小中一貫 教員配置基準見直しを 道都市教委連等6年度文教要望・上(関係団体 2023-06-15付)
道都市教育委員会連絡協議会(檜田英樹会長)と道都市教育長会(同)が8日付で道教委に提出した、6年度の文教施策に関する要望書の概要はつぎのとおり(12日付1面既報)。
【学校における働き方改革の推進について】―重点
学校における働き方改革を推進するため、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽教職員(栄養教諭等を含む)基礎定数および加配定数の改善を図ること
▽スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材を積極的に活用することや、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの配置を拡充すること
▽統合型校務支援システム導入・運用に係る財政措置を講ずること
▽学校給食費の徴収・管理に係る教員の業務負担を軽減するため、学校給食費の公会計化制度への移行を進める市へ財政措置を講ずるよう国に要望すること
▽学校事務の効率化を図り、働き方改革を推進するため、資質・能力を備えた人材が事務主幹を希望しやすくなるよう、人事異動や事務主幹の制度やその運用について検討するなど、事務主幹の配置を推進すること
▽各種調査・報告の削減や簡素化、会議や研修の実施方法の見直しなど、教員の負担軽減により一層努めること
【GIGAスクール構想の推進に係る支援について】―重点
子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を目指すGIGAスクール構想を、道内各市においてもさらに推進するため、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽国のクラウド・バイ・デフォルトの原則のもと、道内の自治体においてもクラウドサービスの利用を開始しているが、各自治体の情報セキュリティ対策は十分とは言えない状況にあることから、セキュリティの強靱化に係る経費について、地財措置を講ずるなど、財政的な支援について国に要望すること
▽端末を効果的に活用する上で必要となるソフトウエアや周辺機器、指導者用端末や予備機の購入に係る費用、また、機器の維持更新に係る費用などについても、国庫補助の対象に加えるよう国に要望すること
▽1人1台端末の活用による学習機会の保障と、多様な子ども一人ひとりの個別最適な学びを実現する観点から、教育目的の著作物利用に係る許諾不要・補償金無償の範囲を拡大できるよう、国において補償金を負担するよう国に要望すること。また、教育委員会等の組織が主体となって教材や授業動画を作成・配付する場合や教員同士の研修等においても、本制度の対象となるよう国に要望すること
▽1人1台端末の導入による授業改善を進めるに当たり、デジタル教科書の活用は非常に効果的であることから、紙の教科書と同様に、義務教育段階の全学年・全教科において無償措置の対象とするよう国に要望すること。また、指導者用デジタル教科書についても、財政的支援を講じること
▽家庭でのオンライン学習の際に発生する通信費や、校外通信ネットワークの増強に係る費用についても、国庫補助の対象に加えるよう国に要望すること
▽ICT支援員やGIGAスクールサポーター等の活用について、地方においては人材の確保が困難な状況にあるため、道が率先して、各市へ人材情報の提供等を行うとともに、配置に係る費用を国庫補助の対象とするよう国に要望すること
▽1人1台環境における教員のICT活用指導力の向上に向けて、学校のニーズを踏まえた研修プログラム等を引き続き実施すること
▽道立高校における1人1台端末について、国庫補助金や道補助金によって整備すること
【公立学校施設の整備促進について】
▼学校施設環境改善交付金の確保―重点
学校施設の耐震化など、防災・減災、国土強靱化のための5ヵ年加速化対策の対象となる事業については、国土強靱化基本計画に基づき必要な予算が確保される一方、対象とならない事業に対する財源は、地方が必要とする事業量に対し、大幅に不足している状況にある。
各市が計画的に施設整備に取り組むことができるよう、計画事業量に見合う財源を確保した上で、計画している時期に円滑に施工できるよう、事業採択時期を早期化するほか、当初予算や補正予算による速やかな交付措置を国に要望されたい。
▼新増改築事業に係る国庫補助の改善等―重点
新増改築事業の実施に当たり、つぎのことについて国に要望されたい。
▽文部科学省が設定した建築単価は、近年増額されているものの、依然として実施単価との乖離があり、補助事業分の実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善すること
▽外構工事については、門柱や囲障を除き補助金の対象外となっているが、新増改築においては既設位置から移動する場合が多いことから、補助事業の対象を拡大すること
