Pick Up2023 第4回 札幌市②(札幌市 2023-12-12付)
◆外国籍児童生徒の支援急務
日本語指導員確保 進学支援など課題
近年、札幌市内の小・中学校に通う外国籍の子どもの数が増え、日本語の指導が必要な児童生徒も増加している。支援に向けた体制整備の必要性が高まっているが、指導ボランティアの確保や進学支援などの点で課題がある。
住民基本台帳によると、18歳未満の外国人人口は、平成24年10月には904人だったが、ことし10月時点では1341人と1・5倍近くに。
家族と帯同できる特定技能者の増加に伴って今後も増える見込み。令和元年施行の日本語教育推進法は、日本語教育の充実を国や自治体の責務としており、体制を整備する必要性は高まっている。
市では各校の要望に応じて、市民団体「札幌子ども日本語クラブ」を通じて日本語指導ボランティアを派遣している。
開始当初の平成18年は9校12人が指導を受けたが、4年度は67校118人に増えた。国籍も二十数ヵ国と母語も多様化している。
指導員需給に懸念 費用負担等が障壁
派遣件数の増加を受けて、ボランティアの負担が大きくなっている。現在64人が登録して活動しているが、今後も外国籍の児童生徒数が増え続ければ需給バランスが取れなくなる。市教委は人材確保のために公募も始めており「各地区にバランス良く派遣しやすくなる」と期待する。
一方で、ボランティアに支払われる謝金は1時間当たり1000円で交通費は自己負担など、人材確保を難しくする要因は残る。
市が本年度、策定作業を進めた仮称・市多文化共生国際交流基本方針では、教員の日本語指導力向上を目的にした研修の実施や、日本語能力が不十分な子どもたちの進学支援に取り組むことを明記した。
国際都市・札幌で暮らす外国ルーツの子どもたちが、学校の授業についていけなくなったり、社会に溶け込めなくなったりすることのない社会を目指していく。
◆学校統廃合 子の負担増懸念
学校規模適正化へ 8校の在り方検討
札幌市内の少子化が進む中、市教委は小・中学校の規模適正化を進めている。本年度は、小規模化が進む8校の今後の在り方を検討するために、近隣校と統合する案などを示して地域住民と協議を始めた。
市によると、ことし5月時点の児童生徒数は約13万人。昭和60年ごろのピーク時から3分の2以下に減り、今後も減少が続くことが見込まれる。
平成19年度にまとめた規模適正化の指針では、適正規模を小学校12学級以上、中学校6学級以上と設定した。
小規模校は個に応じたきめ細かな指導をしやすいなどの利点がある。一方で、クラス替えが困難となり人間関係が固定化する、多様な考えや意見を出し合って学び合う経験がしづらいといった課題もある。
そのため、適正規模の基準を満たさなかったり、今後満たさなくなる可能性が高い8校のある3区6地区に検討委員会を設置。市教委が近隣校との統合案を示し、学校や町内会、保護者と話し合いを進めてきた。
通学距離が問題に バス導入案も
共通して話題に挙がっているのが通学距離の問題だ。校区によっては極端に伸びるケースがあり、子どもたちの負担増加が懸念される。
藻岩南小学校、南の沢小学校、南が丘中学校を統合して義務教育学校化する案では、小学1・2年生20人を含む60人の通学距離が片道2㌔㍍を超える。
委員から「特に低学年の負担が大きい」「猛暑など昨今の自然環境も考慮すべき」と意見が上がった。これを受けて市教委は8月の会合でスクールバス導入案を示している。
東苗穂小学校と伏古小学校の統合案でも、最長で約1・5㌔㍍、片道30分ほどかかる場合があり、除雪の状況など安全面確保の観点から議論している。
いずれの地区も統廃合の判断時期は定めておらず、来年度も継続して協議を進めていく。
(札幌市 2023-12-12付)
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