苫小牧市 6年度予算案 子育て世代へ支援拡充 教育費16・7%増、41億円
(市町村 2024-02-16付)

 【苫小牧発】苫小牧市は14日、新年度予算案を発表した。一般会計は前年度比7・1%増の883億1000万円、教育費は16・7%増の41億1087万円。植苗小中学校の大規模改修などを盛り込んだことが主な増額要因となった。「子育て世代に手厚いまち」とまこまいの実現を目指し、子ども・子育て予算に重点配分しており、新規に通院助成を高校卒業まで拡大するほか、中学校入学時の制服購入助成、医療的ケア児等相談室の開設、放課後児童クラブへのエアコン設置などを盛り込んでいる。また、4月から施行予定のヤングケアラー支援条例の啓発や各種支援を開始する。

 教育・子ども関係の主な事業はつぎのとおり。

【一般会計】

▼総務費

▽こども国際交流(新規)=940万円―訪問先・シンガポール。4月参加者募集、5月参加者決定、5~7月事前研修(5回)、7月下旬シンガポール訪問、8~11月事後研修(2回)、11月帰国報告会、12~1月総括

▽非核平和=98万円―中学生広島派遣など

▽樽前予約運行型バス運行=914万円―樽前地区住民、来訪者、樽前小学校への通学児童向けに、路線バスと学童輸送便を統合した形で、デマンド型コミュニティバスを運行

▽市内大学インターンシップ支援=750万円―北洋大の学生が希望する市内企業で長期・有償インターンシップをするため、マッチング等の支援を行う。受け入れ企業と学生は雇用契約を締結することで、勤務に応じて賃金が支給され、市は受け入れ企業に対して、学生の賃金と事務手数料の相当額を給付する

▽奨学金返還支援基金積立金(新規)=169万円―奨学金返還支援制度、奨学ローン返済助成制度、教育ローン利子補給制度を実施するために必要な財源を積み立てる

▽市内路線バス通学定期代補助(新規)=2400万円―高校・高専への通学定期券に対して、値上げ分の半額相当を補助金として拠出。苫小牧市、白老町、厚真町、安平町、むかわ町居住者のうち、市内の高校・高専に通う者。補助額=(改定後の定期代―改定前の定期代)×1/2

▽全国・全道スポーツ大会開催運営助成=165万円―小・中・高・高専生を対象とした全国・全道大会の運営費の一部を補助

▽各種スポーツ大会遠征費補助金・奨励金=1295万円

▽全国高校選抜アイスホッケー大会補助=500万円

▽氷上スポーツ育成=520万円―幼児・小学校低学年を対象に、氷上スポーツを体験する教室を開催

▽青少年スポーツ振興=100万円

▽交通安全施設整備=450万円―老朽化している通学路標識更新、補修。横断歩道灯更新など

▽自転車用ヘルメット購入補助(新規)=130万円―市内在住の高校生以下(18歳以下)の市民を対象に自転車用ヘルメット購入費用の一部を補助。650人分の購入補助を行い、着用者数の増加を目指す

▼民生費

▽医療的ケア児等支援(新規)=390万円―庁内に医療的ケア児等相談室を開設し、医療・福祉等の専門的な視点から総合的に対応(助言等、関係機関等との連絡調整、関係機関等への情報提供・研修)

▽児童虐待防止=102万円

▽子育て世帯訪問支援=302万円―家事・育児等に対して不安や負担を抱える子育て家庭、妊産婦、ヤングケアラー等がいる家庭の居宅を、訪問支援員が訪問し、不安や悩みを傾聴するとともに、家事・育児等を支援することで、家庭や養育環境を整え、虐待リスク等の高まりを未然に防ぐ

