道議会質疑 一般質問(9月27日)(道議会 2024-02-28付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼真下紀子議員(日本共産党)
▼山崎真由美議員(維新・大地)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼道場満保健福祉部長
▼倉本博史教育長
◆熱中症対策
Q真下議員 道内の公立小・中学校、高校、特別支援学校は、全国比でも私学との比較でも冷房設置率が極めて低く、空調設備の設置が急がれる。
空調設備の設置の検討を表明した知事と教育長は、国の支援を待つばかりではなく、計画的かつ急ぎ進めるべきである。どう取り組むのか伺う。
この夏は記録的猛暑が続き、熱中症による救急搬送は、速報値で今季3253人と急増し、9人が亡くなっています。北海道・東北地域では最多である。
暑さに弱い乳幼児や高齢者、障がい者等が過ごす社会福祉施設における今夏の熱中症対策をどう評価しているのか、また、新型コロナウイルス感染症対策の支援と同様に、熱中症対策についても道の支援が必要と考える。どう取り組むのか伺う。
A鈴木知事 学校における熱中症対策について。真夏日や猛暑日の増加に伴い、子どもたちが学習の場として一日の大半を過ごす学校においては、熱中症対策に万全を期す必要があると認識している。
このため、道では、各学校に対し、熱中症対策に係る注意喚起を行うとともに、対策の一層の強化と事故防止に向けた適切な対応を求めてきたところ。
5年は熱中症によって救急搬送される児童生徒が急増したことを踏まえ、道としては、あらためて、各学校に対し、熱中症アラートの発令時における適切かつ迅速な対応を求めているほか、これまでも国に要請してきた空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、道教委や市町村と連携し、あらためて国に強く要望するとともに、喫緊の課題となっていることから、国への支援策の要請とその活用を図りながら、各学校に可能な限り設置できるよう、速やかに検討を進めていく。
A倉本教育長 空調設備の整備について。学校は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習の場であることから、安全・安心で快適な教育環境の確保は重要であると考えており、長期、短期の視点に立って、ハード面からだけではなく、ソフト面からも、気象状況の変化に応じた必要な対応を速やかに検討していく。
熱中症対策については、昨年5月に危機管理マニュアルやチェックリストを作成し、注意喚起をしてきたところだが、今後は、あらためて、熱中症警戒アラートの発令時には、臨時休業等の措置を適切かつ迅速に講ずることに関し、徹底を図るとともに、夏季休業期間の延長等の弾力的な取り扱いなど、早急に方向性を整理していく。
また、本道ではこれまで、他県等との比較において夏の期間の平均気温が低いことなどから、空調設備の整備率が低い状況にあるため、道教委としては、知事部局と連携し、市町村立学校の空調設備整備に係る財政支援の拡充について国に強く要望するとともに、これまでも国に要請してきた道立学校の空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、喫緊の課題として、あらためて、国への支援策の要請とその活用を図るほか、モデル校として普通教室全室に空調設備を整備している手稲養護学校における効果や実績等について検証を進めながら、可能な限り設置できるよう、速やかに検討を進めていく。
A道場保健福祉部長 社会福祉施設における熱中症対策について。乳幼児や高齢者については、暑さに対する体温の調整機能が働きにくいなど、熱中症の発生リスクが高いことから、各施設では、利用者の体調や水分補給の状況などを把握しながら、熱中症対策に努めているところであり、昨夏の記録的な猛暑に伴い、道所管の施設においては、利用者が熱中症によって救急搬送される事例はあったものの、施設の速やかな対応によって、大事には至らなかったところ。
道では、運営指導時に入所者等の健康管理が適切に行われているかを確認し、必要な指導を行うとともに、熱中症警戒アラートが発表された際には、該当地域の市町村を通じ、各施設へ注意喚起するほか、空調設備の整備に係る各種支援制度の活用が図られるよう周知しており、今後も、社会福祉施設における熱中症対策に適切に取り組んでいく。
Q真下議員 特に、道立学校の冷房設置率が極めて低い状況である。
道教委が熱中症対策を進めることが本当に喫緊の課題だと認識しているなら、執行残を総ざらいした活用をはじめ、ゼロカーボンに資する財源や、再エネ、省エネに関する補助金等も最大限活用し、設置を加速すべきと考えるが、教育長に伺う。
A倉本教育長 空調設備の整備について。熱中症は命に関わる危険な病態であり、あらためて、各学校に対し、熱中症アラートの発令時における適切かつ迅速な対応を求めているほか、これまでも国に要請してきた空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、知事部局や市町村と連携し、あらためて国に強く要望するとともに、喫緊の課題として、国への支援策の要請とその活用を図りながら、各学校に可能な限り設置できるよう、速やかに検討を進めていく。
◆子どもの医療費助成
Q真下議員 国は、令和4年度からの未就学児の均等割保険料5割軽減に続き、地方単独事業のうち、子ども医療費助成に対する交付金減額というペナルティーを廃止することを決定した。
双方の影響額は10億円を超える。道は市町村に確実に波及させ、市町村格差の是正努力が道には求められている。
