函館市教委 部活動地域移行アンケート 中学校顧問56%負担感 保護者 送迎や費用が懸念
(市町村 2024-02-16付)

函館市部活動の地域移行等に関するアンケート調査1
函館市部活動の地域移行等に関するアンケート調査1(クリックすると拡大表示されます)

 【函館発】函館市教委は市内小・中学校の児童生徒、保護者、教職員等を対象に実施した部活動の地域移行等に関するアンケート調査の結果をまとめた。回答を得た中学校部活動の顧問教員の56%が「負担を感じている」と回答。兼職兼業での指導を希望する中学校教員の割合は7%にとどまり、現場の負担感が浮き彫りとなった。保護者からは送迎や費用の不安を懸念する声が多く、地域移行となった際の月額負担可能額は「3000円」が最多で全体の4割超を占めた。

 調査は昨年12月8~26日の期間中、市内の小学4~6年生3592人、中学1・2年生2465人、保護者2484人、小・中学校の教職員819人、部活動地域支援者21人、運動・スポーツ文化芸術団体92人を対象に集計。回答率は児童生徒が約8割、保護者が3~4割、教職員が約7割だった。

 市教委は結果の一部を速報値として取りまとめ、13日に開かれた第4回学校部活動の地域連携・地域移行等に関する協議会で報告した。

 生徒の活動状況をみると、63%が学校部活動に所属していると回答。休日が地域の活動に移行となった場合については、37%の生徒が学校部活動と同じ競技・種目を希望した。

 中学校で取り組みたいスポーツや文化的活動を児童に2種目選択させた設問で、10%以上の数値を占めた上位8活動はバスケットボール、バドミントン、サッカー、野球、美術、吹奏楽、陸上、ダンスの順に続いた。

 部活動が地域の活動に移行した場合の不安については、生徒の33%、児童保護者の39%、生徒保護者の65%が「移動手段の確保や送迎の負担」と回答。また、小・中学校の保護者共に約3~4割が経済的負担を不安に挙げ、月額負担可能額は1000~5000円を希望する割合が全体の9割となり、うち最多は3000円で4割以上を占めている。

 中学校教職員の部活動の専門性とやりがい、負担感などを問う項目では「専門的指導ができる」と回答した教員の割合が33%、「専門ではないが過去に顧問の経験がある」が30%。「専門ではなく過去に顧問経験もない」と答えた教員の割合は37%だった。「負担を感じている」「どちらかというと負担を感じている」と回答した割合は全体の56%で「やりがいがある」「どちらかと言えばやりがいがある」と答えた割合は31%だった。

 地域クラブ活動における兼職兼業での指導について「従事したい」と答えた中学校教員は7%、小学校教員は1%のみ。「勤務条件、報酬によって検討したい」と答えた割合は小学校教員が10%、中学校教員が29%だった。

 地域支援者を対象とした設問で大会への引率等が可能となる部活動指導員への意向については希望する割合が18%。36%が「勤務条件、報酬がないと判断できない」と答えた。

 市教委は次年度について顧問として指導が可能となる部活動指導員の配置や拠点校方式による合同部活動のモデル構築を検討。調査結果を反映した推進計画の策定を本格化させるため、協議会の開催頻度を高めるとともにパブリックコメントの手続き等を経て、7年度末までの成案化を目指すとしている。

この記事の他の写真

函館市部活動の地域移行等に関するアンケート調査2
函館市部活動の地域移行等に関するアンケート調査2(クリックすると拡大表示されます)

(市町村 2024-02-16付)

その他の記事( 市町村)

帯広市 6年度予算案 部活動地域移行へ指導員 小学校など378室に冷房設置

 【帯広発】帯広市は16日、6年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比7・9%増の930億1600万円。教育費に3・9%増の66億2309万円を計上した。  主な事業をみると、部活動指...

(2024-02-19)  全て読む

釧路市教委 算数・数学科特別講座 授業力向上目指し研鑚 文科省教科調査官招き授業公開

算数数学科特別講座赤本主事の授業  【釧路発】釧路市教委は8、9の両日、特別講座「教科調査官と学ぶ算数・数学科の授業の在り方」を開催した。幣舞中学校と鳥取西中学校を会場に4本の授業公開を行い、算数・数学科における授業改善の在...

(2024-02-19)  全て読む

七飯町教委 練成会グループと連携 不登校児支援や授業配信 5教科教材無償提供、教員研修

七飯町教委練成会不登校支援協定  【函館発】七飯町教委は次年度から道内で学習塾を展開する練成会グループと連携し、様々な事情で学校に通うことが難しい子どもの学習支援や災害時等のオンライン授業を開始する。町の教育支援センター「...

(2024-02-19)  全て読む

苫小牧市 ヤングケアラー支援へ 道内初の条例制定提案 啓発や交流の場づくり等

 【苫小牧発】苫小牧市は、22日開会の定例市議会に「苫小牧市ヤングケアラー支援条例」の制定を提案する。4月1日からの施行を目指す。市では「ヤングケアラーに特化した条例は道内初。国内でも3例目...

(2024-02-19)  全て読む

北広島市 6年度予算案 部活動地域移行 モデル事業を展開 小・中にエアコン等整備へ

 北広島市は8日、6年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比6・6%減の285億7221万円。うち教育費は、小学校の防音機能復旧や旧島松駅逓所大規模改修工事などによって19・3%増の23...

(2024-02-16)  全て読む

樽前小改築に8億など 苫小牧市 校舎改修等を繰り越し

 苫小牧市は、22日開会の市議会定例会に各会計を合わせ24億4734万円の増額補正予算案を提案する。樽前小学校改築費に約8億円などを盛り込んでおり、これらは6年度予算への繰越となる。小学校費...

(2024-02-16)  全て読む

苫小牧市 6年度予算案 子育て世代へ支援拡充 教育費16・7%増、41億円

 【苫小牧発】苫小牧市は14日、新年度予算案を発表した。一般会計は前年度比7・1%増の883億1000万円、教育費は16・7%増の41億1087万円。植苗小中学校の大規模改修などを盛り込んだ...

(2024-02-16)  全て読む

紋別市6年度予算案 地域スポーツクラブ移行8年度開始へ 小・中全学級に電子黒板

 【網走発】紋別市は8日、6年度予算案を発表した。一般会計の総額は、前年度比8・5%減の368億699万円。教育費には42・5%減の14億5580万円を計上した。紋別小学校屋体棟大規模改修や...

(2024-02-15)  全て読む

小中一貫教育導入へ意見交換 全教職員参画の取組を 池田町教育推進研究会

池田町教育推進研究会検討部会  池田町の小中一貫教育7年度導入に向けて、小・中学校の全教職員が参画する町教育推進研究会が取組を検討している。1月中旬、校務分掌に応じた全6部会が協議。1年間の取組などを振り返り、次年度に向...

(2024-02-14)  全て読む

池田町教委 施設分離型義務教育学校 5・4制で10年度設置へ 7年度小中一貫と並行し指針

 【帯広発】池田町教委は、施設分離型義務教育学校の10年度設置を検討している。現段階では、1~5年生を小学校、6~9年生を中学校に分ける5・4制を構想。7年度、小中一貫教育の導入と並行し「義...

(2024-02-14)  全て読む