釧路市教委 算数・数学科特別講座 授業力向上目指し研鑚 文科省教科調査官招き授業公開(市町村 2024-02-19付)
算数数学科特別講座赤本主事の授業
【釧路発】釧路市教委は8、9の両日、特別講座「教科調査官と学ぶ算数・数学科の授業の在り方」を開催した。幣舞中学校と鳥取西中学校を会場に4本の授業公開を行い、算数・数学科における授業改善の在り方について理解を深めた。助言者を文部科学省初等中等教育局教育課程課の水谷尚人教科調査官、笠井健一教科調査官をはじめ、算数・数学科教育に深く携わる5人が務め、算数・数学科の授業力向上に向け幅広い視点から示唆した。
数学科の授業公開や研究協議を通して、算数・数学科の授業の在り方について理解を深めることがねらい。市・管内の小・中学校、高校、義務教育学校の教職員や大学生75人が参加し、算数・数学科の授業力向上に向けた授業改善について研鑚を積んだ。
授業公開は8日に幣舞中で新谷明日香教諭と赤本純基市教委指導主事、9日に鳥取西中で柴田尚文主幹教諭と下山智之教諭がそれぞれ行った。
うち8日の幣舞中では赤本指導主事が2年2組で「一次関数」を指導した。指導主事による授業公開は市教委としては初めての試みで、算数・数学科の授業力向上に向けた授業改善研究のための授業公開となった。
本時の目標を「走る速さが一定であるという仮説に基づいていることを捉えた上で、K大学がS大学を追い越す地点を求める方法について、二つのグラフをどのように用いれば良いのかを説明することができる」と設定した。
はじめに箱根駅伝10区での映像を視聴。トップS大学と2位K大学との差は10区スタート時で200秒あることを確認したあと、10区の数地点での記録をまとめた表を示し、本時の問題「スタート地点からおよそ何㍍の地点で追い抜きそうかな?グラフを使って予測する方法を説明しよう」を提示。グラフを用いて追い抜く地点を調べた。
座標を直線で結び「差が縮まっているから追い抜く」という意見をもとに、直線で表すことは走る速さが一定であるという仮説を確認。道のりと時間の関係を一次関数と仮定することについて話し合った。
追い抜くまでの時間をx座標、道のりをy座標とした上で、y座標を読むことで追い抜いた地点の道のりが求められるなど、二つのグラフから、およそ1万7000㍍地点で追い抜くという予測を示した。
最後に実際のレース映像を視聴。追い抜いた地点はおよそ2万1000㍍地点。誤差の要因として2選手の走る速さの変化や地形などが関わっていると捉えた。
二つの事象を理想化したり単純化したりすることでそれらを一次関数とみなし、結果と予測に違いがある原因やより良い予測のための手だての工夫などについて考えを深めた。
授業後の研究協議では、参加者から「誤答をきっかけに座標の確認ができていた」「世の中で使えるものを予測しようとしたことが重要」といった意見が出された。
助言者は水谷教科調査官と笠井教科調査官、常葉大学の鈴木誠准教授、山梨大学の清水宏幸教授、筑波大学の清水美憲教授の5人が務めた。
水谷教科調査官は、問題提示の動画でワクワク感が持て、全員が追究する姿勢を見せるとともに、教師の前向きな声かけによって学習意欲が喚起されたと評価。その上で全国学力・学習状況調査の結果から、一次関数のグラフの理解は6割にとどまっていることを指摘。一定と考える理由や仮定、グラフの交点が示す意味などをしっかりと理解することが大切であるとした。そのためにも本時のような綿密な板書計画が必要であることを強調した。
笠井教科調査官は、理解できない子中心の問題解決型学習が重要であるとした。一つの考えでもいいから全員が解けることが大切であり、何につまずいているのかを想像することを求めた。単線型の学習を見直すことで何が分からないのかを一つ一つ全員で考え、分からない子の気持ちを考える必要性を訴えた。グループでの話し合いは確認するためであるとし、全員で理解した中での話し合いにこそ意味があるとした。
5人の助言者は、実践例などを交えながら様々な視点から解説。今後の算数・数学科の授業改善に期待を寄せた。
公開授業の授業者と単元名はつぎのとおり。
▽新谷明日香教諭(幣舞中)「確率」(2年)
▽赤本純基指導主事「一次関数」(2年)
▽下山智之教諭(鳥取西中)「空間図形(投影図)」(1年)
▽柴田尚文主幹教諭(鳥取西中)「空間図形(円錐の表面積)」(1年)
(市町村 2024-02-19付)
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