▽母子家庭等自立支援給付金支給=2888万円―ひとり親家庭の職業能力の開発と就職に有利な資格取得の取組を支援する

▽ひとり親家庭学習支援=1018万円―ひとり親家庭の中学生を対象に学習支援する。学習指導経験が豊富な事業者等へ委託し、市内3ヵ所で実施

▽ひとり親家庭等日常生活支援=191万円

▽市ファミリー・サポート・センター=958万円―小学校終了前の子どものいる世帯を対象に、仕事と育児の両立や子育てを支援するため、託児などを行う

▽子育て短期支援=100万円

▽こども研修=616万円―小中学生とスタッフとして参加する高校生が、姉妹都市や他都市の訪問研修で、そのまちの歴史や文化を学び、異年齢による集団生活を通して、協調性や自主性、社会性を身に付ける

▽市子ども・子育て支援事業計画策定=825万円―現行計画が6年度で終了することから、次期(7~11年度)計画策定に向け、ニーズ調査、現状分析や課題整理、統計諸資料分析、需要と供給量の推計、計画案の策定・修正などを行う

▽ヤングケアラー交流の場づくりモデル(新規)=50万円―ヤングケアラー同士が自由に過ごせる時間・場所で交流し、悩みを相談できる場を提供する団体等の活動助成等を行うことで、ヤングケアラーの孤立解消や精神的負担につながる活動を促進する

▽ヤングケアラー支援条例啓発(新規)=274万円―著名人や有識者の講演、シンポジウム、高校生を対象としたワークショップ、PR用のリーフレット、カード等の配布

▽中学進学祝い制服等購入助成(新規)=2339万円―中学校に進学する対象児童に対し、制服等の購入費用1万5000円分の助成券を送付し、子育て世代の負担軽減を図る

▽一時保育=2870万円

▽私立保育所等建設費補助=2703万円

▽私立保育所等施設整備費補助=3億1255万円―老朽化しているピノキオ苫小牧幼稚園園舎の建て替え。建て替え後の施設は幼保連携型認定こども園で、25年4月開設予定

▽保育体制強化=8340万円―保育支援者の配置、園外活動の見守り、スポット支援員の配置

▽保育環境改善等(新規)=3338万円―熱中症予防のために、保育所等に冷房設備を設置・更新

▽特定教育・保育施設等副食費無償化拡大(新規)=2661万円―第3子以上を対象としていた副食費の無償化を第2子まで拡充

▽放課後児童クラブ運営=4億5143万円

▽放課後児童クラブ冷房設備設置(新規)=1286万円―小学校の余裕教室以外で開設している放課後児童クラブに冷房設備(エアコン)を導入。沼ノ端、拓勇、拓進、ウトナイ、北光第2児童クラブ、住吉、大成、日新、錦岡児童センター内児童クラブの9施設

▽子育て支援医療助成(新規)=1億2729万円―小学校入学前まで対象の通院助成について、6年8月診療分から高校卒業まで拡大。児童手当制度改正の動きを踏まえ、現存する所得制限を撤廃し、全ての子どもたちを対象とする

▼教育費

▽外国語教育推進=7460万円―市内全小・中学校にALTを派遣、小学校2校、中学校1校を連携研究校に指定し研究推進、外国語指導先進地視察、外国語指導先導的実践の公開

▽いじめ問題対策=57万円―子ども専用悩みごと相談メール、電話を設置。「いのちの授業」を実施。「いじめ問題子どもサミット」を実施。不登校児童生徒を対象とした教育支援センターを運営

▽小・中学校文化活動助成=100万円

▽スクールソーシャルワーカー(SSW)活用=1414万円―統括SSW1人、副統括SSW1人、SSW5人の7人体制で配置。いじめ・不登校・暴力行為・虐待等、問題を抱えている児童生徒やその家庭を支援する。全小・中学校の訪問を実施。学校、家庭から要請のあった家庭に対し、教育の専門知識に加え、社会福祉等の専門知識・技能を用いて児童生徒の置かれた様々な環境に働きかけを行う

▽学力向上推進=266万円―先進地視察、外部講師による研修会実施、指導資料「授業改善Leaf」の作成、実践的研修講座開設、家庭教育情報紙作成

▽市統一学力検査=580万円―小学校4・5・6学年、中学校1・2学年。国語・算数・数学の標準学力調査、目標準拠評価方式。民間業者が作成した学力検査を活用し、採点・集計・各種データの作成も含む

