道議会質疑 予算特別委員会(10月3日)(道議会 2024-02-29付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼滝口直人委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼倉本博史教育長
▼北村英則教育部長
▼山本純史学校教育監
▼村上由佳生涯学習推進局長
▼川端香代子学校教育局長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全担当局長
▼出分日向子教育政策課長
▼伊藤直人社会教育課長
▼遠藤直俊義務教育課長
▼大畑明美特別支援教育課長
▼大槻直広生徒指導・学校安全課長
◆小学校教科担任制
Q滝口委員 道内の公立小学校高学年における教科担任制の実施状況と、専科教員の配置状況について、併せて伺う。
A出分教育政策課長 教科担任制の実施状況について。札幌市を除く道内の公立小学校において、5年度は674校で教科担任制を実施しており、うち、小学校高学年においては、第5学年は640校、第6学年は654校で実施している。
なお、実施形態としては、国の加配措置による専科教員の活用のほか、学級担任の専門性を生かした教科を互いに受け持つ授業交換、教員の専門性を生かした教科を学校間で連携し合う学校間連携、学級規模の大きい学校に対して既に配置されている学級担任以外の教員の活用など、様々となっている。
また、国の加配措置による専科教員の配置については、519校に311人を配置しているところ。
Q滝口委員 これまでの取組によってどのような成果が見られるのか、また、どのような課題があると認識しているのか。
A出分教育政策課長 教科担任制の成果および課題について。成果としては、配置校から、持ち時間の軽減による授業準備時間の確保や、業務の負担軽減などにつながること、1人の児童に複数の教職員が関わることによって、多面的な児童理解、見取りが可能になること、教科の系統性、学年や小・中学校のつながりを意識した教科指導を実施することが可能となることなどと聞いている。
一方、課題としては、特に複数校を兼務する場合には、学級担任と専科教員との打ち合わせ等の十分な時間の確保が難しいこと、教科等横断的なカリキュラム・マネジメントを実施しやすい学級担任制の良さが損なわれる懸念があることなどがあると認識している。
Q滝口委員 広域で小規模校の多い本道では、他の小学校を兼務する専科教員も多く、学級担任との連携や学校組織全体での取組が一層必要と考える。道教委ではどのように取り組んでいるのか、伺う。
A遠藤義務教育課長 学級担任との連携などについて。教科担任制の実施に当たっては、学級担任と専科教員が相互に密接に連携できるような組織体制にする工夫や専科教員が複数の学校を兼務する学校間連携、さらに、専科指導の対象となる教科も増える中で、より総合的な取組となることから、従前の実践での経験や成果を生かしつつ、一部の専科教員による取組とすることなく、学級担任をはじめ、全ての教職員によって学校全体で組織として取り組むことが重要。
このため、道教委では、全教職員が一つのチームとなって包括的な学校改善を図ることを目的とした、学校力向上に関する総合実践事業の中で、教科担任制による指導の充実を授業改善の一つとして位置付け、そこで得られた学級担任との連携や組織的な取組によって、授業の質の向上につながったなどの成果を好事例として周知するなど、各学校において教科担任制が円滑に進むよう取り組んでいる。
Q滝口委員 今後、専科教員の拡充に伴って、教科指導の専門性の担保および向上することも重要と考える。道教委の取組について伺う。
A川端学校教育局長 専科指導の専門性向上について。専門性を担保するためには、専科教員が不断に指導力の向上に努める必要があり、道教委では、専科教員を対象とする研修会を教科ごとに実施し、大学教授や国の学力調査官等による各教科の指導のポイント等についての講義や参加者同士による効果的な指導の在り方等についての協議を通じて、自身の指導方法の改善に生かすことができるよう工夫している。
今後も引き続き、実践的な研修の実施や研修内容の改善向上に努め、各学校における専科指導が適切に実施されるよう取り組んでいく。
Q滝口委員 有資格者の確保を含め、教科担任制による小学校教育の一層の充実に向けてどのように取り組んでいくのか、伺う。
A北村教育部長 今後の対応について。道教委では、専科教員のさらなる有資格者の確保に向けて、国の加配要件や、市町村教委、校長会からの意見などを参考に、外国語を除く教科において、当該教科の中学校および高校の教員免許所有者に限定していた要件を次年度に向けて緩和。過去に専科指導を3年程度実施していた教員、または、高学年の学級担任として3年程度の指導歴および教科研究会等の活動歴等がある教員で、かつ、専科教員として適切であると市町村教委が認めた者を有資格者に加えた。
