“地域を創る”解決創造学習を推進　生徒が課題解決策提案　幕別糠内中　全学年総合学習で

（学校 2023-05-29付）

十勝の食と観光をテーマに事業と雇用を生み出す（株）そら取締役の林佑太さんが、十勝の魅力や地域創生に向けた取組を説いた

　【帯広発】幕別町立糠内中学校（宗形真恵校長）は本年度から３ヵ年計画で、全学年の総合的な学習の時間「“地域を創る”解決創造学習」を進めている。糠内地区の人材や資源の好循環を生み出す長期的視野に立ち、生徒たちが地域課題の解決策を提案するもの。１９日には、中札内村役場や村内のグランピング施設を訪れ、地域創生に向けた取組について説明を受けた。

　「“地域を創る”解決創造学習」は、異学年でチームを構成して活動し、多角的視野から判断する力や、チームで新たなものを創り出す楽しさ、糠内地区への郷土愛を育むことを目的としている。多様な意見を交える中で合意形成を得て、課題を解決したり、想像したりする力を身に付けていく。

　３ヵ年計画で進められ、初年度から順に「地場産業・子育て」「観光・高齢者」「新規事業（土地活用）・移住者」と、観点を移行しながら推進。糠内地区の住民が居心地良く多様性を認め合うコミュニティーの形成を考え、持続可能な社会を目指しＳＤＧｓの視点も取り入れる。

　将来的には校区内の小学校２校と共に構成する糠内学園で、義務教育９年間の系統的な取組としていくことも視野に入れている。

　本年度は観点「地場産業・子育て」のもと、生徒たちは３チームに分かれて調べ学習や課題解決に向けた考案、発表準備を進める。

◆中札内村を訪問　地域創生考える

　調べ学習の一環として、１９日には中札内村を訪問。村役場では地場産業および子育てに関する事業の説明を受け、施設を見学した。

　村内のグランピング施設・フェーリエンドルフでは、十勝の食と観光をテーマに事業と雇用を生み出す㈱そら取締役の林佑太さんが、十勝の魅力や地域創生に向けた取組を説いた。

　林さんは、フェーリエンドルフの注目を集めるために、段階的にリニューアルすることで多様な話題を生み出したことを説明。グランピング施設として全国９位、全道１位を獲得するなど実績を積み重ねている。

　「自社だけではなく、地域にも還元したい」という思いから、食品加工・製造・販売などの事業に伴い、ふるさと納税型クラウドファンディングを始動。中札内村を全国に広める活動を推進していることを示した。

　林さんは「十勝は“食・気候・景色・人”の四刀流が備わっている」とし「住んでいると当たり前に思えても、他所からすると貴重で魅力的。誇りを持ってほしい」と伝えた。

　生徒から「起業する時に大変だったこと」を問われると「自分たちの存在を知ってもらうことが大変だった」と起業当時を振り返った。

　「効果的な発信方法」に関しては「広報や営業をする人材・役割を充実させることが大切」と話した。

　このあと、生徒たちは施設内を見学。宗形校長は「これから地域創生に向けて活動することを想像しながら質問している様子が見られた」と、生徒たちの活動を見守った。

(学校 2023-05-29付)