文科省へ報告義務徹底　学校事故対応指針改訂　意識不明、歯欠損も報告対象に

（国 2023-12-26付）

　文部科学省の学校安全の推進に関する有識者会議は２２日の会議で、学校事故対応に関する指針（改訂版）案を示した。学校事故の報告対象を明確化し、死亡事故のほか、意識不明の重篤な事故や身体の欠損（歯を含む）を学校設置者に報告することを明記。被害児童生徒や家族への支援、詳細調査に移行する判断基準を盛り込む。６年３月に改訂する。

　国の調査によると、市区町村教委の９６％が都道府県教委に死亡事故を報告していた一方、都道府県・指定都市教委の３５・３％が「報告していないものもある」「全て報告していない」と回答しており、事故発生後の被害者や家族に配慮した支援が不十分な事案もあることが判明。このため平成２８年度に策定した現行の指針を見直す。

　改訂案では、過去の重大事故を踏まえた未然防止、事故発生に備えた事前の体制整備、被害児童生徒と家族への支援、事故の検証・再発防止、死亡事故等の国への報告に関する記載を充実させており、特に学校において実施する基本調査や学校設置者への報告対象を登下校中を含む「すべての」学校管理下で起きた死亡事故と、治療に要する期間が３０日以上の負傷・疾病を伴う重篤事故とすることを明記。３０日以上でなくとも、意識不明の場合や身体の欠損、身体機能の喪失を伴う事故も対象とする。

　学校設置者が詳細調査に移行する判断基準も明記。「教育活動に事故の要因があり事前の安全管理体制が不十分な場合」「事故発生後の対応が不適切だった場合」「保護者の要望がある場合」などが該当する。

　このほか、事故の状況をまとめる都道府県・指定都市教委の役割、全国の事故から教訓とすべき点を整理・周知する国の役割をあらためて明記。従来のコーディネーターに代わり、保護者・学校の中立の立場で、事故の対応を支援する「支援担当者」の設置についても盛り込む。

　パブリックコメントを経て次回会議で最終案を示し、６年３月の改訂を目指す。

　今後文科省は、学校安全ポータルサイトに事故対応の各種様式を掲載するほか、指針の内容を補足するＱ＆Ａを作成して各種説明会・研修会で提供する予定だ。

(国 2023-12-26付)