新年度に向け、平成20年以来、拡充していない子どもの医療費助成の拡充にどう取り組むのか伺う。
A鈴木知事 子どもの医療費助成について。道では、市町村との連携のもと、乳幼児等医療給付事業を実施し、これまで、対象年齢などを拡充しながら、子育て世帯の経済的負担の軽減に努めてきており、各市町村では、子育て支援や定住促進の観点から、この事業を独自に拡大し、医療費助成に取り組んでいるところ。
こうした中、国が公表したこども未来戦略方針では、国民健康保険の減額調整措置を廃止することとされており、これによって、市町村における独自の取組の支援につながるものと考えているが、道としては、社会保障制度の公平性を確保する観点から、国に対し、これまでも、全国一律の助成制度の創設を求めてきているところ。引き続き、全国知事会とも連携しながら、地域間での格差を解消し、どこに住んでいても安心して子育てができるよう、国に要請していく。
◆自殺対策
Q山崎議員 厚生労働省の自殺対策白書によると、10代の死因の1位が自殺となっており、自殺死亡率も先進諸国に比べて高い水準にある。
4年の全国の小・中・高校生の自殺者数は、前年から41人増え、514人であり、統計のある1980年以降最多で、初めて500人を超えた。
北海道自殺対策行動計画によると、近年、本道における小・中・高生の自殺者数の割合は、全国割合を上回る状況である。
進路、受験、人間関係やいじめ、さらには、新型コロナウイルス感染症などによる影響など、様々な原因があり、深刻な問題である。
また、4年から新たに項目のできた自殺理由に、奨学金の返済苦が10人とあり、貸与型奨学金利用者の悲痛の声を耳にし、子どもたちや若年層、生きづらい環境が精神を追い詰めている状況が続いていると感じている。
道としても、民間と連携するなど、しっかりとした自殺対策や、学校においても、より一層、対策が必要と考える。知事、教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 子どもの自殺対策について。5年3月に策定した第4期北海道自殺対策行動計画では、近年、10代、20代の自殺者数が増加傾向となっていることから、子ども、若者の自殺対策を重点的に推進することとしている。
道では、インターネットなどを活用し、自殺問題に関する誤解や偏見を取り除くための正しい知識や、相談窓口の普及・啓発に取り組むとともに、子どもや若者などが相談しやすいSNSによる心の健康相談や、市町村等で相談に対応する職員の資質向上の研修などにも取り組んでいるところ。
また、保健所に設置する自殺対策地域連絡会議等を活用し、市町村や教育機関、医療機関、警察など、地域の関係機関において情報共有を図りながら、自殺のリスクの高い方の早期把握、早期対応に努めており、引き続き、民間団体も含めた、教育や保健、福祉、医療の関係機関と連携しながら、自殺対策を総合的に推進していく。
A倉本教育長 児童生徒の自殺予防等について。児童生徒が、強い孤立感や絶望的な感情など、危機的な心理状況に陥らないようにするためには、児童生徒が不安や悩みを抱えたときに、周囲の大人にSOSを出し、相談できる環境を整備することが重要である。
このため、道教委では、24時間受付の電話やメールのほか、SNSによる相談窓口や1人1台端末からいつでもアクセスできる窓口を開設し、体制の充実を図るとともに、緊急に心のケアが必要な児童生徒を把握した際には、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを緊急に派遣し、対応している。
今後も引き続き、児童生徒の心の変化を迅速かつ適切に把握できるよう、学校と福祉、医療等の関係機関と緊密に連携をし、心理的ケアや自殺の防止に努めていく。
◆エアコン設置
Q山崎議員 国が公表している、熱中症による救急搬送状況の本道の状況をみると、令和4年は5月から9月で少年112人に対して、5年は9月24日時点の速報値で既に244人と倍以上になっている。
しかし、さきの答弁では、可能な限り設置できるように速やかに検討を進めていくと言いつつも、国に支援策の要請を行い、その活用を図りながらと、何か国の支援策がなければやらないとも感じた。子どもたちの生命や教育現場を考えれば、仮に国の支援策がなくても、道として責任を持って新年度に向けて取組を進める必要がある。教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 空調設備の整備について。学校は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習の場であることから、熱中症の防止はもとより、安全・安心で快適な教育環境の確保は重要と考えており、長期、短期の視点に立って、ハード面からだけではなく、ソフト面からも、気象状況の変化に応じた必要な対応を速やかに検討していく。
空調設備の整備については、建築費の高騰や人手不足、学校運営に支障のない工期の十分な確保などの課題もあるが、道教委としては、知事部局と連携し、市町村立学校の空調設備整備に係る財政支援の拡充について、国に強く要望するとともに、これまでも国に要請してきた道立学校の空調設備の整備に関する財政支援の拡充について、喫緊の課題として、あらためて国に支援策の要請を行う。
また、モデル校として普通教室全室に空調設備を整備している手稲養護学校における効果や実績等について検証を進めながら、可能な限り設置できるよう速やかに検討を進めていく。
(道議会 2024-02-28付)
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