また、専科教員の専門性の向上を図るため、義務教育指導監などによる状況把握に努めながら、道教委主催の教科に係る研修を実施するとともに、教科担任制導入の促進に向け、その効果や加配の活用例をまとめた資料を各市町村教委に周知しているところ。
道教委としては、今後にも、国の加配を活用するなどして専科教員の配置数を拡充していくこととしており、専科教員の増加に対応するため、研修の受講率を一層高めるほか、好事例の把握と周知に努めるなど、教科担任制の一層の充実に向けて取り組んでいく。
◆生徒指導の充実
Q滝口委員 国が改訂した生徒指導提要の概要について伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 生徒指導提要について。文部科学省では、生徒指導の実践に際し、教職員間や学校間で共通理解を図り、組織的、体系的な取組を進めることができるよう、学校・教職員向けの基本書として、生徒指導関係の様々な資料をまとめた生徒指導提要を平成22年に作成した。
その後、一定の期間が経過する中で、近年、いじめ重大事態が増加傾向になるほか、いじめ防止対策推進法や、いわゆる義務教育機会確保法が成立するなど、生徒指導を巡る状況が大きく変化したことから、4年12月に改訂版を公表した。
今般の改訂では、生徒指導の意義や組織体制について整理した上で、指導に当たっての基本的な考え方や留意すべき事項のほか、課題予防、早期対応といった課題対応の側面のみならず、児童生徒の発達を支えるような生徒指導の側面に着目し、その指導の在り方や考え方などについて示している。
Q滝口委員 生徒指導提要に新たに記載された不適切な指導について、どのような内容が示されているのか、伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 生徒指導提要の内容について。今般、改訂された生徒指導提要では、不適切な指導と考えられ得る例として、大声でどなる、物をたたく、投げるなどの威圧的・感情的な言動による指導、児童生徒の言い分を聞かず、事実確認が不十分なまま、思い込みによる指導、組織的な対応を全く考慮せず、独断で指導、さらに児童生徒の面前で叱責するなど、児童生徒の尊厳やプライバシーを損なうような指導、指導後に教室に1人にする、保護者に連絡しないなど、適切なフォローを行わない指導などが示されている。
Q滝口委員 道教委としては、不適切な指導についてどのように認識しているのか、また、今回の生徒指導提要の改訂を受けてどのように対応するのか、伺う。
A伊藤生徒指導・学校安全担当局長 不適切な指導について。たとえ身体的な侵害や肉体的苦痛を与える行為でなくても、いたずらに注意や過度な叱責を繰り返すことは、児童生徒のストレスや不安感を高め、自信や意欲を喪失させるなど、精神的に追い詰めることにつながりかねず、こうした行為が不適切な指導であると認識している。
道教委では、今後、各管内で例年実施している生徒指導の研修会において、教職員が不適切な指導についての理解を深められるよう、事例検討や協議等を行うほか、各学校においても、教職員間の連携によって生徒指導の状況の自己点検を促すなどして、教職員による体罰や不適切な言動等が、部活動を含めた学校生活全体において、いかなる児童生徒に対しても決して許されないことについて教職員への意識付けを徹底していく。
Q滝口委員 教員による不適切な指導が行われることのないよう、学校や教員に対して、改訂した生徒指導提要の趣旨の周知徹底を図っていくことが必要と考えるが、道教委としてはどのように対応していくのか、伺う。
A山本学校教育監 生徒指導の充実に向けた今後の対応について。道教委では、全ての教職員が生徒指導提要の内容を確実に理解できるよう、提要のポイントを分かりやすくまとめるとともに、道内の学校で実際に起こった複数の事案を事例として掲載した指導資料を現在作成中であり、年内をめどに各学校に配布する予定。
今後は、全ての教職員が、部活動を含めた学校生活全体において、体罰はもとより、不適切な指導を行うことがないよう、生徒指導提要の内容についての理解の徹底を図るとともに、指導資料を活用した校内研修などを通じて、チーム学校による生徒指導体制の確立を図り、生徒指導本来の目的である、児童生徒一人ひとりの個性の発見と、良さや可能性の伸長、社会的資質・能力の発達を支えることが実現できるよう、市町村教委や学校と一体となって取り組んでいく。
◆ネイパルの利活用
Q滝口委員 コロナ禍の前後でネイパルの利用状況はどのように推移しているのか、伺う。