▽積雪寒冷地は断熱性能の向上や暖房設備の設置が必須であるためコストが嵩んでしまうが、加算措置はあるものの現状に即しておらず不十分であることや、地方都市は工事費が割高になる傾向にあることから、工事費の地域間格差などにも配慮すること
▽改築事業の増加に伴う地方自治体の負担の軽減および老朽施設の改築促進のため、改築事業に係る交付金・補助金の充実を図ること
▽小中連携・一貫教育に取り組むに当たり、小学校と中学校の校舎や体育館を一体化するために増改築や大規模改造を行う場合においても、小学校同士または中学校同士の統合に伴う新増築と同等の補助率(2分の1)とすること
▽公立学校施設整備費負担金事業の認定について、対応が遅れることによって、必要な工期の確保や入札準備、議会承認等に支障をきたすおそれがあることから、事業認定を迅速に行うこと
▽労働基準法の改正に伴い、6年4月から建設工事において週休2日が義務化されることから、学校施設の新築・改築においても工期の延長や工事費の増加等が見込まれている。公立学校施設整備費負担金事業の国庫債務負担行為に係る事業の年数については、現在2ヵ年が限度となっているが、週休2日工事の導入に伴い、学校施設の新築・改築工事の2ヵ年での完了が困難となることが見込まれるため、国庫債務負担行為に係る事業年数を延長すること
▼長寿命化改良事業における補助要件の緩和―重点
建築後20年以上が経過した施設の防水や暖房設備、給排水設備などの維持修繕といった部分的な改修についても、長寿命化改良事業の補助対象に含めるとともに、補助対象事業費の下限額3000万円・上限額1億円の撤廃、もしくは金額の見直しを国に要望されたい。
▼学校体育施設に係る整備の充実
学校プール、柔剣道場など学校体育施設整備の充実を図るため、実施事業量に十分対応できる交付金を確保されるよう、引き続き国に要望されたい。
特に、柔剣道場整備のための交付金については、嵩上げを復活するとともに、学校プール整備のための交付金については、改修事業も対象とするよう特段の御配慮を願いたい。
また、事業の実施に当たり、文部科学省が設定した建築単価が実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善されるよう、引き続き国に要望されたい。
▼学校グラウンド等の整備に係る交付金制度の充実及び交付対象事業の拡大
学校グラウンド整備に係る交付金については、超過負担が発生する場合が多数あるため、補助限度額の範囲を拡大するとともに、小学校の遊具整備の単独での新設・更新やグラウンドの暗渠排水設備の更新も対象とするなど、実情に即したものに改善されるよう、引き続き国に要望されたい。
また、この交付金は時限措置とせず、恒常的な制度とするよう、引き続き国に要望されたい。
▼地震等防災対策に係る対象の拡大
小・中学校は、災害時の避難所として使用され、防災対策上、重要な拠点となっていることから、つぎのことについて国に要望されたい。
▽地震防災対策特別措置法の補助率嵩上げを時限的な措置とせず、恒常的な制度にするとともに、地方債元利償還金について、地方交付税算定の際の基準財政需要額に算入できるよう、引き続き同様の財政措置を実施すること
▽防災機能強化事業について、補助率を嵩上げするなど、財政措置の拡充とともに、事業費下限額の撤廃を図ること
▽窓ガラス等の破損防止対策や家具等の転倒落下防止対策等の非構造部材の耐震化について、工事を伴わない場合の対策に係る物品購入費についても補助対象とすること
▽学校施設環境改善交付金の防災機能強化において、自家発電設備の整備の上限額の撤廃および補助率の嵩上げを図ること
▼バリアフリー整備に係る配分基礎額の改善
公立学校施設のバリアフリー整備については、文部科学省において7年度末までの重点整備を目標としているが、大規模改造(障害児対策等)におけるエレベーター整備に係る配分基礎額が実態と大幅に乖離しており、自治体の超過負担が大きいことから、補助率の嵩上げに留まらず、配分基礎額を改善するよう国に要望されたい。
【教職員定数等の充実改善および財政措置の拡充について】
▼少人数学級の拡大とそれに伴う財政措置等の拡充―重点
3年3月の義務標準法の改正によって、小学校の全学年で学級編制の標準を段階的に35人に引き下げることとされた。
北海道においては、現在小学校3・4年生までの少人数学級を6年度までに小学校全学年に拡大するとしているところであるが、中学校においても少人数学級を実施するとともに、よりきめ細かな指導が展開できるよう、小・中学校における30人学級の実施に向けた取組を進めるよう強く要望する。
また、学級数が増加することによる施設や設備、備品等の整備に対して財政措置が図られるよう引き続き国に要望されたい。
▼小・大規模校等における教職員の配置拡充および複式学級の解消