▽校務用パソコン整備=1億2491万円

▽コミュニティ・スクール=1081万円―年3~4回、学校運営協議会開催

▽学習用ICT環境整備=1億3650万円―全小・中学校に整備した学習用タブレットPCの管理・運用を行うとともに、校内ネットワーク等のICT環境についても維持・運用を行う。また、6年9月で使用期間が終了する学習用サーバホスティング・学習用ネットワークサービス業務について、引き続き6年10月からの更新を図っていく

▽不登校対策=82万円―3年度にモデル校に指定した小学校1校・中学校1校で引き続き魅力ある学校づくりや校内での学習支援、居場所づくり、登校支援、相談体制の強化などに取り組む。学校適応教室「あおば学級」「トピリカ学級」に加え、閉校後の「山なみ分校」を活用し、市内から通いやすい環境を整備する

▽学校給食用食器更新=665万円

▽学校給食食缶更新=1598万円―東地区および中央地区の小・中学校を対象に5年度からの2か年計画で食缶を更新(旧・樹脂製、新・ステンレス製)

▽学校給食残渣資源化(新規)=158万円―給食残さは年間約80㌧排出されこれまで焼却処分を行っていたが、民間事業者の協力を得て、バイオガス発電に給食残さを活用する

▽給食献立システム更新(新規)=375万円―6年12月に予定されている総合行政・部門システムサーバ更新に伴い、現行システムを、仮想サーバから新物理サーバへ移行する。また、行事・転出入・食数・試食会日程等の情報を学校から入力可能とする食数入力機能を新たに追加する

▽フッ化物洗口=314万円―全24小学校で実施

▽多子世帯給食費助成=2515万円―児童生徒が3人以上いる世帯に対し、3人目以降の児童生徒の学校給食費を助成する。小学校月4500円、中学校月5250円

▽植苗・勇払小中学校環境整備(新規)=688万円―不足している物品を整備

▽小学校校舎等改修=1億4258万円―拓勇小、糸井小、豊川小ほか

▽児童用机・椅子整備=1647万円―全小学校4年生およびウトナイ小5・6年生のいす更新

▽植苗小中スクールバス運行管理=1079万円―6~11年度までの継続契約

▽小学校防音機能復旧=393万円―沼ノ端小校舎機械室暖房設備改修に向けた実施設計

▽小学校図書館用図書整備=793万円

▽教師用教科書・指導書購入(教科書採択初年度)(新規)=5993万円―教師用教科書購入、教師用指導書購入、参考図書購入

▽樽前小改築=2億8235万円―校舎改築工事(5~6年度継続)、屋内運動場改築工事(5~6年度継続)

▽ウトナイ小校舎増築=1828万円―校舎増築主体工事(5~6年度継続)

▽大成小改築=1億257万円―実施設計、敷地地質調査、改築・解体に向けた各種調査、教職員住宅解体工事・事前調査

▽植苗小中大規模改修=3億1923万円―6~7年度継続、校舎・屋内運動場の大規模改修工事

▽中学校校舎等改修=4480万円―緑陵中、明野中ほか

▽部活動指導員配置=1150万円―中学校が希望する部活動に対して、専門的な知識や技能を有する部活動指導員を配置

▽中学校図書館用図書整備=829万円

▽文化芸術振興計画=1596万円

▽樽前アートスクール(新規)=144万円―小学3・4年生を対象として、冬季休業期間などに「タルマエ探検隊」として樽前地区の豊かな自然や産業を巡りながら地域住民との交流を図る。その後、樽前小を会場に地元で活動する芸術家によるアドバイスを受けながら、探検で得た写真やメモなどをもとに創作活動を行うとともに、学校間や地域住民との交流を図る

▽社会教育施設整備=759万円

▽図書館情報システム更新=1825万円

▽美術博物館企画展示=471万円

▽美術博物館特別展=497万円―特別展「九谷赤絵の極致 宮本屋窯と飯田屋八郎右衛門の世界」(6月29日~8月25日)

(市町村 2024-02-16付)

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