A伊藤社会教育課長 ネイパルの利用状況の推移について。平成30年度の施設利用者数は、6施設の合計で約19万1000人だったが、令和2年度は、コロナ禍における休館や宿泊定員の制限等によって、平成30年度の約35%となる約6万6000人、令和4年度は、制限を全て解除し、通常運営に戻したものの、平成30年度の約51%となる約9万8000人にとどまった。
5年度については、宿泊研修などによる小・中学校の利用がコロナ禍前の水準にほぼ戻ったことから、利用者数全体も徐々に回復する傾向にあるが、社会教育団体など、学校以外の利用は以前の水準までには至っていない状況。
Q滝口委員 コロナ禍後の運営状況を踏まえ、道教委としてネイパルの直面する課題についてどのように認識しているのか、伺う。
A村上生涯学習推進局長 ネイパルの運営上の課題について。体験活動に対するニーズの多様化やコロナ禍における外出動向の変容など、社会状況が変化している中、これまで以上に、地域や学校が抱える様々な教育課題や地域の方々のニーズを的確に把握し、社会の変化に対応した柔軟な施設運営を進めていくことが重要と認識している。
道教委としては、今後、ネイパルの持つ多様な体験活動の支援という教育機能を十分に発揮し、幅広い利用者層に活用していただけるよう、指定管理者や駐在職員と施設の目指す姿や運営に係る諸課題を共有し、創意工夫ある取組を一体となって進める必要があると考えている。
Q滝口委員 新たな指定管理期間において、課題解決につなげるための運営体制についてどのように工夫をしているのか、伺う。
A伊藤社会教育課長 ネイパルの運営体制について。道教委では、新たな指定管理期間がスタートした前年度から、各施設の課題を積極的に解決し、魅力をより引き出すための各種取組を企画、実施することを目的に、本庁職員の定期的な施設訪問やオンラインを活用した日常的な打ち合わせによる課題の共有、駐在職員と指定管理者職員によるミーティングやワークショップ、スキルアップ研修等を実施し、チームとしての連携体制の強化を図っている。
こうした取組によって、例えば、これまでに、縄文やアイヌの文化に触れることのできる創作体験、特産物をモチーフとした独自の玉入れゲームなど、地域の教育資源を生かした新たなプログラムの開発や電子マネー決済の導入による利便性向上、職員個々の指導力向上などの成果が上がっているところであり、本年度は、これらに加え、全道6施設の情報交流の場を設け、取組の成果や課題を共有し、共通した課題の解決を図るなど、施設間のさらなる連携協力につなげていく考え。
Q滝口委員 学校のニーズに対応するため、どのような取組を進めているのか、伺う。
A伊藤社会教育課長 学校教育への対応について。ネイパルでは、本道の教育施策や、アンケートなどから得る学校ニーズ等を踏まえたプログラムの開発や施設運営の改善を図っており、その一つとして、独自の体験型防災教育プログラム「ネイパル防災A・P(アクティブ・プログラム)」を開発し、学校の宿泊研修や一日防災学校等への出前講座を進めている。
本年度は、これまでに、小・中学校、高校、特別支援学校で合計74校がハザードマップラリーや防災の視点を盛り込んだ野外炊事、避難所運営体験などを実施したところであり、プログラムを活用した学校からは「児童が防災について考えるきっかけとなった」「防災学習の事前指導に役立つ」などの声が聞かれるなど、学習活動の支援につながっているものと認識している。
また、ICTを活用した学習活動への対応として、施設内のワイファイ環境やデジタル機器等の整備、事前学習用のプログラム説明動画の提供など、学校の教育ニーズに対応した支援の充実に努めているところ。
Q滝口委員 前年度からスタートした指定管理期間では、新規に参入した指定管理者もあるが、その特徴的な取組について伺う。
A伊藤社会教育課長 指定管理者の取組について。このたび、新たな指定管理者となったネイパル足寄およびネイパル厚岸の特徴的な取組として、ネイパル足寄では、コーヒー教室やトレイルランニング講座など、指定管理者職員のスキルを生かした成人向けの主催事業や、青少年のスポーツプログラムの実施に力を入れている。
また、ネイパル厚岸では、フィットネス経営のノウハウを活用したトレーニングジムを施設内に設置し、地域住民に提供するとともに、本年度からは、月2回のトレーニング講習会も開催するなど、住民の学びや健康づくりに貢献しているところ。いずれの取組も、指定された事業者のスキルを十分に生かしたものであり、参加者、利用者か
ら好評を得るなど、身近な教育施設としての理解が深まるとともに、施設の新たな魅力づくりにつながっているものと考えている。
Q滝口委員 有識者を含めた運営方針検討会議の進捗状況と今後の進め方について伺う。
A村上生涯学習推進局長 運営方針検討会議について。道教委では、今後の持続的・安定的なネイパルの運営の在り方を検討するネイパル運営方針検討会議を5年3月に立ち上げ、これまでに2回開催している。