複式学級の解消や、3学級未満の学校への教頭および事務職員の配置、大規模校等における教頭の複数配置が行えるよう、国に対し要望されたい。
▼小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充
文部科学省が示した小学校における英語教育の拡充強化の実施に向け、英語の指導力向上を図るため、外国人を講師とするなど、教員研修会の一層の充実を図られたい。
また、小学校における英語専門教員の配置を講じられたい。
▼中学校における免許外教科担任の解消
一部教科において指導力の低下を来すことのないよう、免許外教科担任の解消に向けて、法改正および中学校設置基準を含めた改善が図られるよう国に要望されたい。
▼中学校の病気休暇等講師に係る報酬予算の適正化
中学校における90日以内の病気休暇に係る代替措置については、現在、時間講師で対応しているが、時間講師の予算不足によって、必要な授業時間に合わせた発令ができず、授業時間数の不足分を学校体制によって代替している状況にある。
休務者に係る代替措置制度は、最低限の教育サービスを提供するための根幹となる制度であり、保護者など外部からの要望も非常に強いことから、中学校における90日以内の病気休暇に係る代替講師について、学校現場の実情に対応した発令ができるよう、十分な予算措置を講じられたい。
▼スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置促進―重点
いじめや不登校など児童生徒の抱える諸問題に対応するため、資格保有者等の専門的知識・経験を有するスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置の拡大が図られるよう、教職員定数と同様に定数化することに加え、全校にスクールカウンセラーを配置するための財源措置の拡充を国に要望されたい。
また、市町村単独で配置しているスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーについて、財政的支援を講じるとともに、道スクールソーシャルワーカー活用事業における市町村への委託費の増額を講じられたい。
▼学校図書館に係る支援措置の拡充
4年度からの学校図書館図書整備等5ヵ年計画において、公立小・中学校における専門的な知識・技能を持った学校司書のさらなる配置拡充に係る地方財政措置がなされたところであるが、今後全ての小・中学校へ司書の配置がなされるよう、義務標準法における定数措置の新設、人材育成および財政支援の拡充をされるよう国に要望されたい。
また、図書館システムの導入および運営に係る経費に対する補助、コンピュータソフトの購入補助など学校図書館環境整備に係る予算措置についても国に要望されたい。
▼ALTに係る地方交付税措置の拡充―重点
JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で招致されたALT(外国語指導助手)だけでなく、JETプログラム以外のALTに対しても同様に地方交付税が措置されるよう、引き続き国に要望されたい。
▼期限付教員の安定的な確保に向けた取組の充実と制度改善
正規教員の病気、出産等に伴う期限付教員の採用に当たっては、安定的に人材を確保することが難しく、自治体によっては教職員定数を満たすことができない場合もある。
今後も、教員免許保有者の掘り起こしなど、人材確保の取組のさらなる充実を図るとともに、臨時免許状に係る授与要件や有効期間の緩和など、広く人材を登用することができるような制度改善について国に要望されたい。
また、休職が長期化し復職が見通せない教職員が多数いる場合においても、すべて期限付教員による対応となっているため、休職代替職員の一部定数内として、正規職員で対応することが可能となるよう国に要望されたい。
▼市町村費負担教職員制度の創設
小規模市においては、市独自に教職員の採用・異動を行うことが困難であることから、道全体の採用・異動に組み込んだ上で、各市がその人件費を負担するような新たな制度を創設されたい。
▼地域枠採用の対象拡大
教員採用候補者選考検査の一般選考「地域枠」採用は、現在、小学校教諭および中学校教諭の一部の教科に限って実施されているが、地域に根差した教育を推進する中核となる教員養成の一層の充実を図るため、対象を中学校教諭の全教科まで拡大されたい。
▼コミュニティ・スクールの推進のための財政措置および加配措置の確保―重点
学校が抱える複雑化・困難化した課題を解決し、子どもたちの生きる力を育むため、コミュニティ・スクールの導入による地域住民や保護者等の参画を得た学校運営が求められている。
国のコミュニティ・スクール導入等促進事業は、補助率が3分の1となっており、北海道においては、事業費の3分の2を各市町村が負担している状況であることに加え、導入の促進に係る教員または学校事務職員の研究指定校加配が十分に措置されていないことから、コミュニティ・スクールを推進するため、北海道においても、相応の財政措置および加配措置を講じられたい。
