札幌市教委　修学旅行実施基準改正　上限額を超えない　経費設定を変更　６年度から小・中、義務教育校で

（札幌市 2023-12-15付）

　札幌市教委は、市立学校修学旅行実施基準を一部改正した。市場価格の上昇によって保護者負担が増大している現状を踏まえ、毎年度設定している「上限額を超えない」よう経費設定を求めていた規定を変更。個別の宿泊研修、見学旅行だけではなく、在学中トータルの保護者負担を軽減する観点での計画・費用の見直しを可能とした。小・中学校、義務教育学校を対象に６年４月１日から施行する。

　市立小・中学校の宿泊研修、見学旅行の経費については、保護者の負担軽減を図るため市教委が毎年度上限額を設定。必要最小限の経費でねらいを達成できる計画となるよう工夫改善を呼びかけてきた。

　ここ数年の上限額は、小学校宿泊研修で６４００円、小学校見学旅行で２万１６００円、中学校宿泊研修で１万９９００円、中学校見学旅行で２泊３日６万５００円、３泊４日６万８０００円などとなっている。

　一方、近年は物価高騰などの影響で経費が上昇傾向にあり、保護者負担は増加の一途をたどる。特に、小学校宿泊研修の平均費用は平成２４年度の３４４６円から令和４年度は５３８８円と５６・４％上昇している。

　訪問地、移動方法など内容の抜本的な見直しだけでは対応しきれず、上限額の範囲内に収めることが困難な学校がみられていることから、これ以上の保護者負担増加を避けるため基準の一部改正を行った。

　経費について「上限額を超えない」と求めていた規定を「基準額を目安に、保護者への経済的負担を考慮し、学校として説明責任を果たせる範囲とする」に変更。

　個別の宿泊研修、見学旅行だけを検討するのではなく、これらを一体的に捉えたり、教材費などを含めて考えたりするなど、在学中トータルの保護者負担を軽減する観点による工夫を可能とした。

　具体的な工夫例として「宿泊研修の費用が基準額を超過した分、翌年の見学旅行の計画・費用を見直すことで家庭からのトータルの支出を据え置く」「副教材等の教材費を見直し、削減した分を見学旅行の費用に充てる」などを挙げている。

　６年度の基準額は宿泊研修と見学旅行の合計額で示すこととし、今後通知する予定。

(札幌市 2023-12-15付)