検討会議では、ネイパルの設置目的や指定管理者制度による運営状況等の情報を共有し、公立学校の宿泊研修の実施状況等も踏まえながら、これまでの取組の成果と課題を明らかにするとともに、今後のネイパルに求められる機能や役割について、公共政策などの有識者から成る構成員の意見を聴取したところ。
今後も引き続き、ネイパルが果たすべき役割や次期公募を見据えた運営に関する評価の観点等について意見をいただきながら協議を重ね、来年度にも運営方針案を取りまとめる予定。
Q滝口委員 国立大雪青少年交流の家や日高青少年自然の家をはじめ、市町村の施設等との連携も含め、道教委として、今後どのように対応していくのか、伺う。
A北村教育部長 今後のネイパルの利活用について。ネイパルは、集団での宿泊活動や自然体験、生活・文化体験などを通して、青少年をはじめ、様々な年代の方の学びを支援する役割を担っている。
このため、道教委では、これまで、国、道、市町村等の青少年教育施設で構成する道青少年教育施設協議会と連携しながら、研修などを通じた職員のスキルアップや本道の子どもたちの体験活動の充実と機運醸成に取り組むほか、研修や会議、合宿、家族の触れ合いなど、青少年に限らず、道民の多様な目的に応じた利用を促進してきたところ。
今後は、より多くの道民にネイパルを活用していただき、様々な世代が集い、学ぶ拠点となっていくことが重要であることから、地域と連携した生涯学習事業の充実やSNSを効果的に活用した情報発信、学習ニーズに対応した柔軟な施設運営などを、道教委と指定管理者、駐在職員の一層の連携協力によって推進していく。
◆学ぶ機会充実
Q滝口委員 道教委は、20年以上にわたって実施している道民カレッジ事業について、道民のニーズに対応した見直しを含め、一層の学習機会の充実を図っている。本年度はどのような取組を進めるのか、伺う。
A伊藤社会教育課長 道民カレッジについて。本年度は、道民カレッジ・デジタル活用講座として、インターネット利用の基本やSNSの活用方法、ネット犯罪について学ぶ教室の開催や、ICTを学んでいる学生を講師とした高齢者が若者から学ぶ教室を開催するなど、暮らしをより便利に楽しくするためのデジタル活用について学ぶ機会を設けている。
また、道民カレッジ・インターネット講座として、SDGsに関する講義のユーチューブ配信や不登校の現状について学ぶ講座を解説するなど、多様なニーズに対応した学習機会を提供しているところ。今後も引き続き、デジタルデバイドの解消など、現代的な課題を取り上げた講座を実施するとともに、カレッジ生が利用しやすいよう、ホームページの改善を進めるなど、学習環境の充実を図っていく。
Q滝口委員 道内唯一の公立夜間中学である札幌市立星友館中学校を配信元に、4年、オンライン授業の試行を行い、ICTを活用した学びの有効性や課題が明らかになってきた。その課題等を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、伺う。
また、これまでも広域な本道の状況を踏まえた札幌以外への夜間中学の設置について検討を求めているが、道教委の取組についても併せて伺う。
A川端学校教育局長 学びの機会の充実について。道教委では、3年度に「夜間中学校等に関するワーキンググループ」を設置し、主に遠隔教育を議題として検討を行ってきた。4年11月にICTを活用した授業の有効性を検証する目的でオンライン授業を試行実施し、受講者からは、習熟の程度など生徒の多様性に対応する手だてが必要などの意見が寄せられた。
昨年10月のオンライン授業では、前回に授業配信した札幌の自主夜間中学に加え、釧路も会場とし、受講者の理解の状況等に応じたサポートを行いながら、ニーズの把握に努めるなど有効性を検証した。
夜間中学の設置について。自主夜間中学などの関係団体や学識経験者等で構成する「夜間中学等に関する協議会」において定期的に情報交換を行うなどして、広域な本道の特性に応じた札幌市以外の地域における夜間中学の設置の在り方など、学習機会の確保について継続して検討している。
Q滝口委員 道内における不登校児童生徒が増加傾向にある中、社会的な自立を目指し、個々の児童生徒の状況に応じて支援を行うことは喫緊の課題だが、誰一人取り残されない学びの保障に向け、道教委ではこれまでどのように取り組んできたのか、伺う。
A大槻生徒指導・学校安全課長 不登校児童生徒に関するこれまでの取組状況について。不登校の児童生徒は年々増加し、本道においても、1000人当たりの不登校児童生徒数が全国平均を超えており、登校できない児童生徒に対して学びを保障することは重要。
道教委では、学びの機会を確保するため、これまで家庭と学校や家庭と市町村の教育支援センターの間でのオンライン学習の促進や、児童生徒同士がオンラインで交流する機会の設定などの取組事例を市町村教委に周知してきたほか、スクールカウンセラーによるオンライン相談の体制整備などを進めてきており、児童生徒の不安解消や担任等との信頼関係が構築できたとの声が寄せられている。