▼小中一貫教育の推進のための教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化―重点
小中一貫教育の推進に当たり、円滑に実施することができるよう、教職員の配置基準の見直し、教科担任制や相互乗り入れ指導等に係る加配措置ならびにそれに伴う国庫負担に係る措置を講じられたい。
また、兼務発令の基準を明確化するとともに、それに伴う派遣依頼や旅費、公務災害、児童生徒の評価に係る統一した基準の制度整備を図られたい。
▼部活動指導員制度への支援
部活動指導員制度を円滑に運用するに当たっては、人材確保とともに、人件費などの財政措置が必要であるが、現行の中学校における部活動指導員配置促進事業における補助率では、国・都道府県・市町村で各3分の1の割合となっており、学校設置者の負担軽減となっていないという実態がある。
そのため、部活動指導員の人件費に係る地方財政措置や補助事業制度について、国や道からの財政措置の拡充を図られたい。
また、部活動指導員の任用方法については、地方では人材確保が困難であることから、団体への委託など柔軟な対応ができる仕組みづくりを求められたい。
(関係団体 2023-06-15付)
その他の記事( 関係団体)
上川管内市町村校長会の5年度役員 旭川小学校会長に小野氏 永山南 中学校は工藤氏 中央中
【旭川発】上川管内23市町村小・中学校長会の5年度役員が決まった。 本年度の役員はつぎのとおり。=敬称略= ▼旭川市小学校 ▽会長=小野敦司(永山南小) ▽副会長=玉井一行(高台...(2023-06-19) 全て読む
上川管内市町村教頭会5年度役員 旭川 会長に佐藤氏 神居中
【旭川発】上川管内23市町村小・中学校教頭会の5年度役員が決まった。 本年度の役員はつぎのとおり。=敬称略= ▼旭川市 ▽会長=佐藤孝俊(神居中) ▽副会長=加藤晴久(北光小)、...(2023-06-19) 全て読む
全道大会へ十勝国際理解教育研究会 世界に関わる行動力を 11月1日開催に向け実行委
【帯広発】十勝地区国際理解教育研究会(野中利晃会長)は8日、帯広市立大空学園義務教育学校で第44回道国際理解教育研究大会十勝・帯広大会等に向けた第3回実行委員会および定期総会を開いた。大会...(2023-06-16) 全て読む
部活動地域移行へ国の支援拡大を 道都市教委連等6年度文教要望・下
◆教員加配措置、支援員増員を 【特別支援教育の振興充実について】 ▼児童生徒が就学可能な特別支援学校の拡充 特別な支援を必要とする児童生徒の増加に伴い、通学可能な特別支援学校に就学を...(2023-06-16) 全て読む
道教育大六稜会5年度総会 新会長に菱山氏 7月に研修会や既卒者講座
【旭川発】道教育大学六稜会は3日、アートホテル旭川で5年度総会を開いた。本年度の活動の方針のほか、7月に教育研修会、既卒者教採講座、6年2月に組織強化交流会を行うことなどを確認。役員改選で...(2023-06-16) 全て読む
道定通教育振興会が総会 和田会長を再任 生活体験発表大会など助成
道高校定時制通信制教育振興会は5日、ホテルライフォート札幌で5年度総会・研究協議会を開催した。5年度事業計画案、予算案、教育功労者表彰を承認。役員改選では、和田敬友会長を再任した。 5...(2023-06-15) 全て読む
道高教組と道教組が談話発表 ICT支援員配置訴え 道立2校いじめアンケート閲覧可で
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は13日、道立学校2校におけるいじめアンケートの回答内容が一定期間、閲覧可能となっていた問題に関する談話を発表した。談話では、...(2023-06-15) 全て読む
渡島公立学校教頭会 第1回研修会 支援型リーダーシップを 八雲熊石小・渋谷校長が講演
【函館発】渡島公立学校教頭会(太田浩司会長)は9日、第1回研修会をハイブリッド形式で実施した。八雲町立熊石小学校の渋谷智実校長が「管理職としての資質・能力向上」をテーマに講演し、教職員の主...(2023-06-15) 全て読む
道P連が総会 10月に日P札幌大会 菊川会長 一番の力は学校、地域の取組
道PTA連合会は10日、ホテルポールスター札幌で第76回総会を開き=写真=、「第70回日本PTA北海道ブロック研究大会札幌大会(10月21、22日)」の開催などを盛り込む5年度事業計画を決...(2023-06-15) 全て読む
道高P連 5年度総会 秋に数支部で会長研修 役員改選 村井会長ら再任
【小樽発】道高校PTA連合会(村井為敦会長)は9日、グランドパーク小樽で5年度総会を開催した。役員や各支部代議員ら約60人が出席。本年度事業計画では、高校教育振興対策事業や、新たに行うPT...(2023-06-15) 全て読む