部活動地域移行へ渡島西部４町　１１月から実証事業に着手　移動手段や居場所づくりなど

（市町村 2023-10-11付）

　【函館発】松前町、福島町、知内町、木古内町の渡島西部４町は、経済産業省の「未来の教室実証事業」の採択を受けた㈱ＢＵＫＡＲＵの協力のもと、１１月から部活動の地域移行に向けた検証事業に着手する。町を跨ぐ合同チームの移動手段の検証に始まり、ＩＣＴを活用した遠隔指導、ｅスポーツ等のニーズ調査、４町の中学生が集う「第三の居場所」の設置など、新しいスポーツ環境の構築を模索する。今月中にも４町と同社で連携協定を締結する予定で、広域連携の取組を本格的に始動させる。

　事業は新たな教育プログラムを開発して未来の学びの実現を目指すもの。採択されると１５００万円の補助金が活用できる。

　本年度は全国から１９事業者を採択し、道内では渡島西部４町と学校・地域の外部指導者をマッチングするアプリケーション開発に取り組むＢＵＫＡＲＵを選出。４町合同の実証事業は全国初となる。

　４町では生徒数の減少を受け、野球とバスケットボール、バレーボールなどで学校の垣根を越えた合同チームを編成。遠征送迎の移動手段は各町でバスを稼働していた。実証事業では他校の生徒らが合同で移動できる体制を検証。４町の両端に位置する松前町と木古内町間は約６０㌔と長距離のため、移動可能圏域の課題について整理する。

　同社では学校と外部指導者を仲介するアプリケーションを開発しており、運動部、文化部共に地域のニーズに応じた外部指導者をマッチング。全国大会出場経験のある人材や学生、部活動改革を踏まえた兼職兼業が認められた教職員らの登録が可能で、ＩＣＴを活用したオンライン部活動を含め想定。記録を残すことができるメリットについても検証する。

　４町の中学生が共に活動できるサードプレイス（第三の居場所）づくりにも着手。木古内町中央公民館内の一室にタブレット端末や３Ｄプリンター等を配置し、生徒が試合の戦略を練ったり、チームのＴシャツを作ったりできるような環境を整える。作成物の販売などを通して遠征費を確保するアントレプレナーシップ教育を推進する。

　既存部活動の在り方の見直しに当たっては、児童生徒のニーズ調査を行う予定。ＳＴＥＡＭ教育推進の観点からドローンサッカーやｅスポーツ等、新しい部活動の可能性について検討するなど、来年２月までの実証期間中に持続可能な部活動の在り方を多角的に整理する方針だ。

(市町村 2023-10-11付)