また、今般、国が示した誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策を基に、学習コンテンツや相談窓口、フリースクールの設置状況など、児童生徒や保護者が必要とする情報をまとめたポータルサイトを5年5月に開設し、不登校児童生徒の社会的自立に向けた支援の充実を図っている。
Q滝口委員 今後、学びの機会の充実や道民の学び直しの支援にどのように取り組んでいくのか、伺う。
A倉本教育長 今後の取組について。広域な本道において生涯にわたる学びの機会の提供や不登校児童生徒の学びを保障するという観点から、学校教育と社会教育が連携した取組を推進することは重要であり、引き続き、道民カレッジを通じて、年齢や居住地域などにかかわらず学ぶ機会が確保できるよう、多様なニーズに応じた学習プログラムの配信や夜間中学の学習内容を配信するなどの検討を進めていく。
加えて、道民の学び直しを支援するため、学校への不適応や経済的事情など様々な理由で高校を卒業できなかった方などのうち、高校卒業程度認定試験の受験を希望する人に対して、4年10月からオンラインを活用した学習相談や学習支援の有効性を検証する取組を試行するなどをして、道民が豊かな人生を送ることができるよう、オンラインを効果的に活用した様々な学びの機会の充実に取り組んでいく。
◆医ケア児と家族の支援
Q滝口委員 本年度、医療的ケア児の保護者の負担軽減に向けた具体的な方策に取り組んでいると承知している。
前年度実施した検討会議において、保護者の負担軽減に関してどのような検討結果が示されたのか、伺う。
A大畑特別支援教育課長 医療的ケアに関する検討内容について。道教委では4年8月に、特別支援学校関係者や市町村教委、福祉関係者等を構成員とした学校における医療的ケアに関する検討会議を設置し、計5回の協議を経て、5年2月に同検討会議から答申を受けた。
答申では、医療的ケア児への切れ目のない支援に関し、転入学後の引き継ぎ期間等による保護者の付き添い期間の短縮、指導医による巡回相談やハンドブックの活用等の周知、また、医療的ケア児の学習機会の確保に向けた具体的な取組に関し、保護者負担の軽減のための通学保障、校外学習での医療的ケアの実施体制の充実、看護師の専門性の向上などが示された。
Q滝口委員 本年度、道立支援学校において、保護者の負担軽減に向けてどのような取組を行っているのか、その進捗状況を伺う。
A大畑特別支援教育課長 保護者の負担軽減について。道教委では、答申において示された、転入学後の引き継ぎ期間等による保護者の付き添い期間の短縮に関し、保護者の負担軽減を図るため、道立学校における医療的ケア実施要綱の見直しに着手することとし、児童生徒の安全が確保されることを前提としつつ、医療的ケアを実施するための手続きの弾力化を図ることについて、現在、検討を進めている。
また、保護者負担の軽減のための通学保障に関し、過日、医療的ケア児一人ひとりのニーズに応じた通学支援を行っている他府県の取組を視察したところであり、その結果を踏まえ、本道での実施について検証することとしている。こうした取組を通じ、医療的ケア児への支援や保護者の負担軽減について、引き続き検討を進めていく。
Q滝口委員 看護師の継続的な確保とともに、校内での日常的なケア以外においても、保護者の負担を軽減できる弾力的な支援体制を可能とするための方策を検討すべきと考えるが、教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 今後の対応について。医療的ケア児およびその家族に対する支援に関する法律では、学校の設置者は、医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な支援を受けられるようにするため、看護師等の配置など必要な措置を講ずるものと定めている。
このため、道教委では、現在、医療的ケア児が在校する全ての道立学校に看護師を配置している。
今後は、保護者の方々のさらなる負担軽減に向け、日常の学校生活に加え、通学や校外活動等における支援も含めた包括的な医療的ケアに関する体制整備の実現に向け、市町村教委や保健福祉部局などと連携し、学校や地域の実情に応じた看護師の配置の在り方などについて多角的に検討を進め、医療的ケア児の教育的ニーズに応じた支援の充実やその家族の負担軽減が図られるよう取り組んでいく。
D滝口委員 保護者の負担を軽減することについて様々な課題はあるが、きめ細かな施策をスピード感を持って進めていただくことをお願いする。
(道議会 2024-02-29付)
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