務で、調べて相談しながら進めることで知識と経験が得られ、学べる機会となり、良い経験だったという感想もあった。支援する人員を狭めないためにも、経験者に限らず支援が可能な職員を派遣してもらう形で今後も相互支援を継続していきたい。
▼イントラカードの活用法
要請校のイントラPCに自身のイントラカードを差し込んだところ、通常どおり自校のファイルサーバー、財務会計システム、アウトルックの使用が可能であることが判明した。支援校にいながらも自校の業務を行えることは大きな発見だった。
反対に、支援校のイントラカードを借り、自校で使用できれば、要請校へ訪問する負担がなくなり、より支援の幅が広がると考える。ただし、個人情報等の問題もあるので、今後イントラカードを活用した支援方法の検討が必要となる。
▼相互支援専用フォルダー
今後の相互支援で派遣をしない支援が増えると、支援校と要請校間で必要な資料の共有が必須となる。
イントラメールや庁内メールでの資料送付も可能だが、共有のファイルサーバー内に相互支援で使用するデータ保管用のフォルダーがあると双方の負担軽減につながると考える。
約1ヵ月の支援(研究)だったが、支援校および要請校共に一定の効果が見られた。特に要請校においては、これまで時間的な余裕がなく手を付けられずにいた過去の業務(令和元年度・2年度の備品データ入力)について完了できた。こちらの業務は令和2年度の相互支援開始年度から延べ5回の支援を受けて完了したことになる。
豊明、みなみの杜では膨大な時間外勤務実績があったが、時間外勤務は全ての事務職員が等しく行うことができる訳ではないため、業務の基盤に据えることはできない。みなみの杜に限らず全ての学校に共通するが、業務は勤務時間内での完了が理想であり、その理想に向けて各人が努力する必要がある。
また、高校・特別支援学校の事務室は組織であることから、事務室内で業務整理を適正に行うことで理想に近づくことができる。しかしながら、業務整理を行ってもそれがかなわない事務室があるのも事実である。その解消や軽減に向けて相互支援を活用することは大変有効である。半面、相互支援を受ける場合、必ず発生するのが支援する側の負担である。自校の労働力を割いての支援であることから、支援要請があった場合、各事務長は自校の業務状況を分析し、可能な範囲での支援を申し出る、無理な支援は行わないという判断も重要になる。
【おわりに】
本制度の活用は、要請校・支援校の考えが一致して行われることが大前提である。現在は新型コロナウイルス感染症対策による制限もあり、学校間の交流に支障が出ているが、高校・特別支援学校が可能な範囲で情報共有を行い、問題点を共有していくことで問題解決に向けた取組を行う、その方法の一つとして相互支援があると考える。現時点での相互支援の実績は、豊明高等支援、みなみの杜高等支援にとどまるが、感染症のまん延や予期せぬ事態による人員の欠員は全ての学校に起こり得ることであり、その場合、事務室の労働力低下が予想される。そういう場合に緊急的に相互支援を活用するなど、互いの学校が協力して助け合うことができれば、本制度の有効性が今以上に高まると考える。
(連載終わり)
(札幌市 2023-03-07付)
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