ヒグマ出没増加で教育活動に影響　本年度中に協議体設置　札幌市　学校関係者含め

（札幌市 2023-06-23付）

　札幌市内でヒグマの出没が相次いでおり、教育活動にも影響を与えている。市に寄せられた目撃や足跡の発見情報は２１日現在で８０件と、過去５年間で最多だった元年度の１９６件を上回るペースだ。行事や校外活動を中止した学校もある。市は今後の対策を議論するために、学校関係者を含む新たな協議体を本年度中に設置し、対策強化に乗り出す考え。

　市環境局によると、２１日現在の出没情報件数は、元年度同時期の７４件を上回る。増加の理由として、市街地周辺に暮らす個体が増えていることや、平年より２週間以上雪解けが早く、冬眠明けが早まったことなどが考えられるという。

　学校周辺での目撃情報も相次いでいる。同局からの情報提供後の対応は各校の判断に委ねられており、現場は対応に追われている。

　先月２９日には南区の簾舞中学校の敷地内でクマのふんが見つかったことから、部活動を中止して生徒を下校させた。現在道のヒグマ注意報が発令されている西区にある西野中学校では、予定していた野外での炊事を伴う活動を延期ののちに中止した。

　直近２１日は、真駒内公園小学校の道路を挟んで西側にある真駒内公園内で複数の目撃情報があった。同校では保護者に対して登校時はできるだけ付き添うようメールで通知したほか、下校時には教員らによる見守りを実施。甲斐瑞恵校長は「数日間は状況を注視し、その都度適切に対応していく」と話した。

　同局は、これまでヒグマが出没しにくいと考えられていた市街地でも確認されていることを受けて、対策強化に力を入れる。

　ことし３月には、ヒグマ対策の方針をまとめた「さっぽろヒグマ基本計画」（５～９年度）を策定。これに基づき、本年度中にも専門家や農林業関係者をはじめ、学校関係者らでつくる協議体を立ち上げる方針。市の取組内容を評価して適宜見直しを図るほか、市街地への侵入抑制策を議論する。同局は「今後も学校を含む関係機関と連携強化を図る」としている。

(札幌市 2023-06-23付)