札幌市教委　いじめ再発防止策

（札幌市 2023-12-25付）

　札幌市立中学校における重大事態調査報告書における提言を踏まえ、市教委が掲げたいじめの再発防止策はつぎのとおり。

【いじめ防止基本方針の改訂】

◆改訂のポイント

▼学校いじめ対策組織

▽構成員

・組織の責任者は校長であることを明確化し、いじめ防止等に係る全ての取組は、校長の監督のもとで行うことを強調

・養護教諭とスクールカウンセラーを構成員に加えることを必須とする

▽会議の開催

・定例会議の月１回開催を必須とし、必要時の開催方法についても定める

・毎月の会議において、いじめの認知や解消の件数等を確認する

・いじめに係るアンケート実施後には、必ず会議を開催し、アンケート結果や個人面談の内容等について組織で検討する

▼いじめの見逃しや一部の教員による抱え込みを防ぐための取組

・いじめの認知および解消については教職員個人に委ねず、組織で判断する

・いじめ解消に至るまでの間、被害児童生徒が心身に苦痛を感じていないかを継続的に確認する

・いじめの解消の判断は、被害児童生徒および保護者との確認結果を踏まえ、組織で行う

・加害児童生徒についても、保護者と連携して指導と見守りを行う

・複数の教職員がそれぞれ集めたいじめに関する情報は、必ず組織で共有し、見逃しを防ぐ

・いじめに関する情報は、児童生徒ごとにまとめるなど経年的に把握する

▼個別の対応状況に関する記録および引き継ぎ

・いじめに関する個別の記録については、つぎの学年・学校に確実に引き継ぎ、指導や支援につなげることを徹底する

・教委が実施しているアンケートの調査用紙は、小学校から中学校に用紙そのものを引き継ぎ、定められた期間（３年間）保管する

▼緊急時の対応

・緊急性が高い事案や、いじめの重大事態の懸念がある事案については、速やかに教委に報告し、連携して対応する

【教委による学校の取組状況の把握と指導・助言・支援】

・文部科学省が実施する「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」のいじめに関する調査項目に沿った新たな報告様式を導入し、各学校におけるいじめの認知件数と対処・解消の状況を定期的（年４回）に把握する

・学校のいじめ対策の年間計画に基づく取組について、ヒアリング等によって状況を確認し、継続的に指導助言を行う

・スクールカウンセラー（ＳＣ）、スクールソーシャルワーカー（ＳＳＷ）、スクールロイヤー、スクールセーフティアドバイザー（警察官ＯＢ）などの専門家も含めたチームで、学校の取組を支援する

【教職員の指導力向上】

▼教職員の意識改革

・いじめは、相手の人間性とその尊厳を踏みにじる「人権侵害行為」であることをあらためて共通認識して対応に当たるために、調査報告書の公表版を用いた研修を全校で実施し、全ての教職員がいじめの問題を切実に受け止め、責任を持って対処する意識を醸成する

▼いじめ対応や自殺予防等に関する研修の充実と系統的な実施

・校長、教頭、主幹教諭、教諭の経験年数に応じた研修の全てにおいて、いじめや自殺予防に係る研修を系統的に行い、全ての教職員へのいじめへの対応力向上を図る

【ＩＣＴを活用した児童生徒のＳＯＳの早期把握・早期対応】

・１人１台端末を用いた健康観察やアンケートの実施等を検討し、児童生徒の不安や悩みを早期に把握し対応につなげる仕組みの導入に向けた調査研究を進める

【専門家との連携強化】

▼各学校におけるＳＣ、ＳＳＷとの連携

・小学校におけるＳＣの配置時間数を増やすとともに、ＳＳＷの相談体制の強化を図る

▼実効性のある「いじめの未然防止教育プログラム」の作成

・心理や法律等の専門家監修のもと、いじめの加害者・傍観者の心理を踏まえた未然防止教育や、加害者の深い反省を促し、再発防止につなげる指導プログラムを作成する

【再発防止策の検証】

・市立学校および教委の取組状況を市児童等に関する重大事態調査検討委員会（市付属機関）に定期的に報告し、再発防止の取組について検証し、必要な改善を図る

(札幌市 2023-12-25付)