函館西高ウェルビーイング共創PJ 探究学習内容を再構成 学校周辺実習など地域と接点(学校 2023-05-31付)
気になる建物を巡る生徒たち
【函館発】函館西高校(古御堂徹校長)は本年度、総合的な探究の時間に取り組む探究学習を「Well―being共創プロジェクト」と定め、内容を再構成した。生徒が活動のヒントを得られるよう、外部講師を招いた探究懇話会を月例開催しているほか、市の職員や公立はこだて未来大学の学生の協力のもと、1年生が学校周辺の魅力を探るフィールドワーク「まちのヒカリ」を実施。生徒が探究学習の意図を明確化できるよう、様々な場面で地域社会との接点を増やしている。
プロジェクトは「探究は自分の人生をより良い方向へ導くもの」との意味を込めて設定。「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」の3つの観点で、実行力や計画調整力、人の心や社会を動かす発信力など、卒業までに身に付ける5つの力を学習の評価基準としている。
18、25日には、公立はこだて未来大の学生や市職員の同行のもと、日常で見落とされがちなまちの魅力を“ヒカリ”と捉えたフィールドワーク「まちのヒカリ」を実施。1年生240人がグループで6つの地域を散策し、気になる建物や風景を写真に収めながら地域の新たな魅力を探った。
同校は函館山やハリストス正教会、金森赤レンガ倉庫など、函館の観光スポットが多くある西部地区に位置する。あるグループは緑色の点字ブロックに着目し、歴史的な景観を損なわないよう配慮している点を確認。大学生や市職員から学習内容を深化させるためのアドバイスを受けながら、様々な角度から得た情報をメモに取った。
西部地区の再整備事業に携わる市都市建設部まちづくり景観課の職員は「活動によって若者の考えを知ることができ、互いの意見をもとに新たな発想が生み出せる」と話した。
1年生は今後、集めた情報を整理し、撮影した写真と共にパネルを製作。12月には展示会の開催を予定している。
◆探究懇話会開く 活動のヒントに
探究活動のきっかけづくりとして、18日には探究懇話会を実施した。同校の教員がイベントを通じてつながりを得た愛知県の名城大学2年生、井上創太さんを講師に迎えた。生徒は教育やまちづくりなど様々な分野でイベントを開催する井上さんとの対話を通して、活動に向けた新たな気付きを得た。
これまで年1回としていた懇話会は、本年度から月例開催に拡充。全学年の希望者を対象に実施している。
2回目の講師を務めた井上さんは、小中学生が自分たちのまちをつくるイベント「子どものまち」に小学5年生の時に参加。現在は複数の都市でイベントの企画運営に携わっている。コロナ禍を過ごした高校時代には、オンラインを活用した「高校生キャンプ」を開催。他者との接点を増やしながら様々な分野でユニークな活動を展開している。
函館市とつながりを持ったのは高校生の時。2年前に函館コミュニティプラザGスクエアで開かれた高校生の地元自慢対決イベントで、愛知県代表として講演した。移動する飛行機代を確保するため、クラウドファンディングを活用した。
井上さんは、生徒の質問に応じながら対話形式で自身と函館のつながりを説明。生徒の「クラウドファンディングをしようと思った意欲がすごい」との投げかけに対し「声をかけられたからにはやってみようと思った。誘われたからには行ってみたい」と笑顔で回答。「活動で関わった人々や応援してくれる大人とのつながりを大切にしている」と話した。
探究活動を行う生徒たちの相談にも対応。生徒が今後実現したい活動内容に耳を傾け、自身の経験をもとにアドバイスした。
こうした活動について古御堂校長は「生徒の心に火をつけるには、モデルになる大人の存在が大きい」と話す。「いつも通っている学校周辺の良さが近過ぎて見えないこともある。あらゆる場面で人とつながり、活動の幅が広がれば」と期待している。
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井上さんとの対話で新たな気付きを得た
(学校 2023-05-31付)
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