札幌法務局　４年人権侵犯事件　いじめ２５件　５年ぶり増加　体罰、虐待増　相談窓口等活用を

（国 2023-04-24付）

学校のいじめに関する新規救済手続き案件（クリックすると拡大表示されます）

　札幌法務局は４年における道内の人権侵犯事件の状況をまとめた。学校におけるいじめに関する事件は前年比４・１倍の２５件、教育職員関係者による事件は２・７倍の３８件でいずれも５年ぶりに増加。体罰による案件は６件で８年ぶりに増加した。

　法務省の人権擁護機関は人権侵犯事件調査処理規程に基づき人権侵犯を受けた人の申告などから人権侵害による被害の救済に努めている。

　道内の人権侵犯に対する新規救済手続き開始件数は前年比２４・７％増の３３３件。処理件数は１９・７％増の３１０件となった。プライバシーに関する事件は７３件と全体の２１・９％で、このうちインターネットによるものが９割を占める。

　学校のいじめに関する新規救済手続き開始件数は２５件、前年の受理案件を含め２８件。内訳は法律上の助言や関係行政機関・団体などを紹介する「援助」が２３件、「打ち切り」が１件、「啓発」が１件、「未済」が３件。実行的な対応ができる者に必要な措置の執行を求める「要請」はゼロだった。

　救済措置を講じた案件では「SNS上に写真を無断掲載される」などのいじめを受けているにもかかわらず、学校が適切な対応をしてくれないとの保護者相談を受け、高校にいじめ防止対策推進法に基づく学校の責務について理解を深める「啓発」を行った事例があった。

　教育職員関係の新規救済手続き開始案件は１４件から２５件に増加。体罰は平成２６年の１３０件から減少が続いていたが、４年は６件と増加に転じた。処理件数は「援助」２件のみ。

　親の子どもに対する暴行・虐待は７件増の１１件とこちらも増加している。

　札幌法務局は、昨今のいじめ事案はSNS上などで行われ一層見えにくくなっていること、ささいなきっかけから深刻ないじめに進展する事例も多いことから依然として憂慮すべき状況にあると指摘している。

(国 2023-04-24付)